-ALKAN-

しどろもどろでも声は出るなり。

2018

2017-11-28 16:47:41 | 日記
 同窓会の招待状が届いた。

 それは中学校の同窓会で、実行委員の名前には見覚えがある。でも顔に見覚えがあるかどうか。中学と言えば、もうそれぐらい時間が経っている。

 女子はみんなカッコつきで旧姓が記されている。そりゃそうだ、じゃなきゃ誰だかわからない。その中にあって旧姓のままの人も何人か。女子はそういうところも気を遣うね。いや、婿養子をもらっているのかもしれない。でも、行けそうもない。

 正月二日、京都府北部、カニはうまいだろうなぁ、間人ガニ。酒もうまいだろうなぁ。霊峰、弥栄鶴。

 しかし、行けない。今度はいつあるのかね。いつか行きたいね。こんな時間が経ってなんか話すことがあるのだろうか。あるのだろうね。いくらでも。


 その後、クラスの同窓会に流れますので、三年六組は大吉で。となっている。大吉 でわかるあたりまだまだ長閑です。みんな、楽しんでくれたまえ。武蔵野の地から、愛をこめて。

-----------------------------------運命の道を歩いてみよう(その14)---------------------------------------------------------------


「知っているとは思うが、アフリカ諸国には民族や宗教による内戦が絶えない地域も多く、教育も十分とは言えず、民度も低く治安も悪い。政府も流動的で不安定だ。だから相手がたとえ公の機関であれ契約を一方的に破棄される可能性も低くない。実際それで巨額の損を出している会社もあると聞く。それにわが社は今そういう時期じゃない。しっかりと会社の足場を固めなければ、インターネット業界にも、今や大手の進出が目覚ましく、我々中堅企業は今後ますます厳しい競争を強いられ、淘汰の大波を食らう事になるのは確かだ。そのためにこそ、確実な顧客をしっかりと確保してそれに備えることが必要だ。良質のサービスを決してお客様は裏切らない。それこそが今一番にやるべきことだと、私は考えている」

 失礼ですが……、と社長の言葉を遮るように、小さな声で及川が言った。

「もう、すでに無理かと思います。だからそのための、アフリカは備えなんです」

 なにが、もう無理なんだ? このあと社長が言った一言が及川の純白な心につけた残忍な傷の事を思い出すと、五島はどこともなく目を背けずにはいられなかった。

「インターネット販売には、もう先はありません。先進国しか相手に出来ませんし、そういう環境は、すぐに大手が牛耳ってしまうのはどの業界を見ても初めから明らかなことです。これからネット販売はもっともっと生活に密着したものになるでしょう。それこそ鉛筆一本、ジャガイモ一つでも買えるようになる。それは特別なものを買うツールではなくなってしまうということ意味します。じゃあ特別なモノはどうやって買うのでしょう。それはやはり店に行って買うのです。そして直接手に取って買うように、世界中がそうなるのです」

「大手スーパーが軒並み閉店しているという最中に、これからは店舗を増やせと、君は本気で言っているのか?」

「この先、人は今よりもっともっと、モノを大切にするようになるのです。今の大量消費の世の中にあって、モノを大切にする面白さを、世界中のみんなはまだ知らないだけんです。モノを大切にする楽しさは斬新です。刺激的です。世界中を虜にするのに十分な力があります。それに大手が簡単に進出できないジャンルでもあるんです。それこそが今度の我が社の活路になるんです」

「アフリカで作ったものを、じゃあ君は、世界中の人間が大切に使うというのか? おい、ちょっと持って来て」

 五島が及川がアフリカから持ち帰ったサンプル品である、キーホルダーと、財布、お面、マガジンラックを持って会議室に入った時、すでに部屋の雰囲気は殺伐としていた。五島は及川と目が合った。青白い顔で及川はその時、少し笑ったように見えた。
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