囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

妻の顔さえ見ておらず

2020年12月14日 | 雑観の森/政治・経済・社会

 


数字だけを見て云々するな 

 ~ 会議、会議もいいけれど

 ~ 医療崩壊の危機を軽視してはならぬ の巻】

 


江戸中期の南宋画の大家、池大雅は

京都・祇園のほとりに住んでいた。

ある日のこと、

急に大坂に行くことを思い立ち、

家を飛び出して建仁寺の前あたりまで

すたすたと歩いていると、

後ろから「もしもし」と呼ぶ女の声がした。

 


ちょいと振り返ってみると

息を弾ませて追いかけてきた人が

ひたいの汗をぬぐいながら

無言で一束の筆を差し出した。

 


そそっかしい彼は度を失った。

何度もそれを押し抱きながら

「これは、どこのご婦人か、

よく拾ってくださいました」

とぺこぺこ頭を下げて礼を言い、

そのまま、あっさりと歩き出した。

 


これは家にうっかり忘れてきた筆を

妻の町子(玉瀾)が見つけ出し

驚いて後を追って届けたのだった。

しかし、慌て者の良人が気づかないのをみた

町子もそのまま黙って引き返した。

彼女もまた画家として知られていた。

変わり者の夫婦だった、と巷では噂した。

 


         ◇

 


冬がきて予想通り疫病騒ぎは大きくなる一方だが、

医療関係者の声を聴いているようで聴いていない政治家たち。

看護師不足の深刻さを数字でしかとらえられず、

現場をつぶさに見て必要な対応を取ろうとしない。

要するに、その最前線をよく見ようとする姿勢が

ここに至っても感じられないのはどういうワケか。

まもなく一年が過ぎようとしているのに。

部分に気をとられ、全体を掌握できているとは言い難い。

またぞろ大本営の現場軽視の悪夢が現れてきたのか。

政治のベースは心根であり心配りあり、変わり者では済まされぬ。

歴史に学ぶことなく、歴史は繰り返される。

 

▲一番に見るべきところ、そこではなかろうに……

▼そして、しぶしぶ。自分たちの首が第一



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