草の道・山田坂
(阿蘇市山田)
令和5年4月17日 快晴
< 草の道とは >
阿蘇谷の集落と外輪山の上にある草原を結ぶ坂道。
その昔、人と牛馬が往来した古道で
放牧や採草に利用されていたことから「草の道」と呼ばれている。
<昨年の下見踏査>
昨年の暮れ((2022.12.27) 相棒の石ちゃんと山田坂を踏査したが、
それらしいき「草の道」は探し当らず・・・あきらめて下山。
帰路の林道ですれ違う軽トラを止めて、山田坂を尋ねると
「その駄道は鞍岳さんから入ります」との返事・・・
軽トラの人(猟師)は石ちゃんの、
たまたまの顔見知りの人で現地まで道案内された。
その現地とは私たちが下って来た林道を引き返し、
当初私たちが林道路肩に駐車して出発した場所であった。
路肩木立の高みに鞍岳さんが鎮座されていたことは
全く気付かなかったのが昨年踏査時の顛末であった。
<今回の踏査>
山田坂の取付き点は、昨年の下調べで分っていたので
登るタイミングを心待ちにしていた。
野焼きの後であれば
外輪山上端に広がる原野にも、遮るものも無く、思うままに歩ける。
外輪山を遠望すれば山肌は黒から緑色を帯びつつあり、
この時機を延ばせば草が茂り藪漕ぎで苦労必死・・・
前夜に石ちゃんを誘い、石ちゃんの軽トラで一路、
山田集落の瀧水寺を目指す。
(行程)
「鞍岳さん」登山口(発11:15)→森林限界(着11:55)→外輪山縁
(着12:20~昼食~発12:50)→ミルクロ-ド出合(着13:10)
外輪山縁(発13:35)→「鞍岳さん」登山口(着14:10)
【草の道・山田坂ル-ト】←地理院地図からキャプチャ
↑【瀧水寺(りゅうすいじ)】
阿蘇西国三十三ヶ所観音札所の 11番札所
←(出典:阿蘇西国三十三ヶ所巡礼ガイド)
↑【 寺号額(じごうがく)】
↑【山田坂へのル-ト】←(goo地図からキャプチャ)
瀧水寺まではスムーズに着いたが、山道(車道)に入ってから
昨年の暮れに走ったル-トの記憶があやふやとなり定かでない。
石ちゃんも私も、国会答弁では無いが『記憶にございません』(笑)
そんな訳で道幅の広い方の林道に進入・・・
荒れたゴロゴロ道を5分位走り、間違いに気づき引き返す。
引き返す途中、
伐採木を作業車で運搬中の地元の方と出会う。
猟師もされているというこの方は昔の駄道にも詳しく
石畳の遺跡に案内された。
↑【出会った林業者・石畳の道へ案内される】
この石畳みは小野田坂にも通じるとの説明。
もしかすると林道が整備される前は、
山田坂の草の道はこの石畳みを辿っていたのでは無いのではないか ?
そんな疑問が頭を巡る。
次の機会にこの石畳みを下って踏査しよう・・・
↑【地元の人が「鞍岳さん」と呼ぶ登山口】
林道路肩広場に駐車してここからが歩き
↑【鞍岳さんに祀られている馬頭観音】
↑【道幅も広い安定した登路】
↑【「草の道」特有の九十九折】
↑【苔生した石垣】
城壁のような石垣が積まれ、このルート一番の景観・・
先人達が「よこい場」として一息いれた場所であろうと懐古される。
*よこい場とは←(出典:阿蘇ペディア)
↑【苔生した石垣の正面】
正面は岩山となり、大岩が立ち並ぶ
↑【石垣を離れて10分の登路】
どこかで、道の選定を誤ったのであろう・・・
草の道の様相は全く無く藪に突入、
森林限界の木立を過ぎると踏み跡も消え、藪の中を右往左往。
↑【藪の中をひたすら登る】
天辺は視えているのでただ登るだけ(苦笑)
↑【藪から出ると広い牧野道が整備されていた】
↑【牧野の丘陵からくじゅう連峰を展望】
↑【像が鼻の先に阿蘇五岳を望む】
↑【ミルクロ-ド出合】
広い牧野道を辿り、景色を楽しみながら快適に歩く。
↑【ミルクロ-ド出合】←(Google マップからキャプチャ)
ここから復路 ↓
↑【復路での入口】
往路で出た場所は「駄道」の様相を成していなかったので
往路とは、別の場所から取り付く(単なる感で)。
何しろ藪化して判別がつかないまま下って行く。(不安)
下るに従い、駄道らしき道幅が現れ 駄道である事を確信。(安堵)
↑【登路沿いに咲くミツバツツジ】
登路の目安としてはこの木が目標と成る・・・
↑【登路選定を間違えた場所】
駄道は赤ライン
黄ラインに入ると谷筋となり、
流水による浸食道ではないだろうか ?
↑【今日辿った「山田坂」の天辺と思われる】
昨年、下見踏査時の撮影
登山を終えて
<猟師さんが話された「駄道」と「鞍岳さん」について>
(駄道)
これまで草の道は、10本以上は歩いているがその都度
地元の人々に尋ね尋ねして、ル-トを探すのが常である。
その際、「草の道」の文言では反応が薄い。
地元の老人達は「駄道」と呼んで来ていられるようである。
(鞍岳さん)←出典:阿蘇ペディア
馬頭観音を本尊とする畜産の神様です。
昔から畜産の盛んな菊池、鹿本、益城、阿蘇地方では
牧の神の信仰が厚い。
標高1119㍍の鞍岳の頂上直下の観音堂(菊池郡旭志村)、
山麓の菊池郡大津町御願所にある円満寺の奥の院は、
俗に「鞍岳さん」の名で親しまれ、祭りの3月18日には
地元はもとより鹿本、益城、阿蘇の村々から馬を引いて参拝が行われましたが、
最近では馬の代わりに耕うん機などに代わりました。
阿蘇地方ではあか牛の放牧が盛んで
「打越さん(打越神社=阿蘇市)」のお札が畜舎に貼ってあります。
阿蘇地方の人々は見晴らしのよい高台に牧の神を祀り
「山の神」と呼ぶこともあります。
(過去に歩いた「草の道」)
① 2011.01.14 栗の木坂
② 2011.02.22 三野坂
③ 2011.03.27 古閑坂
④ 2011.04.06 願成就坂
⑤ 2016.03.22 木落坂~片隅坂
⑥ 2016.07.07 古閑坂
⑦ 2016.07.28 阿蘇品坂・磐名木坂
⑧ 2020.04.10 東外輪山・願成就坂
⑨ 2021.01.19 阿蘇北外輪山・兜岩
⑩ 2021.01.31 九州自然歩道・外輪壁ル-ト
⑪ 2021.02.09 阿蘇北外輪山・ようち坂
⑫ 2021.03.15 阿蘇品坂
⑬ 2021.12.15 北外輪山・狩尾坂
⑭ 2022.02.28 立山坂
⑮ 2022.03.12 阿蘇東外輪山・野中坂(南坂)
⑯ 2022.04.02 東外輪山・いざり坂
⑰ 2022.04.09 東外輪山・いざり坂
⑱ 2023.03.29 扇谷(阿蘇市小倉)
(2023.04.29 加筆)
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