【GoToトラベルの全国一時停止
~ なぜ、遅きに失したのか の巻】
理非の分からぬことを、甲斐のないことを
同じようなことばかり繰り返し並べ立てる、
となれば、やがて相手にされないようになる。
しかも、他人に諭したつもりでも
相手が自戒せずなら何をか言わんや。
ああ、これも愚痴(ぐち)であるか。
愚痴は仏典から出た言葉で
「妙法蓮華経譬諭品」のなかにみえる。
為度衆生。生老病死。憂悲苦悩。愚痴暗蔽。三毒之火。教化令得。阿耨多羅三藐三菩提。(衆生の生・老・病・死・憂悲苦悩・愚痴暗蔽・三毒の火を度し教化して阿耨多羅三藐三菩提を得せしめんが為なり)
阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)とは、最高の正しい悟りの意味である。
サンスクリット語の音写。阿耨多羅は「無上の」、三藐は「正しい」、三菩提は「悟り」である。
◇
■あべこべ、かーー
商人たちが、鹿の啼く声を聴き、
世俗の惑いをひととき忘れようと、
風流気を抱いて山寺に集まった。
四方山の話をしながら待つうちに、
いつしか商売のグチとなる。
カネづまりのこと。
不渡小切手をつかまされたこと。
株が下がって大損したこと。
俗人たち、つい常が出る。
これらを言い合ってこぼしていると、
縁外に誰かが立っている。
「お前さん、誰だい?」
「鹿です」
「何故、啼かないんだい」
「俺は、お前さん方の泣き言を聴きにきたんだ」
暗蔽(あんぺい) 煩悩に心がおおわれて道理がわからないこと
鹿(しか、ロク、しし、か)
1. 獣の名
2. 帝王の地位。また、政権や地位
3. 大坂の遊里で大夫、天神に次ぐ遊女の位 (揚げ代が十六文。「四四」を「鹿 (しし) 」にこじつけた)
4. 咄家 (「はなしか」を略し、鹿の字を当てた)