第92回選抜高校野球大会が開催されるかどうか。日本高野連は3月4日の運営委員会で方向性を決定するとしていますが、野球以外の全国高校選抜大会は次々と中止となっており、野球の選抜大会の開催について、どのような判断をするのかに注目が集まりそうです。
日本政府は2月27日に新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、3月2日から春休みが明けるまで全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校するよう要請することを表明したことで、3月に開催を予定していた全国高校選抜大会が次々と中止に追いやられており、その数は今後、増えていくと見込まれます。
すでに日本ボクシング連盟は2月26日、石川県で3月末から行われる予定だった全国高校選抜大会を中止すると発表した。
ボクシング以外の競技では、熊本県で開催が予定されていた自転車の全国高校選抜大会のロードレースが中止となり、空手(石川)、なぎなた(兵庫)、少林寺拳法(香川)などの大会の中止が決定している。
野球の選抜大会は32校が出場を予定しており、3月13日に抽選会が行われ組み合わせが決まり、19日に阪神甲子園球場で開幕を迎えることになっていますが、休校中の球児の練習環境などの問題もあるでしょう。日本高野連は3月4日に行われる運営委員会で他競技の動きを参考にして具体的な策を打ち出す方針ではあるものの、公立校と私立校での対応に差が出そうなことや、高校野球だけ特別という考え方はいかがなものかとも思え、時期的なことも含めて難しい決断を迫られるでしょう。
新型肺炎コロナウイルス感染を、戦争と同じと発言しました。
さて、選抜大会については1942年から1946年まで戦争と終戦の混乱により大会が中断したことがありますが、夏の選手権大会と異なり中止になった大会は過去にはありません。仮に中止となれば史上初の出来事になります。
選手権大会で中止となった1941年(第27回大会)は戦争の影響で地方大会の途中で中止(1945年まで)になっています。地方大会の予選は6月14日の鹿児島県大会から始まりましたが、地方大会の途中の6月22日にドイツと旧ソビエト連邦との間で戦争状態となります。
7月2日に日本は「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」を採択し、これに基づいて7月7日に関東軍特種演習(日本軍が実施した対ソビエト連邦作戦準備)の大動員令が下り、第1次動員として7月13日に約300の各部隊を動員、7月16日には第2次動員として、現在の中国東北部と呼ばれる地域(当時の満洲)に陸軍の膨大な兵力と資材を集結することにしました。これにより、日本国内においても基本的に県をまたいでの移動が禁止されます。
そして、文部省通達によって全国的なスポーツ競技会が中止となり、7月16日付東京朝日新聞朝刊に大会の中止が告げられ、各県では県レベルで大会を行ったりしています。
地方大会結果
■北海道地区
札幌地区大会:札幌一中 5-1 札幌商
釧路・旭川・函館・小樽各地区:試合実施なし
■奥羽地区
青森県大会:青森工 5x-4 青森中
岩手県・秋田県:試合実施なし
■東北地区
山形県大会:山形商 7-5 山形中
宮城県大会:仙台二中 3-1 仙台一中
福島県:試合実施なし
■北関東地区
茨城県大会:水戸商 1-0 茨城工
栃木県大会:下野中 3-1 市宇都宮商
群馬県大会:桐生中 2-0 桐生工
■南関東地区
埼玉県大会:大宮工 4-3 川越中
千葉県大会:千葉商 8-1 関東中
神奈川県大会:横浜商 5-3 神奈川商工
■東京地区
帝京商 14-0 京王商
■信越地区
新潟県大会:長岡商 8-0 新潟商
長野県大会:長野商 3x-2 松本商
■山静地区
山梨県大会:韮崎中 5x-4 日川中
静岡県大会:島田商 3-0 富士商
■北陸地区
石川県大会:金沢商 9-5 金沢一中
福井県大会:敦賀商(リーグ戦で実施)
富山県大会:試合実施なし
■東海地区
岐阜県大会:岐阜商 20-0 岐阜二工
愛知県・三重県大会:試合実施なし
■京津地区
滋賀県大会:膳所中 1-0 大津商
京都府大会:平安中 5-4 京都一商
■大阪地区
日新商 1x-0 浪華商
■紀和地区
奈良県大会:畝傍中 8-3 五條中
和歌山県大会:試合実施なし
■兵庫地区
二回戦の途中で中断
■山陰地区
鳥取県大会:米子中 2-1 鳥取商
島根県大会:試合実施なし
■山陽地区
岡山県大会:関西中 3-0 玉島商
広島県・山口県大会:試合実施なし
■四国地区
高知県大会:高知市商(リーグ戦で実施)
徳島県・香川県・愛媛県大会:試合実施なし
■北九州地区
長崎県大会:長崎商 3-1 鎮西学院
福岡県・佐賀県大会:試合実施なし
■南九州地区
熊本県大会:熊本工 9-0 熊本商
大分県大会:大分商 2-0 大分工
宮崎県大会:宮崎中 8-0 宮崎商
鹿児島県大会:鹿児島商 5x-4 鹿児島実
沖縄県大会:沖縄二中 9-1 沖縄水産
■朝鮮地区
北鮮大会:清津水産 11-1 咸興商
南鮮・湖南・中鮮・西鮮大会:試合実施なし
■満州地区
天津商(リーグ戦で実施)
■台湾地区
嘉義中 8-0 台北二師範
なお、大会の再開の兆しが見えなくなり、1942年7月12日に大会の終止が発表。12月3日に第26回大会で優勝(2連覇)した和歌山・海草中が優勝旗を返還しました。海草中にとって中京商(第17回~第19回大会)以来の夏3連覇に挑む大会でしたが、中止によって幻となり、5年後に再開された第28回大会では全国大会出場を逃しています。
さて、今回の休校要請。学校が休校になれば、部活動を休まざるを得ないでしょうし、それでも活動するところもあるでしょう。都道府県によっても対応が分かれてくるでしょうし、公立校と私立校とでも対応が違うでしょう。
2020年。令和最初の選抜大会。どうなるのか・・・