ソ・ソ・ソクラテス
歌:野坂昭如
詞:仲畑貴志
曲:桜井 順
ソ・ソ・ソクラテスか
プラトンか
ニ・ニ・ニーチェか
サルトルか
みんな悩んで大きくなった
大きいわぁ 大物よぉ
おれも おまえも 大物だぁ
そうよ 大物よぉ
1976(昭和51)年
【 ♪ 今はもう秋 ~ 哲学なんか してしまう の巻】
「善く生きる」
これは、
ソクラテスが死刑判決を受け、牢獄につながれていた時、
旧友クリトンが「無実なのだから逃亡すべきだ」と脱獄を勧めた際に、
静かに語った言葉である。
「最も大切にしなければならないのは、生きることではなくて、
善く生きることである」(プラトン著「クリトン」)
死刑を目前にソクラテスが、友を相手に口にしたのは
「人間にとっての この究極の問い」だった。
◇
ソクラテスの弟子を自認する「ギリシャ哲学研究者」は
以下の四つの論点を軸に研究を続けた。
一つは、幸福とは 第一に自己実現であること。
二つ目に、自己実現は生きる条件であって、その意味ではない。本当の喜びは、他者との交わりのうちにあること。
三つ目は、宇宙の全ての存在者の根源との関わりの問題が存在する。普遍的な霊性を学ぶ姿勢を持たなければならないということ。
最後に、どのような社会を形成すべきであるのか、と。
研究者の一貫した信念は
哲学はユートピアを語らねばならない、
だった。
◇
残念なことに、わたしは ご存命のうちに講演を聴けず仕舞い。
しかし手元に、これまでの幾多の講演内容をまとめた書き物があり
それを幸いとさせていただいている。
実直にて真摯、そして熱い想いが、行間から伝わってくる。
岩田靖夫(いわた・やすお、1932~2015年) 哲学研究者。文化功労者。東北大及び仙台白百合女子大名誉教授。古代ギリシャ哲学専攻。