▲盤面をじっくり見詰めて考える人
碁笥に手を突っ込んだままどこに打とうか迷っている人
碁石を持つ手が空中にさまよい、なかなか碁盤に置けない人
遠くから見ても、棋力はだいたい想像できる
このところ
初段あるいは二段と
碁盤を囲むことが増えている
初段には5子置いてもらい
二段には4子置いてもらう
お渡しするハンディは
石一つに「12目以上」なので
初段には60~70目見当
二段には50~60目見当
この差をどう詰めていくかが
「白番の面白さ」である
こちらが大石を撲殺し
大差で終わることもあれば
うまく凌がれて
ヨセで追い掛けざるを得ず
いい勝負になることもある
わたしが勝てば、
相手の勉強不足であり
わたしが負ければ、
昇格可能性あり
ということになろうか
つまり僅差で負けるのが
収まりがよいといえよう
さて
前置きが長くなったが
このクラスつまり低段者の
「克服すべき項目」を三点に絞り
経験的実感から指摘しておきたい
■戦いの仕掛けが早すぎる
相手の陣地が大きく見えて
無理に突入して自滅する
いわゆる「ヤキモチ」である
級位者には通用しても
上位者は反撃される
狭い所に無理に入れば
形勢が悪くなる確率は高い
時々は上位者と打たないことには
いつまでも悪癖は直らない
序盤にワンサイドを期待するのは
無理筋になることが多い
碁は長期戦であり
焦らずじっくり打ちたい
■重要局面を理解していない
碁の序盤で
一手の価値は「20目」程度
それが段々小さくなり
「15目」「10目」となる
「数目」から「1目」になり
そしてゼロ目つまりダメである
その前に「手入れ」を怠りなく
石が混雑してくる中盤戦で
突然「30目、40目」の局面が
出現することがある
この瞬間が直覚的に
分かるか、分からないかが
勝負の分かれ目である
ポカとか、悪手とかは
経験的な眼力と感覚とによるもので
これを実力というのであろう
■ヨセを軽視している
碁の平均手数は230手といわれる
〝中押し〟の碁を含めてのことで
最後まで打つ〝数え碁〟なら
短手数は200手を少し超えたあたり
長手数は300手超の難戦も稀にある
おおむね100手を超えたあたりから
ヨセとなり、数目の得を争い
最後は1目を巡る攻防となる
そのあたりで「もう終わりですね」
という人は、これ以上強くなれない
1目ずつ得をすれば、10手で10目
20手で20目の差が出るのだから
四の五いわず「ダメ詰めと手入れ」を行い
整地を美しく手際よく出来れば
どこに出しても恥ずかしくない有段者
そうでなければ、いつまで経っても
碁会所も大会も行くことが出来ない