「ケメコさん!」
「ハイ。」
「イエネ こないだケメコさんが持ってた
電話 欲しいんだけど!」
「携帯ですか?」
「そうそう、それ!」
「わかりました。
殿!お義母さん 携帯が欲しいんだって。
一緒に買いに行ってあげようよ。」
「携帯?」
「イエネ、一緒にお食事した 斎藤さんの奥さんも
持ってるんですって!だから私も!」
「これから 買いに行きますか?」
「そうね!早いほうが良いわ!」
「殿 どう?」
「これから 今日 行くの?」
「ええ!」
「じゃあ 行こう。」
「随分な人ね!」
「待ちますよ?」
「しょうがないわね!」
「呼ばれましたよ。」
「はい どうぞ。」
「年寄り向けの携帯で、一番安いプランでお願いします。」
「お義母さん 色はどれが良いですか?」
「そうね!これが良いかな!」
「どうもありがとうございます。」
「ただいま。お疲れ様でした。
じゃあ 早速ですが、お義母さん。
使い方を教えます。
箱から出して下さい。」
「ケメコさんが出してよ!」
「私が出してしまって良いですか?
ハイ。どうぞ。
この下向き矢印を押していくと
掛けたい人が出てきます。
出てきたら この受話器が緑色のボタンを押してください。
試しに ジロウさんに掛けてみましょうか。」
…………
「殿、電話 掛るからね。」
「もしもし。」
「掛かった!」
「切るときは この受話器が赤色のボタンを押すんです。
はい。切れました。
じゃあ 私から電話掛けますから 出てください。
電話が鳴ったら、この受話器が緑色のボタンを押すんです。」
「もう!沢山!」
「ヘ?」
「おいおいで 良いわ!
今日は もういいです!」
「…そうですか…」
「ハイ!どうもありがとう!」
しかし 義母が携帯を使う事は 無かった。
┐(´д`)┌ヤレヤレ