
第20話 グランドキャニオン

(クランドキャニオン写真)
7月30日(水)
朝、モーテルを出て、 北へ2時間ほど走り、 モニュメントバレーに行く。

ここはよく西部劇の舞台に使われる場所である。 その後また2時間ほど走って、 グランドキャニオンへ向かう。

途中、道端にへたくそなペンキ書きの看板が目に付く。
「インディアンのアクセサリー」、「インディアンの革製品」。 その脇に高さ1m位の棚があって、ネックレスやイヤリング、革製品が並べられ、 灼熱の炎天下、日焼けしたインディアンの若者が、道を走る車、 お客が来るのをポツンと一人待っているのです。
かつては、 自然から食物を得、 自然から着るものを得た誇り高いインディアン。 いつの間にか、白人社会の 「お金」というものが必要になってしまったのか。 「落ちぶれたインディアン」いや 「陥れられたインディアン」か。
グランドキャニオン、 ここは誰もが聞いたことがあると思いますが、 コロラド川の浸食作用で創られた大峡谷で、幅が6.5~29km、 深さが1.6kmもあり、遙か古代から現代までの地層が重なり、それが雄大できれいな模様を作り上げているのです。
僕は、この大峡谷のふちに腰掛けて、午後4時頃から陽が沈むまで、 ボーッとしていた。 時間によって岸壁の影や色が変化して、大自然が創る壮大な「芸術」である。 ここは、 アメリカ西海岸観光の目玉となっており、たくさんの人々が見学に訪れる。 日本人の団体も来ていた。 居眠りしながらバスに揺られて、ガイドさんに「はい。 ここがグランドキャニオンですよ。」「ここでは1時間の見学です。」なんて言われて、みんなで峡谷をバックに写真一枚取って、また次の観光地へと運ばれていくのであろうか。

観光客が少なくなる頃、いよいよここの芸術のクライマックスである。 太陽が向こう側の壁の裏へ沈んでいくと、スーッと闇が大峡谷に幕を落とす。 谷が無くなり、こちら側から向こう側へ、空間を歩いて行けそうである。

朝、この谷は朝日と共に幕を開けるのだろう。 日が暮れた。 「さあ、走ろう。 明日はラスベガスだ!」
途中、どこかのモーテルに泊ろうと思っていたが、2日続けて夕陽を見たせいなのか、どういう訳か昨日泊ったフロンティアモーテルへ引き返してしまった。
フロントに入っていくと何となく「ただいま!」と言いたい気分なのです。 フロントのおばさんも「おや、 また来たのかい、今日はどこに行って来たのかい?」 と聞きます。
今日見てきたモニュメントバレーやグランドキャニオンの事を話しました。おばさんは「それは良かったね。お前は自然が好きなんだね。」と言ってくれました。何かとても嬉しい気分でコーヒーをごちそうになり、自分の部屋に入りました。
そういえば、今日一日おばさんと話すまで、一言も人と会話をしてなかった気がする。 ベットに入り、「帰る所があるということは、いいものだな〜」としみじみ思ったのでした。
ここのモーテルの看板にはこう書いてあります。
[Your home away from home]
家から遠く離れたあなたの家)

(ホテルの部屋)

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