野球小僧

高校野球におけるセイバーメトリクス

データーの多いプロ野球に対して、一発勝負のトーナメント方式の高校野球では、このセイバーメトリクスは当てはまるのかどうかという論文がありました。
内容をいくつか抜粋して紹介します。

なお、この論文の目的は「トーナメント形式の大会における特徴を把握する。そして、得点確率の変化という観点から有効な戦術を検討し、高校野球に携わる競技者や指導者への一資料として提供すること」となっています。

研究方法は2011 年7 月9 日から28 日にかけて行われた第93回全国高等学校野球選手権大会茨城大会全101試合。大会規定によるコールドゲームを除き、68試合を分析対象。

分析方法
試合の分析には公式スコアを利用。

プロ野球のOPSと得点の相関係数はr=0.94、打率と得点の相関係数r=0.78であり、OPSは得点力を考える際の指標となる。
しかし、今大会では、4つの打撃成績の中で最も高い相関が見られたのは打率の相関係数r=0.68であった。OPSと得点の相関係数はr=0.51で打率よりも低い。最も得点との相関が見られなかったのは出塁率であり、相関係数はr=0.48であった。

打率と出塁率の差は四死球によるため、四死球が得点には繋がりにくい。プロ野球のデータと比べて打撃成績全般が得点との相関が低い。これは打撃成績には表われないエラーや走塁技術などが、より得点に絡む傾向にあると推測される。

ランナー状況ごとの打率では、単独三塁の状況が.314と最も高い数値を示した。先頭打者に関しては、二番から始まる攻撃の得点確率が最も高く、33.0%。二番が出塁した場合、ノーアウトのチャンスで高打率の三番に回るため、得点確率が高いと考える。

打席結果別では、四死球・エラー・安打はそれぞれ同様にバッターが一塁に出塁するが、その回の得点確率には51.0%・61.3%・47.1%とバラつきが見られる。

イニング別でノーアウト一塁からの送りバント後の得点確率を見ると、最も高いのは九回の66.6%。試合の終盤になるほど得点確率も上がる傾向が見らる。しかし、中盤からは八回のみ得点確率が下がっている。その要因として、ピッチャー交代が考えられる。ピッチャー交代の回数全101回の中で八回の交代は全イニング中最大の27回となっている。ピッチャーが変わるとそのイニングは緊張感が増すため、得点確率に影響すると推測される。

ノーアウト一塁における戦術別の得点確率には差がない。
しかし1アウト一塁では強攻策と送りバントに比べて、盗塁の得点確率は低く、14.3%という値を示した。成功確率自体も低いため、1アウト一塁の状況からの盗塁は点を取りにくい。

得点平均では強攻策が総じて高い数値を示し、ノーアウト一塁の状況で0.887点、1アウト一塁で0.546点。強攻策の場合は成功すれば複数点を期待できるため、このような結果になったと推測。

盗塁において二塁盗塁の内83.9%が、投球3球以内に仕掛けられている。盗塁成功後の得点確率は初球が最も高く68.4%。2球目からは得点確率が下がることから、初球に二盗を決めることが、相手守備の動揺を誘うと考えられる。

バントは一試合で3本以上の送りバントを決めると試合の勝率が高くなる傾向が見られる。一試合の送りバント本数の勝率は0本;26.3%、1本;38.7%、2本;40.0%、3本;59.3%、4本;65.0%、5本;84.6%となる。

犠打数と得点の相関係数はr=0.31であり、弱い相関が見られた。今大会のスクイズ成功数は25回、内訳はノーアウト3回、1アウト22回。最も多かったケースが2ボール1ストライクであり、次いで初球、0ボール1ストライク。

ランナー状況別で見ると一・三塁でのスクイズが最も多く、次いで単独三塁。打順別では四番が最も多くスクイズを決め、最も少ないのは一番。四番が一番多くスクイズを決めているのは、どこのチームもスクイズ対策を行なっているため、相手の警戒心が低い状況で成功率を上げようとし、その工夫が実際に功を奏していることが言える。

アウトになった打球の飛んだ方向を見ると、セカンドとショートの割合が大きく、合わせて約40%の打球をこの2つのポジションが処理。しかし、エラーが起きた打球方向を見ると、ショートとサードの割合が大きく、合わせて68%。

・打撃成績と得点で最も相関があるのは打率であった(r=0.68)
・先頭バッターに関しては二番から始まる攻撃が、最も高い得点確率を示し、安打、四死球よりもエラーでの出塁の方が、高い得点確率を示した
・ピッチャー交代は八回で最も多く行われ、この回は送りバントによる得点確率が低い
・盗塁は初球に成功させると得点確率が高く、バントは一試合で3本以上行うチームの勝率が高い
・スクイズは四番にも用いられるが、ほとんどが1アウトでのケース
・ショートとサードの送球精度が上がれば、エラーの確率は減りやすい

うーん、判ったような、判らないような・・・

でも、高校野球のようなノックアウト式トーナメントでは、生産的アウトによる、ひとつ先の塁のランナーを進める野球。

これは高校野球のセオリーといっても良いかも知れません。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主sさん、こんばんは。
eco坊主sさん、こんばんは。


要はアマ(代表の高校野球)とプロでは傾向が違うということでしょう。
小さなことをコツコツと積み上げて行くのが勝利の近道。


でも、以前の開成高校のような例もありますので。


どういうチームカラーか。また、どういう選手が揃っているかでも戦略は違ってくるはずです。


決めつけも良くないですが、決めつけなければならない所もありますからね。


eco坊主
おはようございます。
おはようございます。


難し過ぎます!

高校野球=高校球児はプロほど体力も技術も劣っていると思います(一般的に)
だから勝つために生産的アウトは不可欠だと思います。

増してや、メンタル的にも成長過程(一部の球児除く)でしょうから
得点圏にランナー背負うと動揺があると思います。
それはピッチャーだけでなく内外野全員に言えることでしょう。
あまり姑息な手段は良くないですけど送りバントはれっきとした戦術ですし!!


オイラには難しいことは良く分かりませんが(林家こん平かっ!?ww)
9回一点ビハインドでの送りバントは”あり”だと思います。
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