東京ドームと言えば、一度だけ、社会人のアメリカンフットボールの試合を観ましたが、ほとんどがプロ野球の試合の観戦に利用しています。もちろんプロレスは初めてであり、プロレス観戦自体も初めてのことです。
野球開催日と違って朝早くから東京ドーム周辺は雰囲気が違います。一言でいえば、この日(1・4)は「黒い」小集団の多いこと。外を歩いている人たちはもちろん、外から見えるドームシティホテルのレストランで朝食中の方々も黒いのです。思わず、「ここは葬儀場かっ」とツッコミを入れたくなるくらいです。理由はもちろん、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンやBULLET CLUBなどの帽子やパーカーなどで身をまとったファンです。プロ野球でひいきのチームを応援するのと同じですが、プロ野球のユニフォームはカラフルなのに対して、黒がベースですから、仕方がないと言えば、仕方がありません。
それともう一つ。外国人ファンの多いこと。気のせいだと思ったのですが、ドームへ入場しても多くの外国人ファンがプロレスを楽しんでいました。
この1・4ですが、CSテレ朝チャンネルでは、第1試合から生中継され、夜にはダイジェストですが地上波でも放送があります。ですが、テレビには映らない第0試合があります。近年の恒例行事となっている「1分時間差バトルロイヤル~ニュージャパンランボー~」です。
シングルマッチからスタートして1分ごとに1選手が入場テーマに乗って登場してきます。事前に誰が出てくるか分からないバトルロイヤル。過去には、藤原喜明選手や先日引退したザ・グレート・カブキさんが登場しています。
今回はヤングライオンの北村克哉選手からスタートしましたが、まだ会場は正式な試合開始前でしたし、ファンもまだ入場途中というもので、それほどの盛り上がりはありません。それでも、途中で中西学選手、永田裕志選手で盛り上がり、獣神サンダーライガー選手、4代目タイガーマスク選手の登場で小盛り上がり、19番目に小島聡選手、20番目に天山広吉選手が登場した時に中盛り上がりという感じです。あの、鈴木みのる選手がまだまだ一線を張っていることを考えれば、これらの選手はバトルロイヤルで第0試合に出ている場合じゃないのですよね。レジェンドだと呼ばれて喜んでいるような立場でもないような気がするのですが。
最終的に21選手が出場したのですが、21番目に♪テーテテテテテテ テーテ テテテとUWFのテーマがドームに鳴り響きました。
すると、放送席で解説していた山崎一夫さんが立ち上がって、スーツの上着を脱ぎますが、もちろんリングに上がることなく、前田日明さんや高田延彦さんが出てくるはずがないことは分かっていましたし、そこまで期待することはできません。しかし、まさかドームでUWFのテーマを聞くことができるとは思いませんでした。テーマ曲に乗って登場したのは、2014年から自身の悪性リンパ腫と闘病中の垣原賢人選手でした。
新日本プロレスとUWF(UWFインターナショナル:Uインター)と言えば、史上空前のイベントだった1995年10月9日の東京ドーム全面対抗戦です。実際に見ることはありませんでしたが、このドームが6万7000人超満員となり、入場できなかったファンは会場の外で試合後に漏れ聞こえてくる勝者の入場テーマ曲で勝敗を知るという状況でした。2018年の1・4が約3万5000人の入場者数ですから、先日の比ではないことは確かです。
10・9の対戦カードはすべて団体対抗戦、オープニング以外シングルマッチでメインイベントは武藤敬司選手 vs. 高田延彦さんのIWGPヘビー級選手権でした。この対抗戦は最終的に5勝3敗で新日本プロレス側の勝利でした。
さて、21番目に入場した垣原選手は、3年連続出場2年連続ファイナルに残ったチーズバーガー選手との2人だけとなるタナボタ展開となり、優勝を飾りました。試合後、リングの中央でマイクを持った垣原選手は「リングに戻って参りました。UWFの同志、高山選手にエールを送りたいと思います。高山っ、東京ドームのリングに立ったぞ。オレだって回復できた。帝王なら必ず、必ず、必ず、克服することができる。オレはそう信じてる」と昨年5月より頸髄完全損傷でリハビリ中の元Uインターの盟友・帝王・高山善廣選手にエールを送りました。
垣原選手と高山選手はともにUインターの一員として10・9対抗戦では勝利を飾っていました。どうしても、メインでの高田さんの敗北でUインターの完敗を印象付けられていますが、垣原選手は佐々木健介さんを9分13秒 膝十字固め、高山選手は飯塚高史選手を7分39秒 腕ひしぎ逆十字固めで破って勝利を収めています。この試合で垣原選手、高山選手は高評価を得て、Uインターは注目を集める存在になりました。その後、垣原選手と高山選手はUWFの格闘技スタイルから、プロレスに融合して行くようになりました。
第0試合 1分時間差バトルロイヤル~ニュージャパンランボー~
○垣原賢人 32分06秒 カッキーカッター→片エビ固め ●チーズバーガー
※退場順 1:デリリアス、2:BUSHI、3:レオ・トンガ、4:中西学、5:永田裕志、
6:北村克哉、7:チェーズ・オーエンズ、8:獣神サンダー・ライガー、9:エル・デスペラード、
10:タイガーマスク、11:TAKAみちのく、12:金丸義信、13:ジノ・ガンビーノ、
14:トーア・ヘナーレ、15:YOSHI-HASHI、16:デビッド・フィンレー、17:高橋裕二郎、
18:小島聡、19:天山広吉、20:チーズバーガー
第1試合 IWGPジュニアタッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]●YOH&SHO 18分49秒 シャープシューター [挑戦者組]○ニック・ジャクソン&マット・ジャクソン
※チャンピオンチームが防衛に失敗。マット&ニックが新チャンピオン
第2試合 NEVER無差別級6人タッグ選手権試合 ガントレットマッチ 各60分1本勝負
1. [挑戦者組]タイチ&飯塚高史&○ザック・セイバーJr. 6分05秒 レフェリーストップ [挑戦者組]ハンソン&●レイモンド・ロウ&マイケル・エルガン
2. [挑戦者組]バレッタ&○矢野通&石井智宏 0分41秒 横入り式エビ固め [挑戦者組]●タイチ&飯塚高史&○ザック・セイバーJr.
