先日の阪神タイガース vs. 中日ドラゴンズでドラゴンズは7回あった送りバントの機会のうち5回失敗。中でもピッチャー若松駿太選手は三度のチャンスに打順が回って来て、「ここは送りバントしかない」という場面で三度とも送りバントを失敗しました。ランナーを進めることが出来ず、アウトカウントを増やし、得点も奪えず、結果論ですが2-0から同点に追いつかれ、最終的にサヨナラ負けを喫しています。
送りバントを多用しないで、試合に勝つ例は多いですが、送りバントは普通のイメージで考えたときに、アウト一つを相手チームに与えてまでランナーを本塁に一つでも近づけて確実に1点を取りにいく戦術です。
セイバーメトリクス的に送りバント成功時の得点確率は44.0%、失敗時は28.4%となりますので、このドラゴンズの無得点は自業自得でやむを得ない結果でもあります。ちなみに送りバントを企図した場合の得点確率は40.4%、強攻策は40.6%であり、差はないのでバントが出来ないならば強攻策でもいいのではないかとと思いますが、バントも出来ないような選手がバットにボールを当てることが出来るとは思えません。
高校野球でも地方大会では送りバントの機会はあまり見かけませんが、それでも決勝が近づくにつれ、また甲子園での試合にでもなりますと多用される戦法です。それだけ、1点にこだわり、その1点で試合の流れを決めてしまうこともあり、バントとはそれによって展開が変わる一つの大切な戦術だと思います。つまり、成功すれば流れを引き寄せられるし、失敗したら流れを相手に渡してしまうものだと、つくづく感じました。
もちろん、送りバントを成功しても得点に繋がらなければ本当の成功にはなりません。得点に繋がってこその送りバントの価値だと思います。
この間、高校野球を観ていたのですが、延長十一回裏ノーアウトランナー一塁の場面で代打に送られた選手が送りバントを失敗していました。ここは誰が見ても送りバントしかない場面でした。初球はセーフティー気味でファール。2球目は途中からバントの構えでファール。そして、3ストライク目もバント失敗でランナーは送れませんでした。
基本、送りバントは1球目で決めるのがポイントだと考えます。2球目で決まるより1球目で決まった方が、明らかに攻撃側は勢いづきます。それを1球目で失敗すると相手もバントが来ると確信するので、余計に「良いところに決めないと」というプレッシャーがかかります。
試合後に聞こえた話では、このバッターはバント失敗の原因を準備が出来ていなかったと言っていました。
確かに送りバントはプレッシャーのかかる場面でもあり難しいです。でも、言い訳せずに、やらなければならないのが送りバントです。
せっかく代打で出て来たのだから、打ちたい気持ちは判ります。でも、チームが勝つために必要だと思われた仕事です。それは野球チームという組織の中ではやらなければならないのです。
人生だって同じですよね。送りバント人生というのは、地味だけども自分のことよりも他人のことを思いやりながらコツコツと努力することなんです。
全体が見えていて、他人のことも判り、自分のことも判っている。
そうでなければ、送りバントは成功しません。
送りバントの人生は
じっと我慢の毎日さ
狙えば打てるホームラン
がんばれがんばれ
がんばれがんばれ
嗚呼 男道 送りバントだぜ人生は
がんばれ 高校球児。