野球小僧

原口文仁 / 阪神タイガース

2019年06月29日 00時15分00秒

6月9日のプロ野球交流戦、阪神タイガース vs. 北海道日本ハムファイターズ。

この試合でタイガースは劇的なサヨナラ勝ちを収めました。3-3の9回裏、2アウトから高山選手、北條選手の連打で一・三塁のチャンスを作ると、代打の原口選手がカウント1-1からセンター前にサヨナラタイムリーヒットを放ち、満員の阪神甲子園球場はとてつもない大歓声に包まれました。

すでにご存じの方は多いと思いますが、原口選手は2019年1月24日にこの日開設した自分のツイッターで、「昨年末、人間ドックを受診したところ、ガンと診断されました。プロ野球選手という立場でこの病気になった事を自分の使命だとも思えます。同じガン患者の方々にとって少しでも夢や希望となるよう精一杯、治療に励みたいと思っています。僕には、大切な家族や応援してくださるファンの方々、ともに闘う仲間がいます。常に前だけを向いて進んでいきます。」などと、大腸ガンを患っていることを公表し、近日中に手術を受け早期復帰を目指すとしました。

そして、1月31日にツイッターで「先日、無事に手術終えました。順調に回復してます」と報告。2月6日にはツイッターで退院と「少しずつリハビリを始める」と報告しました。3月7日に二軍に合流し、阪神鳴尾浜球場の室内でトレーニングを始め、4月16日に屋外フリー打撃を開始しました。

その後、5月8日に阪神鳴尾浜球場で行われた、中日ドラゴンズとのウエスタン・リーグ公式戦の8回裏に代打で2018年10月13日のドラゴンズ戦（ナゴヤドーム）以来、207日ぶりとなる実戦出場しました。「今日を迎えられてすごくうれしい気持ちと感謝の気持ちです。なるべく早くという気持ちで、たくさんの人に支えられてやってきたので、今日が迎えられて良かったです」と笑顔で振り返りました。また、「楽しかったですね、久しぶりに。この気持ちを一生持ってやれるように、きつい時も必ずあると思うので、この気持ちを大切に今後頑張っていきたいと思います」と野球ができる喜びを改めて実感していました。

6月2日の福岡ソフトバンクホークス戦（春日総合運動公園野球場）では復帰後、初のホームランを放つなど回復をアピール、ガン告白から131日目となる6月4日の千葉ロッテマリーンズ戦（ZOZOマリンスタジアム）にて、2018年10月13日のドラゴンズ戦以来234日ぶりに一軍戦に復帰し、4点リードの9回表1アウト三塁の場面に代打で起用され、レフトフェンス直撃のタイムリー2ベースヒットを放ちました。試合後のインタビューには、「若干緊張はありましたけど、これから野球人生リスタートだと思いながら今日を迎えられました」「ヒーローインタビューでは伝えきれないことが本当にたくさんあるんですけど。支えてもらった家族であったり、ファンの方であったり、チームでもスタッフの皆さん、選手の皆さん、本当に感謝しかない。一軍の舞台に帰ってきて1打席目でヒットが出た。たくさんの方に感謝したいです」などと語りました。

そして、6月9日のファイターズ戦（阪神甲子園球場）で、チームを今季6度目のサヨナラ勝利に導きました。

試合後のインタビューの第一声で「みんな、ただいま！（気分は）最高です！」と絶叫。サヨナラの場面を振り返り、「センターの前に落ちてくれっていう願いだけで走ってました」。そして、ファンやこれまで支えてくれた周囲に感謝し、「今日を迎えることができて最高の気分です」「みんな祝福してくれて嬉しかったです」と笑顔を見せていました。

また、同じ病を持つ人へ勇気をもたらしたか？の問いに対して、目元を拭いながら、「僕の活躍がそういう力になるとすれば、僕も生きて野球をやれる意味があると思うので、さらに頑張っていきたいと思います」と力強くコメントしていました。