24日の千葉県大会準々決勝の習志野高対成田高でのことです。
習志野高が2点差を追う九回裏2アウト二・三塁の攻撃で、相手の成田高が満塁策を取るために習志野高の四番を敬遠しました。
しかし、成田高の取った策は敬遠。カウント3ボールからの4球目。大きく外れたボール球を空振りした。
結果的に敬遠で満塁となり、次のバッターがライト線に同点タイムリーを打って、試合は延長十二回に相手のエラーから成田高に6-5でサヨナラ勝ちをしています。
と、まあ、ここまではよく見られる光景といえば光景です。
ただ、九回の敬遠の場面。
一球目が明らかなボールになったときに、バッターはマウンド上の相手ピッチャーに数歩歩みよって、
「勝負しろよ!!」
と叫んだそうです。
この行為が高校生らしい(そもそも高校生らしいって、どういうことなんだろうか?)のかどうなのかは、実際に見たわけでもないですし、何とも言えないことではあります。
試合後、習志野高の四番は
「絶対に自分が決める。同点に追いつく」
「自分が打てないなら、せめてチームメートに気持ちを伝えたかった」
と答えていました。
その気持ちは判らないでもありません。
でも、野球というルールに則ったプレーでもあるのですよね。
高校野球での敬遠といえば1992年の夏の甲子園。明徳義塾高(高知)が星稜高(石川)の松井秀喜選手を相手に取った「五打席連続敬遠」です。あの時、松井選手は敬遠のボールを一度も振らずに一塁へと向かいました(公式記録はキャッチャーが初めから立った状態で与えた四球ではなかったため、「故意四球」ではなく「四球」となっているとのこと)。
松井選手は試合後のインタビューで
「正直いって野球らしくない。でも歩かすのも作戦。自分がどうこう言えない」
というコメントしています。
時代が変われば選手の意識も変わります。
これを比べると松井選手は大人の風格が既に漂っているようにも感じられます。
ただ、このどちらにも言えることが一つあります。
もう一人の当事者であるピッチャー。
その後、彼は一体どんな気持ちでマウンドに立っていたのだろうか。