-ALKAN-

しどろもどろでも声は出るなり。

リリーのすべてを観ての感想。

2017-12-19 17:33:18 | 日記

『リリーのすべて』を今観終わりました。主演男優、エディーレッドメインの演技に圧巻。あんな顔した人がいるんだ。天才だと思いました。

演技の良し悪しなんて、テレビもドラマもろくに見ていなかった私にとやかく言えるとは毛頭思ってもいませんが、その知らない私が観ても、あの演技力は圧巻でした。

 性同一性障害、映画の中では、性倒錯者、となっていました。1900年代初頭の話。社会に受け入れられるはずもない、でも変わり者も多そうな芸術の世界。表現の自由はいつの時代も障壁を超えたがるのが常なのでしょう。

 ここからしばし、ネタバレ、含みます。これから観る人は飛ばしてください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 実在の人物をモデルにした話なんですが、彼は初めて性転換手術に挑み、命を落としてしまいます。映画の最後に「彼の勇気のおかげで性同一性障害の社会的認知に多大な功績を残した」という事になっていましたが、私個人としては、最後の亡くなるシーンは、出来れば省いてほしかったです。実際亡くなったのですが、死んだから、命と引き換えに、多大な業績を残した。命と、引き換えに。というニュアンスは、私は好きではない。

 映画の主人公は、おそらくその後の同性愛者のことなど何も考えていなかった。ただただ必死で自分のアイデンティティーを手に入れたかった。その必死さと、エディーレッドメインの演技がなんとも切なく噛み合ってものすごくいい展開であったのに、ハッピーエンドでよかったんじゃないかな。無理なんですかね?そういうのは、映画的に。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 命と引き換えに。そんな人いないと思います。ジャンヌダルクも、アンネフランクも、自分の命と引き換えだなんて少しも思っていなかったと思いますよ。うまくいけばよかった。命からがらでも助かって、その後幸せになれば、本当はそれが一番良かった。

 ジェームスディーンが生きていれば、そんなタラレバ話、よく耳にしませんか? もし生きていれば、大御所俳優として、映画のチョイ役で何十億円も貰う様になっていたかもしれないが、あの三本の映画は、きっと今ほど評価はされていないだろう。死んだから、評価されたんだ。

 ジミヘンドリックスが、今生きていたら、きっとでっぷりと太って、たまにオリンピックの開会セレモニーや、アメフトのハーフタイムショーにサプライズで出演して大歓声をもらうようになっていたかもしれないが、パープルヘイズはそこまで評価されていなかっただろう。

 そんな評価が、私は一番嫌いなんです。生きていればよかった。もっともっと、ジェームスディーンの演技も見れたし、ジミヘンの演奏も聞けた。つまらなくなっていればなっていたでいい。けど、死んだから、もう見れないから、みたいなのは、勝手な付加価値に過ぎず、評価を曇らせてしまっている気がするのです。

 性同一性障害はこれからも、様々な扱いを受ける事でしょう。予想もつきません。理解は誤解から生まれる、とは無知で乱暴な言い方だったかもしれないですが、これはこれでいいのだと決まってしまう事の方が、やっぱり怖い気がします。

 日韓基本条約も、これはこれでいいのだ、はい、おしまい。となる事に韓国は異議を唱えているんでしょう。問題は生きている、約束だけで問題を生き埋めにして殺してはいけない。そういう事でしょう。

 私は生粋の日本人で、日韓基本条約にも、竹島に関しても、従軍慰安婦問題にしても、日本海の表記に関しても、日本の立場に相違ないのですが、もし韓国が純粋に問題を風化させてはいけない、もう終わりなんだからガタガタいうんじゃねーという、日本政府の態度に真摯な異議を唱えるのならば納得できるんです。約束は約束、しかし問題が約束によって消滅するわけじゃない。その通りだと思います。でも、でもね。

 でもやっぱり約束は約束だしルールはルールなので、それは守らない事は、一切、初めから何にもしないのと一緒なんです。つまり問題そのものすら、無視しているのも同じことなんですよ。話し合いって何でしょう。ごり押しじゃないんです。カバの喧嘩みたいに、より大きな口を開けて、よりより大きい声を出した方が勝つんじゃないんです。人間の話し合いは。話し合いが必要なモノ同志は、お互いに誤解しあっているのが普通です。

 また話題が大きく逸れました。つまり、問題は生きている。だから当事者が一番心を開いて、周りの雑味を受け入れなければならない。性同一性障害から、障害の一言が取れるように願います。そこに、医療費とか保険の問題がいやらしくからまなくてもいい素敵な解釈が、いつか出てくることを望みます。

 しかし、エディーレッドメイン。素晴らしい!

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画鑑賞。(りりーのすべて) | トップ | お洒落でごく簡単レシピ!(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