「夢の印税生活」のそんなに甘くない現実
ビジネス書作家の多くは執筆のみで食えない今回は印税について(写真 :sasaki106 / PIXTA)
ビジネス雑誌出版社、大手ビジネス書出版社での編集者を経て、現在はフリーの出版プロデューサー「ミスターX」がつづる連載「ビジネス書業界の裏話」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト 「アルファポリス」とのコラボによりその一部をお届けする。
印税の「印」は、実は印鑑の「印」印税の「印」は、実は印鑑の「印」
アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です
ビジネス書の作家は、その多くが別の仕事を持っているはずだ。ビジネス書で作家専門という人は、私はいままでお会いしたことがない。だいたい講演家、あるいは研修講師など、何らか別の仕事を持つ人がビジネス書の作家だと思う。
作家は、かたわらの仕事である。なぜならば、本を書いて得られる収入よりも、講演やセミナー講師のほうが稼ぎはいいからだ。作家という仕事は、世間が思っているほどには儲からない。
最近の講演料、研修講師料、コンサルティング・フィーがどの程度なのかは、現場を離れてしまっているので詳らかにはわからないが、私が講演料、講師料を支払う側にいたころは、1回あたりの金額のボリュームゾーンは10万~20万円だった。
ただし、私が支払う側にいたのは、1900年代までである。2000年代になってからは、社内での立場が変わったので、講演会、研修等には関わらなくなった。
そうして何年か経った後、旧知の研修講師の人に再会した折、講師料の相場について聞いたところ「Kさん(わたしの本名はXではないので)、いまはそんなにもらえないよ」と言っていた。
講師料の相場は、2000年代に入って大幅なデフレに陥ったそうである。だが、仮にデフレで半減したとしても、一回あたりの報酬は5万~10万円である。月に10回壇上に立てば、50万円から100万円となる。
本の印税で同額を稼ぐことは可能だが、一冊の本の原稿執筆にかかる時間と労力を考えれば、圧倒的に講師料のほうが比較優位性は高いはずだ。
稼ぎのメインストリームが他にあるせいか、ビジネス書作家の多くはあまり印税のことを気にしていない。
しかし、作家という仕事も経済行為である以上、印税に無関心というわけにはいかないだろう。それに世間の作家を見る目には、印税生活者という憧れに近い思い込みがある。
そこで今回は、少し印税のことについて書くことにする。前もって言っておくと、なにごともそうだが、「夢の……」などと言われるものの現実は、案外つまらないものである。
ビジネス書作家の多くは執筆のみで食えない今回は印税について(写真 :sasaki106 / PIXTA)
ビジネス雑誌出版社、大手ビジネス書出版社での編集者を経て、現在はフリーの出版プロデューサー「ミスターX」がつづる連載「ビジネス書業界の裏話」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト 「アルファポリス」とのコラボによりその一部をお届けする。
印税の「印」は、実は印鑑の「印」印税の「印」は、実は印鑑の「印」
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ビジネス書の作家は、その多くが別の仕事を持っているはずだ。ビジネス書で作家専門という人は、私はいままでお会いしたことがない。だいたい講演家、あるいは研修講師など、何らか別の仕事を持つ人がビジネス書の作家だと思う。
作家は、かたわらの仕事である。なぜならば、本を書いて得られる収入よりも、講演やセミナー講師のほうが稼ぎはいいからだ。作家という仕事は、世間が思っているほどには儲からない。
最近の講演料、研修講師料、コンサルティング・フィーがどの程度なのかは、現場を離れてしまっているので詳らかにはわからないが、私が講演料、講師料を支払う側にいたころは、1回あたりの金額のボリュームゾーンは10万~20万円だった。
ただし、私が支払う側にいたのは、1900年代までである。2000年代になってからは、社内での立場が変わったので、講演会、研修等には関わらなくなった。
そうして何年か経った後、旧知の研修講師の人に再会した折、講師料の相場について聞いたところ「Kさん(わたしの本名はXではないので)、いまはそんなにもらえないよ」と言っていた。
講師料の相場は、2000年代に入って大幅なデフレに陥ったそうである。だが、仮にデフレで半減したとしても、一回あたりの報酬は5万~10万円である。月に10回壇上に立てば、50万円から100万円となる。
本の印税で同額を稼ぐことは可能だが、一冊の本の原稿執筆にかかる時間と労力を考えれば、圧倒的に講師料のほうが比較優位性は高いはずだ。
稼ぎのメインストリームが他にあるせいか、ビジネス書作家の多くはあまり印税のことを気にしていない。
しかし、作家という仕事も経済行為である以上、印税に無関心というわけにはいかないだろう。それに世間の作家を見る目には、印税生活者という憧れに近い思い込みがある。
そこで今回は、少し印税のことについて書くことにする。前もって言っておくと、なにごともそうだが、「夢の……」などと言われるものの現実は、案外つまらないものである。