野球小僧

第27回WBSC U18ベースボール・ワールドカップ ブラジル代表

ブラジルでは1500年代からアフリカから奴隷として送り込まれた人を農業労働者としていましたが、内外の批判に対して1888年に奴隷制度を廃止します。それ以降、農業労働者が不足したため、欧州からの移民を受け入れますが、イタリア人移民が奴隷と変わらない環境に反乱をおこし、移民が中止となります。
そのためブラジルは1892年に日本人受け入れを表明しますが、当時は外交関係がなく、1895年に「日伯修好通商航海条約」が結ばれ、1897年にリオ・デ・ジャネイロ州に日本公使館が設け、準備して来ました。しかし、日本はイタリア人移民の事件のことで移民を送り出すことを躊躇し、1897年に初の正式移民として1500人を送り出す予定が、受け入れが中止されたこともあり、日本は移民を許可しなくなりました。
ただし、多くの日本人移民を受け入れていた米国で、日本人移民排斥が激しくなり、1900年に日本は米国への移民も制限します。さらにその後オーストラリアやカナダも日本人移民の受け入れを制限し、日本は新たな移民の受け入れ先として再びブラジルが候補とします。

そして日本の会社がブラジルとの間に「1908年以降に3000人の移民を送り出す」旨の契約を締結し、最終的に781人が第1回の移民となります。

しかし、ブラジルでの高待遇・高賃金を求め移民として海を渡ったものの、その実生活は奴隷と大差ないものだったそうです。居住環境は悪く労働は過酷、賃金も悪く、貯金どころではなく借金が増え、移民計画を「棄民」(日本国に棄てられた民)とも言われていました。

よって、ストライキや夜逃げも多く、最初に移民した4分の1の人数だけが定着したそうです。逃亡した多くの人は自らの農地を取得し、自作農となることを選択し、日本人移民同士で資金を出し合い共同で農地を取得し、「植民地」と呼ばれる集団入植地や農業組合を形成し、多くの日本人移民が自作農として独立し、成功しました。

その後、中断、再開などありましたが、日本は国策としてブラジルへの移民を推奨し、1920年代後半にはブラジルが最大の移民受入国となりました。

1930年代に入り満州事変や日中戦争など日本の対外侵攻や、日本人が多くなってきたこともあり、移民排斥の動きが高まってきました。例えば公立学校での外国語の授業を禁止、日本人学校の廃止。路上で出身国の言葉を話した日本人、イタリア人、ドイツ人が逮捕されたり、外国語の短波放送を聞いた移民が逮捕されました。
また、第二次世界大戦の戦闘激化や日米間の関係悪化による太平洋航路運休があり、1941年8月に日本人移民の受け入れが停止されます。

ブラジルは大戦中は中立を守っていましたが、日米開戦による米国の圧力を受け、連合国として参戦し、日本との国交を断絶しました(ブラジルが日本に宣戦布告したのは1945年6月)。これにより、多くの日系人が職業を奪われ、自宅などを手放すことになり、奥地の未開拓地に強制的に再配耕されます。なお、海岸地帯以外に住む移民は、生活の維持が許され、戦争景気で成功した日系移民も少なくなかったそうです。

1951年に日本とブラジルの国交が回復され、日本人移民の受け入れも1953年から再開され、政府の施策などもあり、1959年には年間で7000人を超え、延べ移民総数は13万人となります。
ブラジルへの移民は1973年に移民船が廃止され、1980年代に入るとほとんどなくなりましたが、逆にブラジルからの人が増え、在日ブラジル人の数は2007年の32万人をピークとして、現在(2014年)は17万人が日本に居ます。

さて、最初の正式移民がブラジルに渡って約100年。

日本人移民が持ち込んだ日本文化の多くが、ブラジル社会に根付くとともに、日本のスポーツもブラジルで広く親しまれています。

ブラジルと言えばサッカーですが、前回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に続いて、U18ベースボール・ワールドカップ(U-18 Wカップ)でもブラジル代表チームが日本代表と対戦します。