3. [挑戦者組]バレッタ&○矢野通&石井智宏 3分29秒 横入り式エビ固め [挑戦者組]●田口隆祐&ジュース・ロビンソン&真壁刀義
4. [王者組]タンガ・ロア&●タマ・トンガ&バッドラック・ファレ 6分48秒 デュードバスター→エビ固め [挑戦者組]○バレッタ&矢野通&石井智宏
※チャンピオンチームが防衛に失敗。石井&矢野&バレッタが新チャンピオン
矢野選手がちゃっかりと2フォールを奪って、ベルトまで奪っていってしまいました。
第3試合 スペシャルシングルマッチ 60分1本勝負
●Cody with ブランディ・ローデス 15分08秒 フェニックススプラッシュ→片エビ固め ○飯伏幸太
第4試合 IWGPタッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]●デイビーボーイ・スミスJr.&ランス・アーチャー 14分14秒 ラウンディング・ボディプレス→体固め [挑戦者組]○SANADA&EVIL
※チャンピオンチームが防衛に失敗。SANADA&EVILが新チャンピオン
第5試合 NEVER無差別級選手権試合 敗者髪切り&ノーセコンド・デスマッチ 60分1本勝負
[王者]●鈴木 みのる 18分04秒 GTR→エビ固め [挑戦者]○後藤洋央紀
※鈴木選手は防衛に失敗。後藤選手が新チャンピオン
ヒールと言えども鈴木選手の態度は立派ですが、ベルトと髪を失ったのは残念でした。
第6試合 IWGPジュニアヘビー級選手権試合4WAYマッチ 60分1本勝負
[王者]●マーティー・スカル vs. 21分18秒 オスカッター→片エビ固め [挑戦者]○ウィル・オスプレイ vs. [挑戦者]KUSHIDA vs. [挑戦者]高橋ヒロム
※スカル選手が防衛に失敗。オスプレイ選手が新チャンピオン
私はこの日のこのマッチメイクには大いに不満でした。理由は一言「シングルで観たい」です(このオスプレイ選手には驚きでした)。
第7試合 IWGPインターコンチネンタル選手権試合 60分1本勝負
[王者]○棚橋弘至 19分43秒 ハイフライフロー→片エビ固め [挑戦者]●ジェイ・ホワイト
※棚橋選手が4度目の防衛に成功
白ベルト(IWGPインター)で満足するのではなく、再び黒本ベルト(IWGP)を狙って欲しいです。
「一つでも上の試合で組まれるようにやっていきたい」
第8試合 ダブルメインイベントⅠ IWGP USヘビー級選手権試合 ノーDQマッチ 60分1本勝負
[王者]○ケニー・オメガ 34分36秒 片翼の天使→片エビ固め [挑戦者]●クリス・ジェリコ
※ケニー選手が4度目の防衛に成功
ケニー選手強し。黒本ベルト(IWGP)をもう一度狙って欲しいです。ジェリコ選手の試合スタイルはこの日はドームのファンを敵に回したのが敗因でしょう。
「このベルトと共に、この団体を未来に運んでいく」
第9試合 ダブルメインイベントII IWGPヘビー級選手権試合 60分1本勝負
[王者]○オカダ・カズチカ 34分26秒 レインメーカー→片エビ固め [挑戦者G1 CLIMAX 27優勝者]●内藤哲也
※オカダ選手が9度目の防衛に成功
オカダ選手強し。オカダ選手を倒せるのはオカダ選手だけか。内藤選手には這い上がって来て欲しい。
「オレはオレのプロレスで全員満足させてハッピーにしてやります。今まではレインメーカーとしてカネの雨しか降らせてこなかったけど、2018年、感動の雨、驚きの雨、幸せの雨、いろいろな雨を降らせていく」
なお、今年のG1は7月14日に聖地大田区総合体育館で開幕します。8月10~12日の日本武道館3連戦でフィナーレを迎えますが、G1決勝が両国国技館以外の会場で行われるのは、2014年大会の西武ドーム以来であり、さらに、プロレス興行が聖地の聖地に帰ってくるのは2013年5月の小橋建太さん引退興行以来約5年ぶり。新日本プロレスとしては2003年以来15年ぶりです。
ここはやっぱり「いっちゃうぞ、バカヤロー」でしょうか。