DDT (dichlorodiphtrichloroethane) の合成法は、19世紀にはすでに発明されていたが、
このDDT が有効な殺虫剤であることは、20世紀に至ってから確認された。
DDT の毒性について、1962年、米国のレイチェル・カーソン
Rachel Louise Carson (1907~1964) は、「沈黙の春」という本を出版して、毒性が鳥類に強く
作用することを主張した。彼女は農業団体からひどい抑圧・圧迫を受けたが、
レイチェルの主張は、 やがて広く認められ、1971年には、日本でも DDT の製造・使用
が禁止された。それまでは、小中学生のシラミ退治のために、頭に直接、薬剤の白い粉を
吹き付けていたのは歴史の事実
没後の1965年に出版された「THE SENSE OF WONDER」では、幼少期に自然と直接的に関わる中で、
子どもが不思議に思ったり、感動したりすることをセンスオブワンダーと呼び、もっと知りたいという思い
が促されるとした。この作品は、姪の子どもであるロジャーを引き取り養育することになったレイチェルが
ロジャーとメインの森や海を体験したことなどをエッセーとしてまとめられたものです。「もしも私が、
全ての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯
消えることのないセンスオブワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性を授けて欲しいと頼むでしょう」
「子どもが出会う事実の一つ一つが種子だとしたら、様々な情緒や豊かな感受性は、この種子を育む肥沃な
土壌です。幼い子どもの時期はこの土を耕す時です」レイチェルの主張した「センスオブワンダー」という
感性は、21世紀の自然教育や環境教育、幼児教育などの分野で注目されています。