韓国ドラマ「太王四神記」第24話/最終回『二千年の時を越えて』の感想です。
今回、長くなりますので、記事を前半と後半で分けました。 前半はこちら です。
ネタばれを含みますので、まだドラマをご覧になってない方はご注意下さいませ。
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後燕と火天会の連合軍10万。対するタムドクの太王軍は高句麗・契丹・靺鞨(まっかつ)連合軍の4万。
「敵に比べ我々は少ない。しかし、必ず勝利するだろう。
なぜなら、我々は負け方を知らないから」
全軍を鼓舞する太王タムドク。時の声が轟きます。
合戦の火蓋が切って落とされました。
(以下、戦争シーンの描写があるため、反転します)
この戦いの中で、昔からタムドクに仕えていた二人、北方の絶奴(チョルロ)部族の長フッケ将軍と近衛隊隊長コ・ウチュン将軍が、壮絶な最期を遂げます。
フッケ将軍は、戦うタムドクの姿を見つめながら満面の笑みを浮かべ、地に崩れ落ちました。
ホゲの刃(やいば)の前に倒れたコ将軍は、タムドクの胸に抱かれて息を引き取りました。←ここ、ちょっとフッケに同情しました。
ホゲもまた、タムドクの槍に貫かれ、絶命しました。
天のくびきを今逃れ、ようやく安息を得た表情で倒れるホゲの体。
それを見つめるタムドク。
しかし、ここまでに払われた犠牲は大き過ぎました。
タムドクの瞳が、敵味方入り乱れ、血で血を洗う凄まじい戦場を見つめます。
フッケ、コ・ウチュン、ホゲの死に様の描かれ方、それぞれの俳優さんの演技、特に目の演技が素晴らしかったです。
タムドクの、内心に強い決意を感じさせるまなざしも素晴らしかったです。
そんな両軍相まみえて戦う戦闘のさ中、スジニは単独で馬を走らせ、阿弗蘭寺(アブルランサ)に乗り込みます。
阿弗蘭寺では、神檀樹(シンダンス)の祭壇に四つの神器を並べ、準備万端整えた大長老が痺れを切らし、アジクの心臓を祭壇に捧げようとしています。。
涙ながらにアジクと親子の対面を果たしたキハは、もちろんアジクを殺すことを良しとしません。
直接子供に手を下すことのできない大長老は、キハの体に乗り移り、子供を殺そうとします。
殺させまいとするキハの心と、心臓を得ようとする大長老の精神との、壮絶な戦いが繰り広げられます。
それを阻止しようとするスジニの力も及びません。
ついに大長老の精神が勝り、アジクの手に一筋の傷をナイフで負わせ……祭壇の上に一滴の血が流れました。
その瞬間、キハの体にすさまじい力がわき起こり、乗り移っていた大長老の精神を弾き飛ばしました。
子供の血を目にしたキハの瞳が紅く輝き、その体は炎に包まれて宙に浮かび上がりました。
キハが黒朱雀になってしまったということでしょうか?
スジニが黒朱雀なのでは? あれ…??
アジクを救い出したスジニを黒朱雀の灼熱の炎が襲いますが、間一髪、タムドクが二人を庇います。
一方、祭壇に流れたアジクの血が四つの神器を結び、封印が開かれようとします。
大長老はタムドクに襲いかかりますが、タムドクの手にした天弓からタムドクに不思議な天の力が流れ込み、大長老の体は塵となって消滅しました。
大長老の呪縛から逃れられたからでしょうか。炎の中でキハは穏やかな微笑を浮かべます。
で、結局、この大長老って、何者だったのでしょうか……?
それよりも!
今まで散々、チュシンの王の心臓の血が必要だ、と言われてきたのに、たった一滴の、しかも手から流れた血でも封印を解けたのですね??
あの大騒ぎは何だったのでしょう?
炎に包まれたキハに向かってタムドクは静かに語りかけます。
「キハ、もうやめてくれ。さもないと私が止めなければならない」
タムドクは一瞬天弓をキハに向けますが、思い止まります。
逡巡するタムドクを炎の中からキハが優しく見つめます。
「姉さんを止めて下さい。手遅れになる前に」とスジニ。
「やっと分かった。私がすべきことが」タムドクはキハに向かって語りかけます。
「そなたを信じられなかった。キハ、私が悪かった」
そう言うと、タムドクは天弓を真っ二つに破壊してしまいました!
