野球小僧

確定申告

毎年2月から3月になると「確定申告」のCMが目に付きます。普通の会社員の場合、税金に関する手続きといえば会社で行う「年末調整」で事足ります。土地や不動産購入くらいでしか、確定申告することはありません。

そもそも確定申告とは、所得にかかる税金(所得税および復興特別所得税)を払うための手続きです。個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間。確定申告書や決算書などの必要書類を揃えて、翌年の2月16日から3月15日までに税務署へ申告し、納税します。人によっては、確定申告を行うと納めすぎた税金が還付金として手元に戻ってくる場合(還付申告)もあります。次のような人は確定申告の対象になります。
・配当所得があった人
・不動産所得があった人
・事業所得があった人(個人事業主)
・給与所得があった人(サラリーマンでも確定申告が必要な場合もある)
・退職所得があった人
・譲渡所得があった人
・山林所得があった人
・一時所得があった人
・雑所得があった人(年金、事業的規模でない副業による所得などがある場合)

個人事業主は、自らの事業による所得を計算して確定申告を行います。確定申告せずに放っておくと、本来納めるべき税金に「加算税」や「延滞税」がプラスされて納税金額が高くなってしまいます。

ちなみに年末調整とは、給与から天引きされている所得税の過不足を計算して調整する手続きです。会社員の人であれば、毎年11月から12月にかけて行い、通常12月の給与支払い時に精算が完了します。毎月給与から天引きされている所得税はあくまでも概算で、生命保険料控除などが反映されていません。年末調整で正しい所得税額を算出し、足りない人からは追加徴収、支払いすぎている人には戻します。

また、会社員でも確定申告が必要な場合があります。
・給与収入が2000万円を超えている場合 → 私は関係ない
・2つ以上の会社から給与を受け取っている場合 → 私はあり得ない
・配当所得や不動産所得などの副業所得が20万円を超える場合 → 私はさらにあり得ない
・医療費控除、雑損控除などを受ける場合 → 私は関係ないはず
・住宅ローン控除を初めて受ける場合 → 私は関係なくなってしまいました
・その年の途中で退職し、再就職しておらず、年末調整を受けられない場合 → 私は今のところは関係ない

さて、プロ野球選手は個人事業主として確定申告する必要があります。過去には「職業野球選手の所得に関する個別通達(昭和26年直所2-82、直所5-23)」がありました。現在は実務上定着しているため、通達に規定する必要がないと考えられたのか当該通達は廃止されています。

【個別通達(昭和26年直所2-82、直所5-23)】
職業野球の選手の所得については、従来給与所得または事業所得として扱つてきたのであるが、最近における選手の所得の実体が(1)選手は球団の指定する野球試合に出場することを約し、これに対し球団から出場契約料、試合出場料の支払を受けるものであり、且つ、当該選手の技能の進歩または人気の高低に応じその出場料も増減せらるべき性質を有し、一般芸能人の出演契約と何等の差異が認められないこと、(2)試合出場に要する用具等は、特定のものを除きすべて選手の個人的負担であること等にかんがみ、昭和26年分以降の職業野球の選手の所得については、「すべて事業所得(サービス業)」として取り扱うこと。

ただし、プロ野球選手の二軍選手については、特定の球団の指揮下にあることを鑑みて場合により給与所得として解するケースがあるらしいです。

ところで、最近のプロ野球でドラフト1位で入団する選手は球団や経歴にもよりますが、契約金は1億円、年俸は1500万円、その他出来高で結ばれることが多くなりました。また、かつてのドラフト1位選手が戦力外となってしまいました。中には3年くらいという選手もいます。

夢を追ったものの、実力発揮できずに終わってしまった場合、ドラ1選手は残りどのくらい稼げば会社員の平均生涯年収に達するのでしょうか。

プロ野球団から指名されて契約金や年俸をもらうと、所得税がかかります。正確には住民税もかかりますが、計算が面倒なので、所得税の話だけにしておきます。契約金の税区分は「雑所得」、年俸は「事業所得」と考えられています。契約金が1億円で年俸1500万円の場合は、4800万円近い所得税になります。仮に2年目の年収が1200万円なら所得税は235万円、3年目の年収が960万円なら153万円になります。1年目の4800万円と比べて、税額に大きな差が出るのは契約金の有無です(必要経費は無視して計算)。

この差を調整するために、平均課税制度というものがあります。簡単に言うと一時的に多額な所得があった人は税金の負担が重すぎるので緩和しましょう、という制度です。契約金が1億円の場合、通常は4087万円かかる税金が、平均課税制度を使うと4000万円で済みます。87万円も節税できます。

次に個人事業主は職業に寄りけりですが、さまざまなものが経費として認められます。たとえば、特注バッドやグラブといった道具類、ボールなどを選手自ら購入すれば経費として認められます。また、自主トレーニングの交通費や宿泊費も経費です。トレーナーやマッサージなどの裏方支援をしてくれる人を雇った場合も費用として認められます。これは、プロ野球選手としての体力・技術を向上させることに必要な費用だからです。

余談ですが、会社員の場合は実際に使ったかどうかに関係なく、あらかじめ一定額が経費として設定されています(給与所得控除)。たとえば年収600万円の場合は、174万円が経費となっています。現実的には使い切れません。

ということで、契約金1億円、年俸1500万円→1200万円→960万円で引退して、会社員相当の経費で年間220万円を使ったとすると、プロ野球3年間での手取りは約8700万円となるようです。実際には住民税などもかかるので、もっと手取りは減ります。

一方、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2016)からざっと計算すると、高校卒で48歳くらいまで働いて、手取り8700万円になります。

実際には、なんだかんだで手元にお金が残っていないようなケースがあるようですから、数年で戦力外になった場合はまだまだ働かないとならないです。さらに契約金が安くなる、ドラフト2位以下の選手なら、ならなおさらでしょう(案外、そちらの方が堅実だったりして)。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
確か市販薬購入でも控除できるのですよね。
これを知ったのが最近でしたので、今年はレシートを残しておこうかと思っています。これも老後へのしつけですかね。

「(税金)あれは埋蔵金を探してるんですよ、税金と言う名のな!!」
by 松本人志(ダウンタウン)
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

確定申告・・私も殆ど、や、全く関係ないです。
医療費も昨年は少なかったから今回は無しですし。

年末調整だとか確定拠出年金だとか確定申告だとかわからないことばっかりです。(わかろうと努力していないのも事実だけど^^;)

(´ε`;)ウーン…
国税庁長官 出てこい by人生幸朗
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