誰しも、人生は順調に、そして問題なく過ごしていきたいものです。でも、自分の不注意や油断から発生したものならまだしも、思わぬ落とし穴があったりします。
さて、人生の落とし穴どころか、都会の住宅街で道路が陥没し、穴が開くというニュースがありました。
これは、2020年10月18日正午すぎに東京都調布市の住宅街の市道に幅約5m、長さ約3m、深さ約5mの穴が開いたというものです。ケガ人が出なかったのだけはよかったと思います。
穴の開いた現場は、関越自動車道と東名高速道を結ぶ東京外かく環状道路(東京外環道)の練馬-世田谷間の建設工事のルート上にあるとのことで、地下47mの場所で、トンネル工事が進められており、9月中旬には直径16mの掘削機が通過していたそうです。
NEXCO東日本は工事と陥没との因果関係は不明だとしていますが、念のため工事をいったん中止し、原因の究明を行うことにしています。
さてさて、おそらく工事ルートに関係した土地の住人には事前説明はあったと思いますが、自分の土地の地下深くで穴が掘られているというのは、いい気持にはなりません。
また、そもそもの話として、「土地所有権」的には問題ないのか不思議でしたので、ちょっと、「ヤホー」で調べてみました。
土地の所有権について規定されているのは、民法206条「土地の利用」になります。平面方向的なことでしたら簡単に想像できますが、所有権の「上下の範囲」が問題になることがあります。たとえば、
・上空を航空機、パラグライダー、無人ドローンが通過する
・上空に道路などを設置(建設)する
・上空に高圧線、送電線を設置する
・地下に地下鉄、地下道を設置(建設)する
などの場合に、土地所有者の承諾が必要かどうかが問題になる場合がありますが、民法の条文では土地所有権の上下の範囲が明確ではありません。民法207条「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」が当てはまり、上下は無限というわけではないのです。
その「法令の制限」というものは、次のようなものが対象になります。
・航空法
・鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
・鉱業法
・大深度地下法
最初に「上」方向の話です。航空法81条、航空法施行規則174条1号では、「最低安全高度」について、「建造物の高さ+300m」となっており、この空間を飛行する場合には、直下部分の土地所有者の承諾は不要と考えられています(ただし、「騒音、振動」については別問題です)。ちなみに、国際的に高度100km以上の空間は、宇宙として各国の主権(所有権)が及ばないとされています(カーマン・ライン)。
ということで、ときどき忘れたころに我が家の上空を飛行機が飛んでいることは、仕方がないこととなります。ですが、所有の土地の上空300m以内を飛行するためには、土地所有者の承諾が必要になります。承諾を取らずに無断で飛行した場合には、「領空侵犯」になりますので、物騒な話ですが、撃墜されても文句は言えません(飛ばないと思いますが)。
次に「下」方向になりますが、下方向の限界については、「大深度地下法」が関係してきます。まず、「大深度地下の定義」は、「地表から40m(法2条1項1号、施行令1条)」もしくは「地表から『基礎杭を支持することにより/2500kN/平方メートル以上の許容支持力を有する地盤最上部+10m』(法2条1項2号、施行令2条1項、3項)」のどちらかが該当します。
簡単にいいますと、一般の宅地などで所有権となるのは、「地表から40mの深さ」までとなります。それ以上の深さについては、認可が下りれば、事業者のものとなり、土地所有者であっても、所有権の行使は制限されてしまうのです。
つまり、今回のNEXCO東日本の工事ついては、地下約47mの場所ですので、土地所有者の承諾は不要ということになってしまうのです。
ただし、「湧水」「地下水」「温泉の利用」「採鉱」については土地所有権の一環に含まれますが、一定の制限もあります。
ちなみに、調布市役所によりますと、今年の夏ごろからトンネル工事が行われている区域の周辺から「家が揺れている」「住宅の外壁の一部がはがれ落ちている」などの情報があり、調布市は工事を行っているNEXCO東日本に、「工事と住宅被害に関係があるのかどうか調べて住民に対応してほしい」と求めていたそうです。
人生は 山あり谷あり 穴もあり(字もあまり)
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