たそがれのスカイツリー

思いつくままに好きなことを書いてみたいと思います。

物語(17)

2014-12-30 21:25:06 | 物語
由美はニコッと笑いだして、ネーコイに突いていく。僕らもそれに従った。拝殿の後ろは山が迫っていて、その端のところが草が少し低くなっていて、近づいて見ると、その向こうに細い道らしきものがあった。ネーコイはそこをゆっくりと歩いていく。僕たちは黙ってついていく。200m程行ったところでネーコイは岩の上へ飛び乗って座った。そして人懐っこい茶色の丸い目で僕らを見ている。何か言いたそうだ。長谷がゆっくりとネーコイの方へ歩いて小さな岩に足を乗せた時、岩がぐらっと転がった。長谷も足を取られて尻餅をついて、左手を岩のあったところにぶつけた。
「いて、何でこんなところに石があるんだよ。石の上に岩があるから岩が転がるんだ。誰だこんなことをしたのは、ネーコイがあやしいけどネーコイじゃ無理だよな」
「ちょっと待って、その石きれいな石だわ。」
由美が長谷が手をぶつけた石を見て言った。由美がその石を取り上げるとその下に、小さな指輪のような石が出てきた。粗加工したままの勾玉のような石だ。さらにその下に勾玉を受けるような形で細長い形の薄緑色の石があった。先に取り上げた石と、この細長い石で守られるように勾玉が置かれていたようだ。ちょうど長谷と僕で由美を守っているように。3つとも薄緑色の色をしている。勾玉は少し濃い薄緑だ。僕たちはそれぞれの役割通り、由美が勾玉を僕と長谷が上下の石を手に取った。僕が下の石を掌に置いた時、頭の中に声が聞こえてきた。
「我の声が聞こえるか?我は龍神だ。お前たちが我のことをいたずら神と言っていたがいたずら神ではない。いたずら神なら犬に追い掛け回されていたろう。由美は洋介の曾孫か、なかなか気持ちよく育ったようじゃな。」
「洋介も可愛いやつであったが、お前たちもよく祠を直してくれた。その石は力を封じ込めてある。何かの役に立つだろう。我からの礼だ。」
すべて僕の頭の中だけで響いていて、由美や長谷には聞こえていないようだ。
「お前の持っている石は我の声が聞こえるようになる石だ。お前はもともとそういう能力があったのだ。だからその石の力を利用できる。でもその石の力が利用できるのは我を見ている時だけだ。由美の持っている石は誰かに物事を頼んだ時、ほとんどのものが引き受けてくれるようになる力を封じ込めている。もともと由美がそういう力を持っているからだ。それを強化するための石だ。」
そうか、それで由美の言うことは断りにくいのか。
「あの大男の持っている石は、本人が危機を感じた時、力が2倍になる石だ。彼がもっとも腕力が強いからそれを強化する念を封じ込めてある。これらのことを教えたのはお前だけだ。彼らには黙っているように。知ってしまうと力が半減してしまうかもしれない。」
僕はネーコイの方を見た。ネーコイの目は光っていた。僕はネーコイが龍神であることを確信した。
「何をぼんやりしているの?」由美が覗くように僕を見て言った。
「いや、ネーコイが僕に何か言いたそうにしているように見えて、それで見ていたんだ。」
ネーコイが岩から飛び降りてゆっくり戻って行った。ぼくらも見つけた石を持って戻った。何かしら由美と長谷には満足感があるようだ。僕は龍神と喋ったことが、夢だったのか、妄想だったのか、それとも現実だったのか、ショックを整理できないでいた。

世界のイケメン100人の中に日本人3人

2014-12-30 16:31:14 | へー
世界のイケメン100人の中に入った日本人は、本田圭佑(24位)、金城武(29位)、赤西仁(52位)でした。ウン、ちょっと違うような気がする。キムタク、福山は年だし、長瀬はワイルドすぎ、あまりいないな。玉山鉄二、東出昌大あたりになるのかな、知名度が低いのでダメか。考えてみると思い浮かばないものだな。皆さんは誰だと思いますか?

