平成26年、韓国において、船舶事故や地下鉄の事故など、信じられないような事故があり、外国のみならず、韓国自体からも憂慮する声が上がっている。これは事故に限ったことではなく、戦前の対日協力者を処罰する法律を制定するなど、ここ10数年の韓国は、近代国家とは思われない行動を官民ともにとって、日本の保守知識人をあきれさせている。
漢江の奇跡、といわれた経済成長をとげたとき、それまで北朝鮮を持ち上げていた左翼知識人たちに対して、韓国が近代国家になったと保守知識人は言っていたのだから、状況は著しく変わった。この落差について、きちんと説明してくれる人はいない。昔、韓国を北朝鮮と比べて褒めちぎっていた同一の保守系ジャーナリスト自身が、今では口を極めての韓国批判である。
それでは韓国は変わったのだろうか。変わったのである。漢江の奇跡と呼ばれた経済成長を支えた人たちは、日本統治時代の世代、それも子供のころから日本の教育を受けた人たちである。つまり日本人の影響を強く持ち、日本的考え方を持つ人たちである。彼らが社会の中心であった時代には、日本の援助はあったにせよ、日本と似ていると言われた、高度成長があった。
しかし、その時代は長く続かない。日本的メンタリティーを持つ人たちが少数派になると、本来の朝鮮人の民族的個性が表に現れる。すなわち李氏朝鮮で長い間育まれた民族性である。その結果が現在の状況である。そう説明すれば納得できる。だが漢江の奇跡と言われていた時代も、問題を腹蔵していた。多くの人は、それを知りながら目をつむっていたのである。
例えば技術である。造船は、日本が韓国に技術を輸出して奪われた結果、シェアまで奪われたと言われている。しかし、日本の技術者は知っている。韓国で作っているものは、基礎技術の比較的浅い船体だけである。機関や電装品は日本製だったのである。例え日本でリタイヤした技術者が韓国に行って技術を伝授した結果、日本の技術が奪われたと日本で騒いだが、皮相なものでしかない。
政治的マインドと言ったものについては、前述のように結局、日本育ちの個人にしか定着せず、伝統として定着しなかった。結局あらゆる分野で先祖還りを起こしたのである。しかし、日本の努力は全く無駄ではなかったろうと思う。李氏朝鮮の時代とは、確かに一線を画している。それを時間をかけて、広がりと深まりのある、確固としたものにするには、日本の支援が必要である。
だが、日本の支援を拒否する動機の一部は日本人自身が作り出している。いわゆる従軍慰安婦の問題も、日本の自虐史観の持ち主が、敢えて持ち出して韓国人が日本を非難せざるを得ない状況を作り出している。現在の韓国発の対日国際非難の元は、全て日本人によるものである。
その証拠に、例え反日教育が営々と行われていても、戦後最近まで韓国が「従軍慰安婦」なるものを持ち出して、非難することは長いことなかった。韓国の元大統領自身が、韓国が日本を非難せざるを得ないようにしたのは、他ならぬ日本人だと語っている。自虐的日本人が韓国の対日批判を唆しているのは、北朝鮮の対韓工作の結果である。当の日本人は自覚してはいまいが、事実としてはそうである。韓国と日本を分断して、韓国を併呑する目的のために、日韓に亀裂を入れると同時に、韓国の社会を近代社会から劣化させるためである。自虐的日本人は日本が嫌いだから、日本が韓国を近代化した功績を認めないばかりか、その延長で韓国を支援することを妨害しているのである。