最後に
「兵法三十五か条の書」
を取り上げたい。
「五輪書」「独行道」の4年余前
これらに先行する述作であり
目次風の草稿のようでもある。
「五輪書」よると
13歳から29歳までの六十余度の勝負に無敗
との記載がある。
無敗のまま金メダルを獲得し
天寿をまっとうしたムサシである。
著述家としてデビューするムサシは
「兵法三十五か条の書」の序文で
こういう風に書いている。(抄)
兵法二天一流を
多年にわたって鍛錬してきましたところを
今 初めて筆をとって書きましたものの
順序の整わない言葉を連ねるばかりですが
日頃習得しました太刀の運びや心得について
思いつくままに そのおおよそを
書き表したものであります。
本文八番目の記述
「こころのもちようのこと」
を引用して
シリーズの締めくくりとしたい。
こころの持ちようは
弱気になり 萎縮することなく
はやり浮かれることなく 策略を仕懸けることなく
恐れることなく 真っ直ぐに 広く保ち
一つのことに集中する意志である意のこころは軽めに
大きく広い心構えである心(しん)のこころに重きを置き
こころを水として ときどきに従い ことに即応することである。
水には澄んだ深い緑の淵も 一滴の水も 青い海もある。
よくよく考え尽くすべきである。(いずれも現代語訳)
【おまけ二題】
漂流男 こう思ふ
新型ウイルス禍が深刻になるなか
開催の是非が取り沙汰され
論点がゴチャゴチャになったまま
TVオリンピックに突入した
そして、やっぱり、多くは
それなりに楽しんでしまった
低レベルの人物が政権中枢でも
何んとか沈没せずにいることに
国民は諦念と慢心と過信を
確かなものとしたんじゃないかな
だから、成功といっていい!?
なあんて低レベルきわまりない
TVや新聞の論調もちらほらあるから
どうしようもない国でもあり
すばらしい国でもあるのだ
民度も国力もそこそこなのに
地球儀を俯瞰すると比較優位なんだから
そこは ユルく思うしかないか
阿川弘之 かく語りき
状況が変われば
口をつぐんで
一切語らなくなるのが
大声で正義を振り回す人たちの
特徴である
「二刀流伝説」の本記はここまで
まもなく余話を掲載いたします