
「エーシー」 耳に残る声で終わるテレビCMを知らない人は少ないはずだ。
一般企業、広告会社、新聞・放送などで運営する民間組織の「公共広告機構(AC)」。環境や公共マナー、青少年問題、医療・福祉など現代が直面するテーマを取りあげ、独自のキャンペーンを展開している。大阪市で71年に誕生した関西公共広告機構が前身だ。創設に動いた中心人物の一人が、サントリーの名物経営者、故佐治敬三さんだった。
あの「ランランリラン♪ シュビラレ……」という曲に乗せた「オールド」のCMが、すでに流れていた時代。売らんがためだけの広告に満足しなかった佐治さんは、自社のみならず、広告に商売の世界を超えた価値をもたせたかったようだ。
ACはまだ地味な方で、音楽や美術、学術、出版などの文化活動、スポーツのパトロン(後援者)を買って出た。経営に趣味を持ち込んだとの批判もあるが、その思いは「もうけるだけでは、ちっとも、おもろない」だったと言える。裏返せば「ただ、もうけるだけでええのか」「もうけて、何をしたいんや」という問いかけだろう。
時代は流れ、佐治さんの思いとはかけ離れた話が増えた。「偽装」などは論外だが、「もうけてどこが悪い」との開き直りに、「拝金主義がまん延している」と言い立てる声にも息苦しさを感じる。面白いことを見つけて、面白がる余裕をなくしつつある世の中の反映と思えるからだ。
あす3日は、佐治さんの九回忌。もうけて、あるいは稼いで、「何をしたいのか」。自らに問うてみたい。(中村秀明 毎日新聞)
そうだったのか!前々から、どんな団体がなんの目的でこの手の映像を流しているのかと思っていた。佐治敬三さんって時代を先取りしていたんだね。
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