物語(16)

2014-12-29 21:36:34 | 物語
山神川北村のような田舎では家のちょっとした修理は自分でやるらしく、木材や金具や修理道具は自分で持っていた。洋太郎さんのところにも祠を直すぐらいの材料や道具はそろっていて、ぼくたちはそれらを持って行っては直すということを繰り返した。修理するのに3日かかった。それほどきれいには修理できなかったが、修理前と比べるとすごくきれいになった。この作業は、まず壊れている部分からどうなっていたかを想像して、修理方法を考え、直していくというもので、けっこう面白いものであった。由美も僕たちに負けないように張り切って作業をしているのだが、へたくそもいいとこ、それをごまかそうとしたり、言葉で言い訳したりするので、荒ぶる女神の権威はすっかり落ちてしまって、僕と長谷は笑いをかみ殺すのに苦労した。2日目になるとそれぞれが得意なところを分担し、作業量もうまくバランスが取れて仕事が捗った。その頃になると僕は、おそらく長谷も同じであろうが、由美の、見ているだけで気分が良くなる動きの虜になっていた。そして3日目に完成した。僕らは、修理した祠を見ながら達成感に浸っていた。ネーコイも満足そうに祠を見ていたが、僕らの方へ視線を移し、ついて来いと言うようにひと声泣いて拝殿の裏の方へ歩いて行った。僕らは顔を見合わせた。

物語(15)

2014-12-28 19:30:53 | 物語
帰ってきた後風呂に入って僕らの部屋に3人が集まった。珍しく、由美がお茶をいれてくれた。
「私ネーコイはやっぱりいたずら神だと思うのよ。横の小さな祠に注意を向けたのもネーコイだし、あんな犬らしくない犬がいると思う?人間みたいな表情をしてたわ」
「ゆうみがそう言うのならそれでもいいけど。俺は違うと思うな。」
「僕も由美に賛成だ。僕はネーコイに話しかけられたと思うんだ。僕が君たちにあの祠があることを言ったろう。あれはネーコイから言われた気がして、ネーコイの方を見た時祠を見つけたんだ。」
「でもそれは妄想に過ぎないきがするな」
「私も、あの時叫んだでしょう。あれは竜が飛んでいく影を一瞬見たからなの。でも空を見上げた時は何もいなかったけど。でも影は明確に見たわ。」
「気のせいだって」
「そんなことないわよ。それで私あの祠を直したいの。一緒にやってくれない?」
「そんなこと無理だよ、おれはそういう類のことはやったことがないんだ」
長谷はやる気がないみたいだ。僕はどうしようかと少し悩んでいた。長谷がお茶を飲もうと手を湯呑に伸ばした時湯呑をこかしてお茶を自分の手の上にぶちまけた。
「あっつ」長谷はとても熱がった。しかしそれよりも驚きと恐怖が入り混じったような表情をした。僕はなぜだかわかった。長谷の手が当たった方向から判断してお茶が長谷の手にこぼれそうにないのだ。何か不思議なことが起こったようなのだ。
「分かった。直すのを断ったらまたお茶をかけられそうなきがするしな」
「別にかけてないわよ。自分でこぼして手にかけただけじゃないの。」
「うん、そうだけど、なんか変なんだ」
「まあいいじゃん。僕も直すのに賛成」
みんな、いたずら神が来てお茶を祠を直すのに反対している長谷にかけたような気になっているが、単にコップがこけて偶然長谷の手にお茶がかかっただけのことかもしれない。明日から祠の修繕だ。

イタリアのオリーブ数十年に一度の不作

2014-12-28 08:48:07 | へー
南イタリアでは異常気象でオリーブにつくハエが大繁殖している。オリーブにつくハエは実に穴をあけ卵を産み付ける。そして生まれてきた幼虫が実を食べてしまい、おまけにカビ菌がその穴から入り込む。このことがオリーブの不作に繋がり、オリーブの木が全滅の危機にさらされているわけである。今年は涼しい気候が続き、大雨が長引いたため、ハエの繁殖に適した条件が揃ったそうである。健康に良いオリーブ油は使えなくなってしまうかもしれない。

物語(14)

2014-12-27 20:03:14 | 物語
昼食を食べ終わった後、僕らは拝殿の前に行きお参りをすることにした。朽ち果ててはいたが神社に来て参らずには帰れない。お願い事をした後、なんとはなしに拝殿を見ていると視線を感じた。斜め前の方に視線を移すとネーコイがこちらを見ていた。何か言おうとしているように思ったが視線を戻した。一呼吸おいて再びネーコイの方を見ると、「そ・・・・」と喋ったようだ。いやそんなはずはない。僕はまた視線を戻した。ネーコイが鳴いた。ネーコイの声を聞くのは初めてだなと思いながら、ネーコイを見た。その瞬間、「そっち・・・」という言葉が頭の中で直接聞こえ、そして「じゃない」と言葉が頭に浮かんだ。「そっち・・じゃない」って・・・ ネーコイの向こうに小さな祠が見えた。人の背の高さより少し高い小さな祠だ。やはりところどころ壊れたり腐ったりしている。
「祠がある、ほらあそこ」僕は二人に言った。
「ほんとう・・」由美は祠の方へゆっくりと歩いて行った。ぼくらも倣った。
「洋介さんが日記で書いていたのこの祠じゃない。」
そんなことよりぼくはパニックに陥っていた。頭の中で聞いた言葉や浮かんだ言葉はネーコイが話したのだろうか?そんなことはあり得ない。でもネーコイが言ったのであれば、この祠には神様がいることになる。そんな・・・・ その時由美が
「あっ」と叫んだ。
「ゆうみ、どうした」
「ううん、なんでもないわ。」
僕はまだパニックから立ち直っていなかった。
僕たちは祠に参った。僕は厳粛な気持ちになっていた。おそらく由美もそうだろう。長谷だけが違った。
「この祠が日記に書いてあった祠とは思えないな。もう少しましな拝殿があるんだから神様がいるとしたら拝殿の方さ。でも結局いるか、いないかはわからないんだ。個人個人が勝手に思い込むだけなんだ。」
情報が入ってこない人は呑気でいいな。こんな重要な局面でも平気で勝手なことが言っていられる。僕らはそれぞれがそれぞれのことを考えていた。
「帰ろうか。」長谷が言った。僕らは、頭の中を整理できないままであったが帰ることにした。ネーコイはついてこないようだ。



