「始めに言葉ありき」は、新約聖書「ヨハネによる福音書」第1章からに書かれている、「創世は神の言葉(ロゴス)からはじまった」という意味であり、ここでの「言葉」とは神さまであり、この世界の根源として神さまが存在するということです・・・。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、2022年3月23日に日本の国会でオンライン形式の演説を行い、ウクライナの現状を訴え、そして日本の対応を評価したうえで、ロシアに対する制裁の継続を呼びかけました。
日本の演説までにゼレンスキー大統領は米国、英国など欧米各国の議会などに向けてオンライン形式で演説を重ね、ロシアに軍事侵攻の継続を断念させる追加の強力な経済制裁を科すよう訴えるとともに、ウクライナに対する軍事的、人道的な支援を求めてきました。その際には、各国の歴史や著名人の言葉を引用したりするなどして、その演説は私には自国民ではないにせよ共感できるようなものでした。そこから比べますと、日本への演説は少しおとなしかったような感じですが。
英国:2022年3月8日
英国の劇作家、シェークスピアさんの「ハムレット」の有名な一節を引用し、ウクライナの状況について「生きるべきか、死ぬべきか。返事は明らかに生きるべきだ」と強調。第2次世界大戦中の1940年に当時のチャーチル首相が議会で行った演説、「われわれは決して降伏せず、決して敗北しない。どんな犠牲を払おうとも海で戦い、空で戦い、国のために戦い続ける」と訴えた。
カナダ:3月15日
首相にカナダの地名を例に挙げ、「ジャスティン(トルドー首相のファーストネーム)、想像してみてくれ。朝4時、爆発音を聞くことを。あなたが、あなたのこどもたちがその爆音を聞くんだ。オタワ空港が空爆される音を聞くことを、あなたの美しい国カナダ中の多くの場所がその犠牲になるんだ」と訴えた。
米国:3月16日
人種差別の撤廃を訴えたキング牧師の「私には夢がある」という歴史的な演説を引用し、「私には必要がある、それは、私たちの空を守ってくれること。あなた方の決意、あなた方の支援です」と述べ、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定することなどを求めた。
ドイツ:3月17日
「ヨーロッパには、ベルリンの壁ではない、自由と不自由を分かつ壁があり、われわれは隔てられている。私たちを助けるはずの平和のための決断がなされないたびに、この壁は大きくなっている」と訴える。
イスラエル:3月20日
第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストになぞらえ、「ロシアはいまナチスと同じことをしようとしている」とロ訴えた。
私の個人的な考えとしてゼレンスキー大統領はこうして主要国へオンライン演説することで、支援を求めるとともに、自身が健在であること、ウクライナはまだ屈していないということを世界に発信しているのでしょう。
(私は信者ではありませんが)聖書の最初に「始めに言葉ありき(日本語訳)」とあるそうです。この「言葉」とは「神」のことだそうですが、私は「ことば」でもいいと思っています。
「言葉」。つまり、お互いの「あいさつ」から始まって、相手に「話」をして、相手の「話」を聴く。そうやって、いろいろなコミュニケーションが始まると思っています。また、言葉を発する場合、そこには相手が存在しています。言葉は相手に合わせて、相手が理解できるものを選ぶ」 ことが重要なのです。
言葉があるから、物事をしっかりと認識できて、私もこうして何かを伝えることができます。
さてさて、ゼレンスキー大統領は卓越したコミュニケーション術や置かれた状況などから、不利な戦いを銃弾や砲弾などの武器ではなく、言葉という武器で戦っています。
ゼレンスキー大統領専用のWebには大量のスピーチ動画が掲載されており、自国民向け、ロシア国民向け、友好国の国民・政府向けに頻繁に発信しています。非常時ということでしょうからスーツ姿ではなく、もはやトレードマークとなったオリーブ色のTシャツ、パーカーに伸び続けるひげという姿から緊迫感が伝わってきます。
また、ゼレンスキー大統領のスピーチは、相手に合わせて内容がまったく違います。つまり、伝えたい相手の価値観、文化・風習など、相手の心の琴線に触れ、一番伝わる言葉を選んできています。その一部が上に書いた各国議会向けのスピーチ内容でもあると思います。
日本:3月23日
「日本はアジアで初めて、平和を取り戻すためにロシアに圧力をかけた。新たなツールを作る必要がある。その発展には日本のリーダーシップが不可欠」と日本に感謝しつつ、「すでにウクライナの再建について考え始めることが必要だ。人々は、自分たちが住んでいた場所、育った場所に戻る必要がある。あなた方にも、この気持ちは理解してもらえると思う」と2011年に発生した東京電力福島第一原発での放射能漏れ事故のこと、「シリアで行われたように、特にサリンを使用した化学物質攻撃の可能性について警告されている」と、化学兵器を使用した世界初の無差別テロ事件として知られる、1995年の地下鉄サリン事件のことの、近年の私たち日本人が忘れてはいけない悲惨な事件を例に挙げて訴えた。
ゼレンスキー大統領の言葉は、共感を作るために相手のことをよく知り語りかけたうえで、合理的な説明をし、求めるものを強く主張し、そして、倫理的に信頼感を得るように行動するということが盛り込まれていると思います。
やはり、「始めに言葉ありき」なのでしょう。
本日も私のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日はどのような一日になるのでしょうか。または、どのような一日を過ごされたのでしょうか。
その一日でほんの少しでも楽しいことがあれば、それを記憶にとどめるように努力しませんか。そして、それをあとで想いだすと、その日が明るくなる、それが元気の源になってくれるでしょう。
それを見つけるために、楽しいこと探しをしてみてください。昨日よりも、ほんの少しでも、いい一日でありますようにと、お祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。