今年、2018年7月にファッション通販「ZOZO Town」を運営するスタートトゥデイの前澤友作社長は、プロ野球参入を希望していることをTwitterに投稿しました。それから約5ヶ月経った12月にプロ野球界参入を一時断念したことを自身のTwitterで表明しました。
「【大きな願望】プロ野球球団を持ちたいです。球団経営を通して、ファンや選手や地域の皆さまの笑顔を増やしたい。みんなで作り上げる参加型の野球球団にしたい。シーズン終了後に球界へ提案するためのプランを作ります。皆さまの意見も参考にさせてください。そこから一緒に作りましょう！ #ZOZO球団」2018年7月17日
「複数の球団オーナー様や野球関係者様との面会を通し、球団保有の可能性を探ってきましたが、近々での球団保有はいったん断念することにしました。すでにその旨をNPB斉藤コミッショナーにも公式にお伝えしております。残念ですが引き続き別の形で野球界に対する応援ができればと思います。」「野球少年だった自分が、生まれ故郷千葉を代表する球場に「ZOZOマリンスタジアム」としてネーミングの協力ができること自体が奇跡です。もっと夢を拡げて球団保有も想像しましたが、今回は努力と勉強不足でした。夢は夢として諦めず持ち続けたいと思います。」2018年12月11日
このとき、前澤さんは新規参入とも既存球団買収とも明確にはしませんでしたが、いち早く「球団は身売りしません」と反応したところもありました。まあ、野球好き男子としては、①プロ野球選手になること②プロ野球球団オーナーになること③現；東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当の国務大臣と交代することの3つで本懐を遂げることになるでしょう。
でも、③はともかくとして①は年齢的なことから断念してあげるとして、②は一般市民にとっては夢のまた夢なような話です。
まず、NPBへの参入するとなれば、①新規参入②既存12球団の買収のどちらかになります。
どちらも野球協約に明記されているので、これがクリアできれば誰もがプロ野球球団を持てるのです。例えば、新規参入する場合には、どのくらいの費用が必要かといえば次のようになります。
まず、野球協約第6章では、参入する球団は下記の要件を具備した法人であることが求められています。
・日本の法律に基づいて設立された、資本金1億円以上の株式会社(第27条)
・外国人の持ち株比率が49％を超えないこと(第28条2)
・公式戦を開催するための専用球場を保有すること(第30条)
次に手続きや承認が必要になります。
・既存球団の譲渡･新規参入の何れも、参加しようとするシーズンの前年の11月30日までに実行委員会およびオーナー会議の承認を得ることが求められる(第31条)
・実行委員会及びオーナー会議が承認または承認拒絶の決定を行う。申請者に対し、審議に必要な情報提供や聴聞への出席を求められることがある(第32条)
・実行委員会及びオーナー会議は、申請を受理してから30日以内に、申請事項に対する決定を球団に通達することを努力する(第35条1項)
そして、参入が承認された場合、球団は承認の翌日から30日以内に金員を納める必要があります。
・預かり保証金：25億円(第36条の5・第36条の6)
・野球振興協力金：4億円(第36の7)
・加入手数料：1億円(第36条の8)
・野球協約及び球団とコミッショナー間で締結された約定事項の承認･継承(第36条の4)及び野球協約の遵守などを記した誓約書を提出(第36条の9)
したがって、新規参入球団は約30億円は即金で支払う能力が必要なります。もっとも新しい東北楽天ゴールデンイーグルスの場合、これらの手続きにかかる費用のほかに約30億円の県営宮城球場を改修や球団事務所、職員、選手などの費用もありますので、なんだかんだ言っても100億円近くはかかるでしょう。
では、既存球団の買収とすれば、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。
2011年のシーズンオフにTBSHDが保有している横浜ベイスターズをディー･エヌ･エー(DeNA)へ譲渡された際には総額約65億円といわれています。2004年のシーズンオフには経営再建をしていたダイエーが自主再建を断念して産業再生機構への支援を要請し、機構側が「国営ホークスになることはない」と語ったことから球団の売却話が進み、また、プロ野球再編問題などもありましたが、ソフトバンク(現在のソフトバンクグループ)が球団を総額約200億円で買収し、翌年1月にダイエーが持つ球団株式を約50億円で譲り受けました。
新規参入にしても、既存球団買収にしても莫大な費用が掛かります。その費用をポンッと出せるような景気のいい企業は日本にはそうそうありませんね。
ブシロードは新日本プロレスを持っていますし･･･