物語(13)

2014-12-25 21:51:49 | 物語
階段を20段ほど上ると、草に覆われているが平坦な広場があり、奥に小さな拝殿があった。拝殿は、柱や屋根のところどころが腐って、長期間放置されているのがすぐに分かった。僕たちは拝殿の周りをグルグル回りながら何か変わったものがないか捜し出した。洋太郎さんはしばらく僕らを見ていたが、時間がかかりそうだと判断したのか、先に戻って行った。僕たちはその広場でしばらくうろうろした後昼食にすることにした。持ってきたのはサンドイッチとポットに入れた暖かいコーヒーだ。お腹がすいていたので、サンドイッチはこの上なくおいしかった。視線を感じて拝殿の方を見るとその影に犬がいるではないか。犬は黒と茶と白が混ざった中型犬で、じっとこちらを見ている。敵意は感じられない。僕らを観察しているように見える。しばらくするとゆっくりとこちらへ歩いてきて2m程手前で止まった。首をかしげるようにしながら、まんまるい茶色の目で僕らを見ている。僕は洋介さんが、いたずら神が変身した猫について日記に書いていたのを思い出した。この犬らしくない犬は、ひょっとしたらいたずら神なのかな、などと思っていた。そうした時、犬と目が合った。なんとなく「そうだよ」と言っているような気がしたが、すぐに打ち消した。由美がサンドイッチの切れ端を犬のところへ持っていくと、犬は警戒もせず食べ始めた。
「見てこれ。曽おじいちゃんが神様の子が変身した猫におにぎりをあげたのと似ていない。きっとそうだわ」
「想像力がたくましいな。そんな簡単に神様に会えるわけがないよ。」
「でもそう思っといた方が面白いなあ」
「賛成、きっと猫に変身しようとして未熟だから犬になってしまったのよ。だから名前は猫犬、ネーコイにしましょ。」
「名前なんか付けたって、もう2度と会わないかもしれないのに」
「いたずら神様なんだからこれからも会えるわよ。それにネーコイっていう名前とっても気に入ったわ。」
何でもよくなった。どうせ由美様のいうことは絶対だ、ということにしておこう、平和のために。」

103歳でホールインワン

2014-12-25 18:35:23 | へー
米フロリダ州のガス・アンドレオンさんがホールインワンをやった。もちろんゴルフですが、全米プロゴルフ協会が最高齢だろうと言っています。ホールインワンは8度目だそうだ。そしてこの人は宝くじにも当たっていて、生涯にわたって1週間に1000ドルずつ受け取れるそうだ。幸運な人はいるものだ。103歳で、まだゴルフができるというのも超幸運かもしれない。

物語(12)

