これは自分でも意外なんですが、これまでの生涯で、一度も寿司を握ったことがなかったんです。
飲食業界に籍を置くこと二十二年。調理業に従事する事十一年。
あ、はじめの十一年は喫茶店でハンドドリップコーヒーを出してました。カッコよく言うと、バリスタ?
それなのに、戯れにも一度も寿司を握ったことがない。
息子ももう十一歳。野球少年でもあり、食いに拍車がかかってきた。何かと外食にはカネがかかる。
ちなみに息子の好物は寿司。
明らかに口が肥えている。一人っ子を良い事に子供の頃からいいモノを食わせ過ぎたかもしれない。
京丹後のお米。鹿児島産の天然のブリやカンパチ。
おいおい、四人兄弟で育った私はそんなモン食った事ねーぞ!とセルフ突っ込みを入れてしまうよ。
おやつはポテチ一袋だったぞ。それを四分割だぞ。一人十五枚ぐらいだぞ!とね。
最後の袋の粉粉を、ザザッと浚えるなんて、三番目次男の私には、夢のまた夢だったんだぞ! とね。
だから、それだったら、刺身買ってきてネタの形にさばいて、酢飯合わせて、やっちゃえばいいんじゃないの?
握っちゃえば? 回転すしより安いんじゃないの?
きっと、息子が思うよりずっと貧乏な我が家のお台所事情。 とうちゃん、うち、一億ある? とか、平気で訊いてくるもんな……。
そこで新年会も兼ねて、寿司、握ってみました。
シャリがね、どうしてもでかくなる。関西人の癖か。関西の寿司って、江戸前よりデカいんですよ。
頭の中にどうしても、『ど根性ガエル』の梅さんが握る寿司が、基本形としてインプリンティングされている。
でもどうです?
握り方は中空握り。
ずっと前にテレビで紹介されていたのをマネして握ってみました。
握る際、シャリの中に親指でくぼみをつけて、それから軽く握る。そうすることで手に持っても崩れず、口の中でポロっと崩れる。そんな塩梅になるそうです。
そうなっていたかどうか……。でもまあまあ、美味かったですよ。寿司は細かい事を言わなければ、大概うまいという事が分かりました。
しかし、イクラって高いねぇ、そりゃ回転寿司ではキュウリも乗っけるわけだよ。
しかし、寿司にコーラとは、現代っ子の味覚はわからんね。おや?息子の足が写ってる。私そっくり。
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