囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

“サクラ”異聞

2020年01月31日 | ●○●○雑観の森

いにしえの小話「インチキの名人」 ~ 侮り難き卑屈さを巡る断章の巻】

 

今は昔
大道芸人の仲間が“妙案”を思い付いた

見物人に混じり、まるでお客のように見せかけて
品物を買いながら、巧みにその良さを吹聴する

すると多くの見物人は、つられて購買心をそそられ
粗悪な品物を競って買うではないか

 

サクラという隠語は、
「馴れ合い」のインチキ、カラクリのことを指す。

その語源は策略(サクリャク)がなまって
サクラとなったともいわれている。

インチキの類いは元々、
バクチ打ちや盗人など「裏社会」で使われていた隠語である。
ヒトの眼を盗みカネを巻き上げるのを生業にする輩の専売特許。
むろん特殊詐欺もその流れで、姿かたちを変え巧妙を極める。

いつの間にやらデタラメイカサマも「表社会」で使う言葉になった。
しかし、こちらのだましの手法はといえば、
絵にかいたような幼稚なウソが主流である。
滑稽であり、笑止であり、卑屈である。

サクラスキャンダルは既に論理破綻しているのだが、
なかなかに収束の気配がなく、長期戦の様相である。
だが――

卑屈さを
責めたりなどせぬがよい
世間が何と言おうとも
卑屈さは侮りがたい強みだぞ (ゲーテ「西東詩集」)

 

         ◇

 

インチキの名人という小話もある。

 

ある新婚の若夫婦のところに
芝居の切符が入った差出人不明の手紙が届いた
「私が誰だか、当ててみてください」
とだけ書いてあった

二人はさんざん考えたが、さっぱり見当がつかない
しかし、せっかくの好意を無駄にしては申し訳ない、と
芝居見物に出かけた

さて、帰ってみると、家の中のめぼしいものは
すっかり盗まれている

驚いて机の上を見ると、今朝の手紙と同じ筆跡で
「私が何者であるか、はっきりと分ったでしょう」

 

▲ ん? これはもしかして噂の招待券であるな タダより高いものはなし ご用心あれ!

 


法律も大物だけは素通りし 詠み人知らず

 

いつの時代も

善良なる小市民はお人好しのカモであろうか?

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mirapapa)
2020-01-31 22:34:55
ああ、胸のすくような文章を読ませていただきました!
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Unknown (mirapapa)
2020-01-31 23:08:24
フォローしていただき、ありがとうございました。
よろしくお付き合いください。
返信する
Unknown (fumi-bow1956)
2020-02-01 05:20:55
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
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