中日ドラゴンズとオリックスバファローズは6月30日にトレードが成立したと発表しました。ドラゴンズの松井雅人選手と松井佑介選手のW松井がバファローズに、バファローズの松葉貴大選手と武田健吾選手がドラゴンズに移ります。また、ドラゴンズのスティーブン・モヤ選手が金銭トレードでバファローズに獲得します。
このトレードはどうもバファローズからドラゴンズへ打診があった模様で、バファローズはキャッチャーの伏見寅威選手が交流戦で左アキレス腱断裂のケガにより、今季絶望的となってしまいました。さらに主軸を期待して昨年オフに獲得したジョーイ・メネセスさんはドーピング違反のため、つい先日に契約を解除となりました。その穴を埋めるためにドラゴンズに打診し、トレードと外国人補強を一気に成立させたようです。
福良淳一GMは「日本でプレーしている経験は大きい。モヤの打力は非常に魅力がある。今のうちには必要な戦力になる」と語り、松井雅選手についても「実績と経験ある捕手。捕手は特に経験がものを言うポジションでもあるので、期待しています」、松井佑選手は手薄だった右打ちの外野手を補うことに期待しています。
一方のドラゴンズも、願ったりかなったりのトレードだったと思います。
現在、左の先発ピッチャーはロメロ選手のみ。昨年の開幕ピッチャーの小笠原慎之介選手、今年の開幕ピッチャーの笠原祥太郎選手はともにケガ、病気からの復帰を目指して二軍で調整中。外野陣も左バッターが多く、若手の右打ちは伊藤康祐選手一人であり、しかもケガで離脱中でした。
松葉選手は2012年のドラフト1位で大阪体育大から入団。1年目から先発として14試合に先発して4勝をマークすると、2年目の2014年には21試合でキャリア最多となる8勝をあげています。2桁勝利こそなかったものの、先発、中継ぎ双方で投げ、7年間で一軍通算120試合に登板しています。左の先発候補として期待しています。
武田選手は2012年のドラフト4位で福岡・自由ヶ丘高から入団。パンチ力溢れる大砲候補として期待の25歳です。2017年には自身最多となる97試合に出場し、プロ初ホームランを含む2本を放っています。昨シーズンも69試合に出場していますが、今シーズンはわずか6試合の出場にとどまり、二軍暮らしが続いています。右の代打、相手チームの左ピッチャー先発時のスタメン候補として期待しています。
さて、移籍するモヤ選手は、来日2年目の今シーズンは一軍出場はわずか7試合。現在一軍外国人枠4を主砲のダヤン・ビシエド選手、先発のエンニー・ロメロ選手、守護神のライデル・マルティネス選手、セットアッパーのジョエリー・ロドリゲス選手に使っており、チーム事情でチャンスに恵まれていません。ウエスタン・リーグでは56試合でホームラン12本、36打点。打率.315は目下、ウエスタン・リーグでは首位打者です。
過去にドラゴンズは、1988年6月に近鉄バファローズ(現;オリックスバファローズ)は大麻不法所持で逮捕されたリチャード・デービスを解雇。当時、外国人枠の問題でドラゴンズの二軍でプレーしていたラルフ・ブライアントさんを金銭トレードで譲渡したことがあります。当時は一軍登録の外国人枠は2名で、ドラゴンズには郭源治さんとゲーリー・レーシッチさんがいたため、待機要員として二軍に置かず活躍の場を与えるということもありました。ちなみに、ブライアントさんのトレード前の二軍成績は26試合、ホームラン6本、打率.275、24三振でした。成績はともかく、今回も同じような状況であり、バファローズの交渉に応じたと思います。
なお、ブライアントさんは移籍した後、2度の1試合ホームラン3本を記録するなど、74試合でホームラン34本を放ち、最大ゲーム差8からの驚異的な追い上げに貢献しています。ちなみに、この1988年は伝説の「10.19」の年であります。翌1989年にはホームラン王とMVPを獲得する活躍でバファローズのリーグ優勝に貢献しました。通算8年で259本のホームランを放った「伝説の助っ人」です。ドラゴンズからバファローズ、置かれていた立場、年齢、金銭トレードでの移籍とすべて酷似しています。
守備は上手いとは言えませんが、指名打者制のあるパ・リーグならば、二軍と同じように守備を気にせずに活躍できると思います。また、まだ27歳と若く、練習熱心なところなど、伸びしろもたくさんあると思います。
今回のトレードは両チームにとってWin-Winの結果であって、移籍した選手は新天地で活躍して欲しいですね。なお、1988年はドラゴンズがリーグ優勝を果たしていることは、言うまでもありませんですね。