山神川北村のような田舎では家のちょっとした修理は自分でやるらしく、木材や金具や修理道具は自分で持っていた。洋太郎さんのところにも祠を直すぐらいの材料や道具はそろっていて、ぼくたちはそれらを持って行っては直すということを繰り返した。修理するのに3日かかった。それほどきれいには修理できなかったが、修理前と比べるとすごくきれいになった。この作業は、まず壊れている部分からどうなっていたかを想像して、修理方法を考え、直していくというもので、けっこう面白いものであった。由美も僕たちに負けないように張り切って作業をしているのだが、へたくそもいいとこ、それをごまかそうとしたり、言葉で言い訳したりするので、荒ぶる女神の権威はすっかり落ちてしまって、僕と長谷は笑いをかみ殺すのに苦労した。2日目になるとそれぞれが得意なところを分担し、作業量もうまくバランスが取れて仕事が捗った。その頃になると僕は、おそらく長谷も同じであろうが、由美の、見ているだけで気分が良くなる動きの虜になっていた。そして3日目に完成した。僕らは、修理した祠を見ながら達成感に浸っていた。ネーコイも満足そうに祠を見ていたが、僕らの方へ視線を移し、ついて来いと言うようにひと声泣いて拝殿の裏の方へ歩いて行った。僕らは顔を見合わせた。
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