本日3月31日に決勝が行われる第89回選抜高校野球。いよいよ大詰めに差し掛かってきました。
ここまで6試合の延長戦、しかも春夏の甲子園で史上初となる二試合連続の延長引き分け再試合など、肌寒い初春の中での熱戦を見せてくれています。
今大会最大の注目だった清宮幸太郎選手(東京・早稲田実高)はホームランなしに終わったものの、高校生離れした見事なバッティング技術とパワーを見せてくれました。また、初戦の高知・明徳義塾高戦ではあと1アウトで負けという場面で相手が考えられないようなエラーを犯して清宮選手に打順が回るという場面がありました。これは良い場面には役者が必要だと言う、存在感とスター性を持っているということでしょう。なんにせよ、夏に向けて清宮フィーバーが熱くなり、今年のドラフト会議が終わるまで動向は注目されるでしょう。
ただし、この大会で脆い一面も見られました。私がTVで観ていても判るとおり、清宮選手は典型的なローボールヒッターです。たぶん、手首の柔らかさが凄いのだと思います。高校生離れした強打者ですから、みんな低めの変化球で攻めて来ます。それに合わせているうちに、低めの変化球を拾うのが上手くなったのだと思います。一方、弱点を見せたのがインコース高めでした。高めのボールを手首を立てて叩けるかどうか。叩くのと、拾うの、2つのスイングがないと上では通用しないと思えます。
さて、決勝戦は大阪対決。
優勝候補筆頭の大阪・履正社高が勝ち上がってきました。初戦で難敵の東京・日大三高を打撃戦で9回に引き離し、二回戦は打線が沈黙する中でもエースの竹田祐選手が2安打完封と接戦で勝ち上がりました。準々決勝では再び打線が爆発し、8‐1で危なげなく岩手・盛岡大付高を退けた。特に主砲の安田尚憲選手が2ベース2本を含む3安打と活躍し、本来のバッティングが戻ってきたことが大きく、準決勝の兵庫・報徳学園高戦でも初回にホームランを打っています。9回の逆転劇を見ても下位打線にも好打者が揃っており、一気にたたみかける攻撃は目を見張るものがあります。
一方の大阪・大阪桐蔭高は二年生中心の若いチーム。それだけにチーム全体で一戦ごとに成長している姿が見られます。トップバッターの藤原恭大選手は初回に大量点を奪う足掛かりを作り、内野手、外野手、ピッチャーの三役をこなす根尾昂選手、10安打8打点と大当たりの山田健太選手ら二年生と山本ダンテ武蔵選手、福井章吾選手など三年生のプレーレベルは高いものがあります。
前評判どおり履正社高が押し切るか、大阪桐蔭高の爆発するのか、大阪対決は見ものです。
さて、この大阪2校の地元関西ですが、ベスト4の内訳を見ても関西勢が3校と九州勢が1校でした。ベンチ入り選手を見ても、熊本・秀岳館高は18人のうち6人が関西方面出身の選手、大阪桐蔭高は13人、履正社高と報徳学園高は全員が関西の中学チーム出身の選手です。ベスト8の岩手・盛岡大付高もレギュラーの3人が大阪出身と関西人多しです。
さらに過去10年間(2007年~2016年)の春夏の甲子園での勝利数を都道府県別でも大阪府が1位の49勝を挙げており(2位は沖縄県の31勝)、ベスト4の報徳学園高も4位の25勝(3位は神奈川県の30勝)となっています。
恐るべし関西パワーです。