由美はニコッと笑いだして、ネーコイに突いていく。僕らもそれに従った。拝殿の後ろは山が迫っていて、その端のところが草が少し低くなっていて、近づいて見ると、その向こうに細い道らしきものがあった。ネーコイはそこをゆっくりと歩いていく。僕たちは黙ってついていく。200m程行ったところでネーコイは岩の上へ飛び乗って座った。そして人懐っこい茶色の丸い目で僕らを見ている。何か言いたそうだ。長谷がゆっくりとネーコイの方へ歩いて小さな岩に足を乗せた時、岩がぐらっと転がった。長谷も足を取られて尻餅をついて、左手を岩のあったところにぶつけた。
「いて、何でこんなところに石があるんだよ。石の上に岩があるから岩が転がるんだ。誰だこんなことをしたのは、ネーコイがあやしいけどネーコイじゃ無理だよな」
「ちょっと待って、その石きれいな石だわ。」
由美が長谷が手をぶつけた石を見て言った。由美がその石を取り上げるとその下に、小さな指輪のような石が出てきた。粗加工したままの勾玉のような石だ。さらにその下に勾玉を受けるような形で細長い形の薄緑色の石があった。先に取り上げた石と、この細長い石で守られるように勾玉が置かれていたようだ。ちょうど長谷と僕で由美を守っているように。3つとも薄緑色の色をしている。勾玉は少し濃い薄緑だ。僕たちはそれぞれの役割通り、由美が勾玉を僕と長谷が上下の石を手に取った。僕が下の石を掌に置いた時、頭の中に声が聞こえてきた。
「我の声が聞こえるか?我は龍神だ。お前たちが我のことをいたずら神と言っていたがいたずら神ではない。いたずら神なら犬に追い掛け回されていたろう。由美は洋介の曾孫か、なかなか気持ちよく育ったようじゃな。」
「洋介も可愛いやつであったが、お前たちもよく祠を直してくれた。その石は力を封じ込めてある。何かの役に立つだろう。我からの礼だ。」
すべて僕の頭の中だけで響いていて、由美や長谷には聞こえていないようだ。
「お前の持っている石は我の声が聞こえるようになる石だ。お前はもともとそういう能力があったのだ。だからその石の力を利用できる。でもその石の力が利用できるのは我を見ている時だけだ。由美の持っている石は誰かに物事を頼んだ時、ほとんどのものが引き受けてくれるようになる力を封じ込めている。もともと由美がそういう力を持っているからだ。それを強化するための石だ。」
そうか、それで由美の言うことは断りにくいのか。
「あの大男の持っている石は、本人が危機を感じた時、力が2倍になる石だ。彼がもっとも腕力が強いからそれを強化する念を封じ込めてある。これらのことを教えたのはお前だけだ。彼らには黙っているように。知ってしまうと力が半減してしまうかもしれない。」
僕はネーコイの方を見た。ネーコイの目は光っていた。僕はネーコイが龍神であることを確信した。
「何をぼんやりしているの?」由美が覗くように僕を見て言った。
「いや、ネーコイが僕に何か言いたそうにしているように見えて、それで見ていたんだ。」
ネーコイが岩から飛び降りてゆっくり戻って行った。ぼくらも見つけた石を持って戻った。何かしら由美と長谷には満足感があるようだ。僕は龍神と喋ったことが、夢だったのか、妄想だったのか、それとも現実だったのか、ショックを整理できないでいた。
「いて、何でこんなところに石があるんだよ。石の上に岩があるから岩が転がるんだ。誰だこんなことをしたのは、ネーコイがあやしいけどネーコイじゃ無理だよな」
「ちょっと待って、その石きれいな石だわ。」
由美が長谷が手をぶつけた石を見て言った。由美がその石を取り上げるとその下に、小さな指輪のような石が出てきた。粗加工したままの勾玉のような石だ。さらにその下に勾玉を受けるような形で細長い形の薄緑色の石があった。先に取り上げた石と、この細長い石で守られるように勾玉が置かれていたようだ。ちょうど長谷と僕で由美を守っているように。3つとも薄緑色の色をしている。勾玉は少し濃い薄緑だ。僕たちはそれぞれの役割通り、由美が勾玉を僕と長谷が上下の石を手に取った。僕が下の石を掌に置いた時、頭の中に声が聞こえてきた。
「我の声が聞こえるか?我は龍神だ。お前たちが我のことをいたずら神と言っていたがいたずら神ではない。いたずら神なら犬に追い掛け回されていたろう。由美は洋介の曾孫か、なかなか気持ちよく育ったようじゃな。」
「洋介も可愛いやつであったが、お前たちもよく祠を直してくれた。その石は力を封じ込めてある。何かの役に立つだろう。我からの礼だ。」
すべて僕の頭の中だけで響いていて、由美や長谷には聞こえていないようだ。
「お前の持っている石は我の声が聞こえるようになる石だ。お前はもともとそういう能力があったのだ。だからその石の力を利用できる。でもその石の力が利用できるのは我を見ている時だけだ。由美の持っている石は誰かに物事を頼んだ時、ほとんどのものが引き受けてくれるようになる力を封じ込めている。もともと由美がそういう力を持っているからだ。それを強化するための石だ。」
そうか、それで由美の言うことは断りにくいのか。
「あの大男の持っている石は、本人が危機を感じた時、力が2倍になる石だ。彼がもっとも腕力が強いからそれを強化する念を封じ込めてある。これらのことを教えたのはお前だけだ。彼らには黙っているように。知ってしまうと力が半減してしまうかもしれない。」
僕はネーコイの方を見た。ネーコイの目は光っていた。僕はネーコイが龍神であることを確信した。
「何をぼんやりしているの?」由美が覗くように僕を見て言った。
「いや、ネーコイが僕に何か言いたそうにしているように見えて、それで見ていたんだ。」
ネーコイが岩から飛び降りてゆっくり戻って行った。ぼくらも見つけた石を持って戻った。何かしら由美と長谷には満足感があるようだ。僕は龍神と喋ったことが、夢だったのか、妄想だったのか、それとも現実だったのか、ショックを整理できないでいた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます