ザ・ダイナマイト・キッドさん(The Dynamite Kid、本名:Thomas Billington)は英国出身の元プロレスラーです。
入場曲
王座の間とエンド・タイトル(ジョン・ウィリアムズ)(国際プロレス時代)
Magic(ビリー・コブハム)(新日本プロレス時代)
Car Wars(トム・スコット)(全日本プロレス時代)
Rule, Britannia!(WWFでのブリティッシュ・ブルドッグス時代)
英国マットを経てカナダのカルガリーで活躍し、1980年代後半はWWFでも活躍。日本では初代タイガーマスク選手のデビュー戦の相手として、また、その後の好敵手として、また、藤波辰爾選手らとも名勝負を繰り広げ、「肉体の表面張力の限界」とまで言われた鍛え抜かれた筋肉を備え、プロレスファンを熱狂させてくれました。
プロレスの基本とも言える、過剰なまでの受身で対戦相手の攻撃を引き出す一方、スピーディかつ直線的、自らの危険すら顧みない妥協なき攻撃スタイルから「剃刀戦士(カミソリ・ファイター)」とも形容されました。このスタイルは後世のレスラーらにも多大な影響を与え、目標に掲げるレスラーは今なお多く存在します。
その、キッドさんが亡くなったことが2018年12月5日に分かりました。60歳の誕生日を迎えた当日でした。死因は不明ですが、2013年に脳卒中を起こして倒れ、他にも心臓の病など複数の健康問題を抱えていました。2016年にはNHK BSで放送された「タイガーマスク伝説~覆面に秘めた葛藤~」に出演しましたが、この時も闘病中でした。また、今回、海外のプロレスラーが亡くなったことをNHKが報道しましたが、これは異例なことであります。
劇画「タイガーマスク」の「虎の穴」のモデルとされる英国のジム「蛇の穴」で鍛えられ、1975年に17歳でデビュー。1978年1月にブリティッシュ・ウェルター級王座を奪取、4月にカナダのカルガリーへ渡り、7月に英連邦ミッドヘビー級王座の初代王者に認定。その後、国際プロレスの「'79ビッグ・サマー・シリーズ」で初来日し、7月19日の試合で寺西勇選手を相手に30分時間切れ引き分けしています。同年8月に新日本プロレスのアントニオ猪木さん、坂口征二さん、藤波選手のカルガリー遠征にて、藤波選手とWWFジュニアヘビー級王座戦が行われています。
1980年1月から新日本プロレスへの移籍し、以降、新日本のジュニアヘビー級戦線にて、藤波選手や初代タイガーマスク選手のライバルとなって活躍。
1984年1月に開催されたWWFジュニアヘビー級王座決定リーグ戦で、従兄弟のデイビーボーイ・スミス選手およびザ・コブラ選手との三つ巴決勝戦を制してチャンピオンに輝いています。
1984年11月、全日本プロレスへスミス選手と共に移籍。新日本の「第4回MSGタッグ・リーグ戦」に出場が予定されていたキッド&スミスが全日本の「'84世界最強タッグ決定リーグ戦」に参戦するという衝撃的な移籍劇でした。
1985年よりWWFに本格参戦。スミスとのタッグチーム「ブリティッシュ・ブルドッグス」で活躍。
1986年4月7日にはレッスルマニア2のロサンゼルス大会に出場し、ドリーム・チーム(グレッグ・バレンタイン選手&ブルータス・ビーフケーキ選手)からWWF世界タッグ王座を奪取。同年12月13日、カナダのハミルトンでのタッグマッチ(ブリティッシュ・ブルドッグス選手 vs. カウボーイ・ボブ・オートン選手&マグニフィセント・ムラコ選手)において、試合中のアクシデントにより椎間板に重傷を負ってしまいます。このケガにより、その後の選手生命に大きな影響を与えることとなりました。
1988年末にWWFを離脱。
1989年からは再び全日本プロレスへ復帰。
1990年にデイビーボーイ・スミス選手とのコンビを解散し、ジョニー・スミス選手とニュー・ブリティッシュ・ブルドッグス(ブリティッシュ・ブルーザーズ)を結成。
1991年4月6日に小橋健太さん&菊地毅選手を破り、アジアタッグ王座を獲得。
1991年の世界最強タッグ決定リーグ戦最終日に現役引退を表明。
1993年7月に復帰。
1996年10月にみちのくプロレスの両国国技館大会に来日。ドス・カラス選手&小林邦昭選手とタッグを組み、初代タイガーマスク選手、ミル・マスカラス選手、ザ・グレート・サスケさん組と対戦。
2016年10月5日にNHK BSプレミアムで放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」に出演。1986年に負った椎間板の大ケガ、役時代のステロイド剤を始めとする多種の薬物群の投与や脳卒中に倒れた後の介護施設に滞在中の様子がTVに映し出されました。
主な技
■ダイビング・ヘッドバット
代表的なフィニッシュ技。マット上に寝ている相手に向かって、トップロープからジャンプして倒れ込み、自らの頭部を相手にぶつける技。コーナーから離れた相手に対して非常に長い飛行距離で放つ一方、コーナーのほぼ真下に寝ている相手への、飛行距離の短い「直下式」も使用していた。キッドの場合、相手の頭部を狙って繰り出している点が最大の特長であった。
■ツームストーン・パイルドライバー
1983年4月の初代タイガーマスク選手戦で佐山聡選手に頸椎損傷の重傷を負わせ、欠場に追い込んだ技。
■低空式ブレーンバスター
実況アナウンサーの若林健治さんは「名刀村雨」と呼んでいたこともある。一度両足で大きく踏み込んでから、一気に高速で反り投げるもので、そのイメージがナイフで切り裂くようであったから「剃刀ブレーンバスター」とも呼ばれた。クリス・ベノワ選手や菊地毅選手が影響を受けて、ほぼ同じ形のブレーンバスターを使用。
主な獲得タイトル
【ジョイント・プロモーションズ】
ブリティッシュ・ライト級王座 : 1回
ブリティッシュ・ウェルター級王座 : 1回
ヨーロピアン・ウェルター級王座 : 1回
【スタンピード・レスリング】
英連邦ミッドヘビー級王座 : 5回
スタンピード世界ミッドヘビー級王座 : 4回
スタンピード北米ヘビー級王座 : 1回
スタンピード・インターナショナル・タッグ王座 : 6回(w / セキガワ、ロック・ネス・モンスター、Kasavudo、デューク・マイヤース、デイビーボーイ・スミス×2)
【パシフィック・ノースウエスト・レスリング】
NWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座 : 1回
NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座 : 1回(w / ジ・アサシン)
【新日本プロレス】
WWFジュニアヘビー級王座 : 1回
【ワールド・レスリング・フェデレーション】
WWF世界タッグ王座 : 1回(w / デイビーボーイ・スミス)
【全日本プロレス】
NWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座 : 1回
アジアタッグ王座 : 1回(w / ジョニー・スミス)
アトランティック・グランプリ・レスリング
AGPWインターナショナル・ヘビー級王座 : 1回