ザ・ドリフターズの志村けんさんが、2020年3月29日、新型コロナウィルスによる肺炎でお亡くなりになられました。
70歳。
もう、ショックでね……。あんな人いないもんね……。下品でね……。子供らはみんな志村さん大好きだった。
何なの?この大人は?って、子供の私にはとってもショックでしたよね。いい意味で。お尻出したりして、親はいい顔しませんでしたけど。
動きが変でね。なんか妙にクネクネしてて気持ちが悪い。でもなんだかマネしたくなってくる。で、マネすると怒られる。
おかしなキャラばっかりやって、ボケ倒して……。
会って話がしたかったなぁ……、本当はどういう人だったのかなぁ。
亡くなる直前に、結婚間近だったという元アイドルが出てる番組やってたけど見なかったんだよね。
どこかで見られるかな、ちらっと見たけど、志村さんが妙に真剣な顔してて、そしたら急に老けて見えて、なんだか、年取ったなぁ、志村……、って、なんかちょっと、訳も分からず不安になったのを覚えてる。
最近のバカ殿も動きが小さくてね、白塗りもしわが目立ってて……。時々、バカ殿が、すっと抜けて、白塗りのおじいさんに見えた。
寅さんもそうだったな、亡くなる直前の作品は妙にキャラを演じている感が強くて、自分の作ったキャラについていくのに必死、みたいな感じが、妙に不安で嫌だったなぁ……。
うちの親父もそうだった。死ぬ二ヵ月前に会ったんだけど、なぜか会いたがらなくてね。お正月だったんだけど「別に、そっちでゆっくりしてたらエエやんか」みたいなこと言ってさ。でも帰ったわけ。母親の方が体の具合が悪かったから、本当は母親に会いにね。
それでいざ会ってみたら、母親は殊の外元気で、親父の方が弱って見えた。私を見てもぜんぜん楽しそうじゃなくて、なんだか自分の親父を演じているように見えて、それが妙に息苦しくてさ、わざと甘えてみたわけです。普段は絶対しないのに。
「ビデオカメラのレンズが汚れたから、拭いてくれる?」って。うちの親父は写真屋なのでそういうの専門なんです。そういう特殊な洗剤も持ってて、以前なら言わなくてもやってくれたのに、その時はテーブルの上のティッシュでササっと拭いて、ほい、 って渡してくれた。あぁ、もう嫌なのかなぁ、私の親父でいるのに、疲れたのかなぁ、ってね、ちょっと寂しくなりました。
父の命日も、3月29日なんです。今思い出しました。
演者さんはいろんな役を演じるから殊更そうなのかもしれないけど、誰でもある時ふと自分を演じているのに気付くんだと思う。
あれ?って。自分って、こんなだっけ? ってね。それが、全然違う、ってなると、一気に老けるのかもしれない。
志村さんにとっての志村けんって、どんな人だったんだろうね。余計なお世話だけど……。
私にとっての志村けんは、ずっとはしゃいでる、下品なボケをかまし続けて、どんなにボロカス言われても一切堪えた様子がなく、
でし! でし! って言ってる、変なおじさん です。
会いたかったです、志村さん。タバコ吸い過ぎちゃいましたかね、お酒も。
でもそれが志村けんだったのでしょう。 じゃあ、仕方がないか。
息は楽になりましたか? ゆっくり休んで、大好きなブラックミュージックを楽しんでください。ありがとうございました。