[東京 28日 ロイター] - 昨秋から5カ月続いた膠着相場が一気に下抜けた。トランプ米大統領の政策を巡る楽観は警戒に転じ、世界的な株高をもたらした米半導体大手エヌビディアへの過度な期待は修正された。積極的な買い材料が見当たらない中、テクニカル的な節目を下回った日本株は、トレンドフォロー型のヘッジファンドなどに狙われやすく、一段の下げリスクを警戒する声もある。
トランプ氏はビジネスマンであり、なにより株安を嫌っているだろうーーこうした市場の勝手な思い込みが裏切られつつある。ここにきて関税を巡る発言が毎日のように発せられ、「(市場は)楽観視しすぎた」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト)との声が聞かれる。
トランプ大統領は27日、メキシコとカナダに対する25%の関税措置を予定通り3月4日に発動させると表明。前日には、発動が延期になるのではないかとの観測が浮上していた。中国に対しても10%の追加関税にさらに10%を上乗せする措置を3月4日に実施するとも表明した。
裁定買い残の動向も要注意だ。2月21日までのプログラム売買状況によると、金額ベースの裁定買い残(当限・翌限以降の合計)は、前週比1573億円減少しながら1兆9184億円で、引き続き高い水準にある。
みずほ証券の三浦豊エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストは「先物が売られると下げが加速しやすいので注意が必要」という。
東証データによると、21日までの週に、信用買い残が4週連続増加して4兆5372億円と、昨夏の急落局面の8月2日以来、約6カ月ぶりの高水準になっていた。信用取引による株購入のうち資金返済が完了していない分の残高であり、潜在的な売り需要を映す。株価が持ち直す局面では、ヤレヤレ売りとして上値を抑制する要因になりやすい。
テクニカル面からは、昨年8月の暴落の際に下支えになった24カ月移動平均線(3万5760円付近)まで、下値めどは見当たらない。SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長は「米国の関税強化の動きが一段と進んだり、為替が急激に円高に振れたりするなど悪材料が出た場合は、日経平均が3万5000円程度まで下がる可能性もある」とみている。
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