毎日のできごとの反省

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米戦艦は航空攻撃に勝っていた

2014-11-14 13:29:30 | 軍事技術

米戦艦は対艦攻撃機より強い

 第二次大戦で、戦艦に対する飛行機の優位が証明された、とするのが定説である。しかし、第二次大戦中の米戦艦に関しては、話は別なように思われる。英戦艦に関しては、九六式陸攻や一式陸攻といった大型鈍重な機体さえ、独力では排除できなかった。二隻の戦艦に対して随伴するのが、巡洋艦なしで、駆逐艦だけ四隻と言う貧弱かつ変則的な編成であったのも英海軍の間抜けさであった。

それでも、戦闘機の防空体制があれば、陸攻の攻撃は極めて困難であったと考えられている。日本海軍は、大戦果にそのことを等閑視して勝利から戦訓を得ず、陸攻によって容易に戦艦は撃沈できると考えて、ラバウルでの航空戦を戦って機材とパイロットの損耗を重ねた。

ラバウル航空戦を含め、大東亜戦争の期間中、真珠湾攻撃と言う停泊中の奇襲攻撃を除けば、日本機が米戦艦を撃沈したことはない。米戦艦に撃沈に至らずとも、航空機より大きな戦果をあげたのは、潜水艦であった。多くの戦記を読めば、航空機に対して米戦艦は自艦の対空砲火で防御することができていたようと考えられる。逆に日本機は駆逐艦ですら航空攻撃にてこずっている。

米海軍では、随伴の駆逐艦はほとんどが、両用砲で対空射撃ができたから、エスコートの役割が可能であったが、他の海軍はこのような駆逐艦を持たなかった。両用砲がなければ、駆逐艦の40mm以下の機銃では、有効射程距離からして自艦の防御をするのが、せいいっぱいであったろう。

単独航行していても、米戦艦に日本機は大きな被害を与えることができなかったのであろう。このことは、複葉機すら撃退できなかったドイツ戦艦や、陸攻に撃沈された英戦艦、もちろん日本戦艦もであるが、米戦艦の個艦防空能力は隔絶したものがあるように思われる。

小生はこの相違は、以前書いたように、対空火器管制システムの優劣だと考えている。とすれば同一システムが英国に供与されていなかったことになり疑問を感じるが、マレー沖海戦の戦闘航海中の英戦艦が、二隻でたった三機の陸攻しか撃墜できなかった事実から、Mk.37などの米国製火器管制システムあるいは、類似のものが技術供与であっても提供されていなかった可能性が大である。少なくとも昭和16年の時点ではそうであったのに違いない。開戦時に二隻の英戦艦が相手にしたのは、防弾装備の優秀な米軍機ではなく鈍重かつ防弾装備がないか、なきに等しい陸攻であったからである。

戦後、ソ連が米艦隊に対して考えた対艦攻撃法は、実に理にかなったものである。米艦隊への有人の攻撃機では確実に撃墜され、人的にも機材にも被害が大きすぎる。第二次大戦後、ミサイル誘導技術が飛躍した結果、無人の対艦ミサイルが実用化された。しかし、小出しに対艦ミサイルを撃ち込んでも確実に撃墜されて戦果は得られない。そこで飽和攻撃を生み出した。いくら対空火器が優秀でも、防空戦闘機が守っていても、対応可能なミサイルの数にはシステム上の限界がある。

従って、その限界を超える数のミサイルを撃ち込めばいいのである。これが飽和攻撃である。それに対して米国が発明したのは、多数の敵機を同時に処理できるイージスシステムである。この発明によって処理可能なミサイル数が飛躍的に増え、飽和攻撃は現実には困難となった。これが現在までの艦艇と航空機の矛と盾の争いの経緯である。従って第二次大戦中はもちろん、戦後もしばらくは、米戦艦への対艦攻撃は極めて困難であった。すなわち米戦艦は航空機よりも強かったのである。