サッカー王国ブラジルにおける野球の認知度は低いですが、1995年には三菱自動車川崎(のちの三菱ふそう川崎; 現在活動休止)でプレーしていた日系3世の玉木重雄さんがドラフト3位で広島へ入団し、日系ブラジル人初のプロ野球選手が誕生しています。その後、ブラジルから日本の高校や大学、社会人へ進み、ドラフト会議で指名されてプロ入りする選手が増えています。

また、MLBもブラジル球界に注目しており、バリー・ラーキンさん(2013WBCブラジル代表監督=元シンシナティ・レッズ)を中心にMLB派遣のコーチが指導するエリートキャンプは、毎年ブラジルで開催され、南米から50~60名の有望な選手が参加しています。

また、ブラジル野球連盟が現地法人ブラジル・ヤクルト商工株式会社の出資により、2000年2月にサンパウロ州にヤクルト・ベースボール・アカデミーを開校し、セレクションに合格した13~18歳の選手が寮生活をしながら、午前中は近隣の学校で学び、午後はアカデミーで練習を行なっています。日本や米国でプレーしているブラジル人選手の多くが卒業生であり、今回のU18メンバーもほぼアカデミー在籍者になるそうです。

指揮するのはルイス・ホウラ監督。職業は産婦人科医だそうですが、ピッチャングコーチには2003年夏に羽黒高(山形県)を初の甲子園出場へ導き、白鷗大で主将を務めたチアゴ・カルデーラさん。2013WBCでもコーチ経験があります。

元ブラジル代表監督で佐藤允禧(みつよし)ヤクルト・ベースボール・アカデミー校長は「日本との初戦が非常に大事なポイントになりますね。序盤に1点でも先制できれば、試合の流れは変わるのではないかと思います。ただ、日本とアメリカは他チームに比べてズバ抜けているので、まずは第1ラウンド突破がチームの目標です」と言っています。

なお、ブラジルでは毎年、春・夏の甲子園の準決勝と決勝がTV放送されており、子どもたちにとってMLBとともに日本でプレーしたい子もたくさんいるそうです。
ここにも100年の歴史ありです。

グループA; ブラジル チェコ 米国 メキシコ オーストラリア 日本
グループB; 南アフリカ カナダ キューバ チャイニーズ・タイペイ 韓国 イタリア
8月28日(金)18:00 舞洲BS 日本 vs. ブラジル
8月29日(土)17:30 舞洲BS 日本 vs. 米国
8月30日(日)17:30 舞洲BS オーストラリア vs. 日本
8月31日(月)17:30 舞洲BS チェコ vs. 日本
9月1日(火)17:30 舞洲BS 日本 vs. メキシコ
9月3日(木)~9月5日(土) スーパーラウンド/順位決定戦
9月6日(日)阪神甲子園球場 決勝戦/3位決定戦

コメント一覧

まっくろくろすけ
上田の慎坊さん、こんばんは。
昨夜はTVでちょっとだけ見ました。
やっぱり大学生はパワーとスピードが違いますね。

移民で苦労して、現在は6世くらいになっているそうです。憧れの日本の野球。お手本になるような内容を見せて欲しいですね。
上田の慎坊
こんばんは
まっくろくろすけ様

移民の方々のご苦労は「バンクーバーの朝日」でも観ました。
ブラジルをはじめ、あの当時の日本人だから耐えられた人がいたのではないでしょうか。

日本のU18、大学選抜に「頑張って来い!」の洗礼を受けましたが、なにクソ見てろよくらいの気持ちで世界と戦って見せてください。

さぁ頑張れ!
まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
猪木師匠の話で行くか、悩みましたが移民約100年ということで歴史を振り返ってみました。

ブラジル野球も強くなると思います(根拠はありませんが)。
元々身体能力が高いところへ来て、日系人も多いのと、日本との交流も深いですしね。

甲子園を沸かした選手たちが、世界を相手にどこまでやるか楽しみですね。
eco坊主
おはようございます。

移民が再開された3年後1956年に猪木寛至少年が渡り
4年間コーヒー畑で足腰を強化し砲丸投げで優勝し力道山のスカウトにあったのでした。

ってその話ではなくU-18大会ですね!
数年したらブラジルも野球強国になるのではないでしょうか!?
バレーボールもそんなに歴史はないはずだけど昨今は強いですし。

清宮・小笠原・佐藤・オコエ等の活躍期待ですね!
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