全国高校陸上選抜大会で、会場で置引被害に遭って出場出来なくなった女子選手が、主催者の計らいで特別予選に出場することが出来たというニュースがありました。
女子300m障害にエントリーした兵庫県立長田高三年の女子選手は招集時間が近づいた午前9時40分頃に、会場で試合用のバッグが盗まれたことに気がつきました。「少し目を離しただけだったのに。頭が真っ白になった」とのことでした。バッグの中には試合に必要なゼッケン、ユニフォーム、スパイクなどがあったため、仕方なく棄権となりました。
その後、財布だけが抜き取られたバッグが競技場裏の茂みに捨てられていたのが見つかりました。ゼッケン、スパイクとユニフォームは無事でした。大会本部は会場内での盗難を重く見て協議。折しも8月上旬の世界選手権で、ロンドンの公式ホテルで食中毒となったボツワナ人選手が後日、救済措置として1人だけで予選に出たという事例もあり、「今回も本人の責任ではない」として、トラックが空いていた午後1時10分にハードルを並べ直し、特別予選を行うという粋な計らいがありました。
お堅い事務局などの中で、柔軟な対応をすぐに決断した今回の対応は素晴らしいものだと思います。この女子選手にとって、おそらく高校生活最後かも知れない大会が、不可抗力によるこんな形で終わるとは、それこそ悔いが残るものです。
再挑戦が決まった女子選手はあわてて体を温め、1人でトラックを駆けたそうです。記録は45秒47で残念ながら予選落ちでした。女子選手は「ペース配分が分からなくて難しかったけど、出してもらえるだけでありがたかった」とお礼を述べたそうです。
これで思い出したのが、昨年、全国高校サッカー選手権の予選となる大阪大会で、シード校として出場する予定だった大阪学院大高が開会式を欠席し、棄権扱いとなったニュースです。開会式の集合時間になっても同校の選手が集まらないため、大会本部が連絡。日程の間違いに気付いて会場に向かったが間に合わず、棄権が決定しました。
大会の規定では7人以上の出席がない場合、棄権として扱うと決められているそうです。抽選会時にもその旨の説明があったといい、同連盟関係者は「以前にも同様の棄権例があり、今回だけ特別扱いをすることはない」とのことで、救済措置はありませんでした。
ただ、今年に入り、同連盟は、式の出席選手が7人未満で棄権扱いとしていた規定を削除し、開会式会場も屋外から屋内に変更し、開催規模も縮小することにしました。「同じことが起こらないよう、ペナルティーは今後設けない」とのことです。
協議では「規定をなくせば式に出ない学校が増える」との懸念の声もあったそうですが、「罰則まで設ける必要はない」との声が大勢を占め、開会式自体は「全校が集まることに意味がある」と継続を決定しています。
当時、同校の保護者会は署名約3万4千人分と嘆願書を出しましたが、同連盟は「特別扱いはできない」と参加を認めませんでした。最終的には同校は棄権を受け入れたものの、学校側の単純ミスによって優勝候補が1試合も戦わずに大会を去るという異例の事態は、一応決着し、上記の改革につながっています。
ただ、集大成となる大会に出場できなかった、当時の三年生らには割り切れない気持ちが残ったと思います。
スポーツにはルールがあり、それを守らないとスポーツとして成り立たなくなってしまいます。大会にも大会要項があり、遵守しないと大会運営が滅茶苦茶になってしまいます。ただ、何でも規則規則でがんじがらめにしてしまうのもどうかと思います。特に選手自身が起こしたことでない、不可抗力的なものまで対象にしてしまうのはどうか。もちろん、何でもOKとする訳にもいかないでしょう。
でも、世の中には規則だけが絶対じゃないということを、大人が教えてあげることも立派な教育だと思います。
女子300m障害予選に出場できた女子選手は、この経験をもとに、いつか誰かを助けてあげることが出来るようなきがします。
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まっくろくろすけ
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