世界卓球選手権団体戦ハルムスタッド大会(スェーデン)で47年ぶりの女子団体金メダルを目指しましたが、決勝で中国に敗れてしまいました。でも、石川佳純選手らが口をそろえて言っていた、「確実に、中国に近付いている」というのは事実だと思います。2年後の東京オリンピックで、花開いて欲しいと思います。
さて、決勝よりも日本、そして世界中から注目を集めたのは、準々決勝での出来事でした。5月3日の女子団体戦・準々決勝で対戦するはずだった韓国と北朝鮮が急遽、南北合同チームを結成したことです。韓国と北朝鮮が試合会場に入場後、いきなり両国の選手が握手をし始め、突如、試合をせずに合同チーム・コリアの結成を発表したのです。ニュースで報道されましたので、ご存知の方は多いと思います。
結果的に両国は戦わずして準決勝に進出することになり、準決勝で別ブロックで勝ち上がってきた日本と対決することになりました。この準決勝の日本とコリアの一戦は日本女子がストレートで勝利を収めたのは日本女子の意地だったと思います。試合終了後の石川選手のインタビューでの涙が物語っていると思います。
さて、この統一チーム結成となった経緯としては、2日に韓国と北朝鮮の両国から国際卓球連盟(ITTF)に合同チーム結成の申し入れがあり、ITTFが受け入れたという。その当事者でもあるITTF公式サイトは、「日本が歴史的な勝利を挙げた」と紹介し、「南北合同チームによる決勝進出の野望は、日本によって打ち砕かれた」「伊藤美誠の勝利で完璧なスタートを切り、石川佳純が感動的な試合をものにし、平野美宇が仕事をやり遂げた」と称賛しています。
このコメントを読みますと、「やっぱり」というような残念な気持になります。
昨年から今年の平昌オリンピック前までの南北朝鮮情勢から一転、平和へ向けての動きを考えれば、オリンピックでの女子アイスホッケー合同チーム結成の件もありましたので、不思議ではありませんが、だったら予選からチームを分けないでやったほうがよかったと思います。しかも、大会期間中の最中に「両国が対戦することになったので、統一チームにします」なんてことがまかりとおるなんてことは、通常あり得ないことでしょうし、いくら世界的な情勢だとは言っても、スポーツが政治に利用されてしまっているとしか思えません。
例えるならば、政治的なことではありませんが、高校野球の予選決勝で来年統合が予定されている高校同士が対戦することになって、「合同チームにします」というようなものだと思います。
卓球男子日本代表の水谷隼選手も南北合同チーム結成を受け「スポーツが政治的に利用されるのはどうかと思う」という事を言っています。
私は今の南北融和に向けての状況に反対ではありませんし、無益な争いはない方がいいと思っています。でも、舞台裏はどうなのかはわかりませんが、韓国と北朝鮮の間で、合意して(合同チームの結成を)やったっているのですから、これは完全に政治的なメッセージ以外はないと思います。スポーツの場所に政治を持ち込むなって、よく言いますけど。政治的パフォーマンスですよね、そういうふうにしか見えませんし、非常に違和感は感じます。
スポーツという観点から考えてみても、途中から特定の参加者だけが有利になるようなルール変更の大会というのは、もはや基本的にはスポーツというに値しないのではないでしょうか。公平が生じることは目に見えています。もはや、平和の問題ではなく、政治がスポーツへ介入してきた問題だととらえるべきだと思います。
さらに今回の韓国と北朝鮮の南北チーム「コリア」の結成の狙いとして、南北融和ムードをアピールする一方で「韓国と北朝鮮にとって、日本は共通の敵。南北が手を取り合うにはちょうどいい」と考えもあったのではないかとも思います。。
でも、一番の問題はITTFでしょう。ITTFは北の強敵に勝って涙した石川選手を「歴史的な決闘を勝ち取った」と報じていますが、ITTFは突然の合併によって、日本へのプレッシャーや政治をスポーツに持ち込ませた責任を真面目に考えるべきでしょう。