瞬間、玄武の守り主ヒョンゴ、白虎の守り主チュムチ、青龍の守り主チョロを凄まじい衝撃が襲いました。
同時に祭壇に供えられた四つの神器も消滅しました。
「人はだれも間違いを犯す。天にこう言いたい。
これが人間だ。過ちがあれば悔い改める。無知から学んでいくのが人間だ。
天は問いかけているのだ。人間は自分たちで生きていけるのか、それとも、天の力を必要としているのか。
その問いに答えるのが、チュシンの王だ。
それがチュシンの王の使命だったのだ。
これが私の答えだ。
私は人間を信じる。必ずチュシン国ができると信じる。
私に代わり、子孫の誰かが成し遂げると信じる。
天の力は天に帰そうと思う。だから、もう大丈夫だ」
タムドクはそう告げると、祭壇の向こう、光の中へと静かに消えていきました。
その後ろ姿を見つめるスジニ。キハもまた炎と共に融けて消えてしまいました。
ちょっと待ったァ!! 一体どういう結末なのでしょうか!?
前回、第23話の天弓についての記述を思い出してみましょう。
「(天弓が)壊れたら、チュシンの王も死ぬのです。
神器も、封印された四神も、それらの主である王も命を落とすのです」
と言われていたのは記憶に新しいところ。
では、タムドクも四神の守り主たちも死んでしまったということですか!? そんな……(呆然)
そもそもこの回の冒頭で、スジニにあんな熱烈な告白をしておいて、それはないのでは!?
いや、巻き添えを食ったヒョンゴやチュムチやチョロの立場は…?
もう、?マークだらけですが、ラストのタムドクの功績を述べるナレーションによりますと…
「高句麗19代目の太王がおられた。この方は領土を広げ、王国に平和をもたらした尊敬すべき方である。
そのため、『広開土王』と呼ばれた。(中略)
ある者は、太王が天の力を断ち切ってしまったと言い、ある者は封印を解き、人間を解放したとも言うが、その真偽のほどは分からない。
ただ、太王がこんな言葉を残している。
『もう待つのは人ではなく、天だ。振り返れば、そこに天があるであろう』」
<年表>
404年 後燕を攻撃
407年 後燕が滅亡 北燕が興る
408年 北燕の王となった高雲(コ・ウン)へ使者を送る
410年 東扶余を討つ 64の白と400の村を攻破
412年 広開土王 逝去
史実によりますと、広開土王は在位22年、412年に39歳で死去しています。
ドラマのラストが404年ですから、当然このあともタムドクの治世は続いていた訳です。
ということは、ラストであたかもこの世を去って、神の国へ帰って行ったかのような描写がされていましたが……
以下、私の解釈です。
タムドクと四神の守り主はその神的な部分が死んで、つまり、天のくびきを断ち切って、人としての生を生きた、ということでしょうか?
チョロが死んじゃった(泣)……というのは悲し過ぎるので、そう自分に都合よく解釈することに致しました。
「太王四神記」全編を通じての感想です。
最初の頃の神話時代はやはり分かりにくかったです。
でも、途中からテンポの良い展開、美しいカメラワーク、素晴らしい音楽、魅力的な出演者陣、痛快な勧善懲悪――と、どんどん物語に引き込まれていきました。
惜しむらくは、私が日本人で朝鮮史を知らないせいか、神話とタムドクの物語の関係が今一つ呑み込めなかった点でしょうか。
特に最終回は難しかったです。
ともあれ、大変楽しいドラマで半年間、放送が楽しみでした。
他にも、こういう韓国の歴史ドラマがあったら、是非見てみたいです。
もちろんチョロ役のイ・フィリップさんの、できれば格好いい時代劇があれば、絶対見たい、と思います。
それでは、ここまで私の拙い感想をお読みになって下さった方がいらっしゃいましたら、お礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。尚、 前半の感想はこちら です。
*お人形はエリーです。
各話へのリンクです。11話から始まっています。同窓で開きます。
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