2014-12-24 21:50:26 | 物語
 僕たちは朝10時に山神地区だったところへ出発した。3人で行かせるのは心配だと言って洋太郎さんも一緒に行ってくれるという。洋太郎さんは80歳近いのだけれど、背もまっすぐできびきびしていて70前にしかみえない。運動能力や力の強さは60歳ぐらいの状態を維持しているようだ。由美は薄紫色のほんわかしたセーターにブルージーンズ、折り返した裾にはバンドのように赤い模様がついている。大学で見る由美はあまり体の線が出ない服装をしている。それでもスタイルが良いのはわかっていたがこれほどまでとは思わなかった。白いスニーカーの上に長い脚が伸び、丸みを帯びた形の良いヒップラインを超えるとセーターの上からでもわかるウエストのくびれ、悩ましいのはふっくらと盛り上がったバスト、髪はポニーテールというのか、Perfume のあーちゃんのような髪型、動きに合わせて揺れるの見るたびに胸にさわやかな感じが訪れる。
 家を出て5分ぐらい歩くと、山神地区へ行く道の入り口に着いた。通る人がいないのか、草が生えていて、教えてもらわないと道とは分からない。僕たちはその道なき道に入って行った。洋太郎さんは鉈を持ってきていて、道にはみ出してきている枝を切り落としてくれた。4人が通った後はそれなりに人が通った形跡が残り、切り捨てた枝は道の目印になりそうだ。先頭を行くのが洋太郎さん、由美、長谷、僕と続く。僕は由美が見えるように長谷から少し離れてついていった。道が平らでない上、木が道に生えていたりして、身体をよじったり、かがめたり、飛んだりしながら進む。その時の由美のシルエットとポニーテールが左右に揺れる躍動感、見ているだけで胸がドキドキしてきた。特に由美が振り返る時、楽しそうに少し微笑んだ顔と、その顔に見とれそうになるのだが、顔に遅れてテールが触れてくるのを見るともうだめ。こんな清純で美しい少女がいるのかと思ってしまう。長谷も同じようだ。「花が咲いてる」とか「凄く景色がいい」とか由美をなんとか振り向かせようとしているかのように思える。由美もおそらく、自分の動きが男二人を刺激しているのがわかるのだろう。嫌にセクシーな動きをする。イヤ、由美に言わせると、変態二人が何いやらしいこと想像してんのよ、かもしれない。それもそうだ、セクシーと感じているのはこちらの頭だ。
 1時間半ほどそんな風に進むと少し開けた場所にでた。山神地区だ。巾500m奥行1kmぐらいの小さな平坦なエリアだ。右側が山が崩れたのだろう。斜面の中に埋もれて地上に一部がでている家が何軒かあった。左側には埋もれていない崩れかけたような家が数軒あった。洋太郎さんが教えてくれたのだが、小さい頃親が行ってはいけないと言っているのに、隠れてやってきて、あの家を隠れ家にして遊んでいたそうだ。一番奥に階段のようなものがあった。その階段を上ったところが山神神社だそうだ。由美に強制的に連れてこられたようなものだが、ちょっとした困難と、それを忘れさせてくれる由美の躍動感、やってきたという達成感があって少し嬉しい。長谷のような大男にはこんな微妙な感じはわからないだろうと、僕はちょっと優越感も感じていた。

物語(11)

2014-12-23 23:04:03 | 物語
 僕と長谷は同じ部屋で寝ることになった。疲れていたのですぐに布団に入った。僕は寝ようとしたのだけど、由美の言葉を思い出して考え始めてしまった。由美は長谷の事をナルシストだと言っていたな。だけどどうしてそういう風に感じたんだろう。女が男をナルシストと感じるのはアプローチした時に相手にしてもらえなかった時ではないだろうか?エー、じゃ由美は長谷がすきなんだろうか?そんなはずはない。由美を虐めから救ったのは僕なんだから。でも長谷は男らしくてカッコいいからあり得る。そんなことが頭をグルグル回り始めて寝るどころではなくなってきた。みなさん、僕を女々しいと思わないでください。こんなになったのは初めてなんだから。隣からは寝息が聞こえてきた。僕は、電気をつけた。「12時だけど起床。」僕は長谷を起こした。
「なんなんだよ、外はまだ暗いじゃないか」長谷が寝ぼけ気味に言った。
「当たり前だ。12時だからね」
「相変わらずクレージーだな」
長谷は笑い出した。こんな無茶苦茶なことをやっても笑ってくれるところが長谷の良いところだ。
「ちょっと話をしようよ」
「いいけどいったいなんの話をするつもり」
「今日さー、由美がお前のことをナルシストだと言ってたんだけど、なんかそんな風に思われるこあとがあったの?」
「俺がナルシスト、ありえない。ゆうみの前以外では、俺が常に女に対して飢餓状態であるという顔をして歩いていた頃からずっと女好きなのは知っているだろう。そういえばお前も一緒だったなあ」
「そんなことない、お前だけだろ。いやそれはそれとして、由美はお前がモテるけど一人に絞れないのはナルシストだからといってたぞ」
「ナルシストねー、一つ思い当たるのは、ゆうみが俺に会わせたい女の子がいるって言ってきたことがあったんだ。だけどそんな一人に絞って付き合うことなんか嫌だったんで断ったことがあるんだ。その時ゆうみが、あんな男ダメだって断っとくけど、マザコンとナルシストのどっちがいい?って、どっちがいいって、何がと聞くと、あったま悪い。理由よ、だって。だから、ナルシストと言ったんだ、きっとそのことだな」
なんとなくすっとしてきた。僕はそんなに女々しくないんだ。男らしい方なんだ。それからどうでもいいことをしばらく喋って眠りについた。