この言葉はパーシー・ビッシュ・シエリーさん(19世紀のイギリスの詩人)の「If Winter comes, can Spring be far behind? (冬来たりなば、春遠からじ)」です。
ある予備校での話です。
入試直前に恋愛絡みの悩みを抱えている女子生徒がいました。12月に入ってから、彼女は交際していた人と別れ、勉強に専念することにしたのですが、なかなかそう上手く気持ちの切り替えが出来ませんでした。
予備校の先生も気にはなったそうですが、プライベートな領域の話なので声をかけることはしませんでしたが、合格出来る力のある子だけに、気にかけていたそうです。そんなある日、その女子生徒から「少し話を聞いて欲しい」と言われたそうです。
上手く話を切り出せずにいた時、冬の冷たい風が吹き過ぎました。その時、その先生が、こうつぶやきました。
「風立ちぬ。いざ生きめやも。ということかな」
彼女は首をかしげましたが、先生が
「風が吹いている。力強く生きなければならない」
と言うと、力強くうなずきました。その後、彼女は無事に医学部に合格し、今は眼科の医師として活躍しているそうです。
私たちは何かというと、他人と比べたがってしまいます。特に他人と比べて出来ていないこと、遅れているようなことをを気にして、それを取り戻そうとしたりして焦り、それがさらに焦りを生み出してしまい、何をしていいのか判らなくなってしまうことがあります。でも、他の人のことを気にしてどうするのでしょう。自分自身なのですよね。勝つのも負けるのも自分自身。だから、自分にだけは負けてはいけないのです。
他人に負けていようがどうでもいいじゃないですか。昨日の自分にだけは負けなければね。
いつもいつも「やらなきゃ」ばっかりだと楽しめないし、結果もついてこないと思います。もっと自信を持つべきでしょう。
カッコいい言葉なんかは要らないのです。マニュアルや技術で対応しようとしても、気持ちは伝わらず跳ね返されるだけです。仮にそれで相手に伝わったとしても、それはほんの一時です。
空腹の人に魚を与えても、それは一時しのぎです。本当に助けるのならば、魚の取り方を教えてあげることです。
さて、高校野球の練習試合解禁ももうあとわずかです。
冬来りなば春遠からじ。
努力を続けてこなかった者には、春は訪れません。でも、程度の差こそあれ努力を続けてきた者には、少なくとも春の訪れを期待する権利は与えられます。
いつまでも続く苦しみなどありません。でも、ここからが難しいのです。
目標に近付けば、近付くほど、それに比例して困難が増して来ます。乗り越えなければならない壁は高く、厚く、強くなります。
しかし、時がまさに熟しつつあるのだから、ここを我慢して、自分の力で乗り越えなければなりません。苦しみが勝手に逃げ出して行くことはないのですから。
今、自分がやらなければ、寒い冬は続き、光が差すことはないのです。
希望に満ちた未来が、もうすぐ控えている。