産経新聞を読んでいるといったらこういわれた。産経は右だ。朝日が左で、読売がやや右。毎日が中道であると。毎日の中道は意外だった。毎日は朝日と全く同じ論調が基本だが、コラムや何やらで突然読売に似た論調になることもある。
要するに他の新聞のように思想統制が必ずしも万全ではないということである。さて毎日の評価はともかく、平凡なこの新聞左右論は正しいのだろうか。たとえば小泉首相の靖国神社参拝問題なら、朝日は反対、産経は賛成。だから朝日は右、産経は左となる。
しかしこの評価は日本一国の国内だけに通用する相対評価である。アメリカで靖国神社に相当するアーリントン墓地に大統領が訪問するのを反対するマスコミはいない。してみるとアメリカのマスコミはみんな右か!靖国神社にはいわゆる「A級戦犯」が祀られているというなかれ。ベトナム戦争を侵略戦争と否定し去る米国マスコミですら、その戦死者を弔うアーリントン墓地に大統領がおとずれるのを反対するマスコミはない。
中国や北朝鮮に思想的対立はないから論外である。朝日新聞は竹島は韓国に譲ったらとコラムに書いた。世界中の左右のマスコミがいかにあろうと、自国の領土を譲れと叫ぶ新聞はない。狂気の沙汰である。もし無政府主義を極左だと定義するなら、朝日のこの言動は極左そのものである。
アメリカで核兵器保有に反対するものはいない。産経とて核兵器保有をちらつかせるものの、公然と核兵器保有を主張しない。日本では核兵器保有を主張すると極右よばわりされる。だが世界の趨勢では核保有の賛否は左右評価の対象ではない。左の代表格だったソ連は世界第二の核保有国だった。
日本は全体的に左よりとも必ずしもいえない。日本では左右の評価軸さえ、世界標準からすればずれているのではなく、歪んでいる。世界では左右いずれのマスコミでも国益を考えている。日本では国益を重視するのが右で、中国やかつてのソ連や北朝鮮などの共産圏に迎合するのが左である。つまり世界の常識に従うのが右である。
民主党はアメリカではリベラルで、相対的に左寄りとされる。しかし民主党のヒラリー・クリントンは戦前はイラク戦争開戦に賛成した。最近、撤退論に転じたのはイラク国内が泥沼化したからである。ベトナム戦争で反戦運動が起きたのもベトナム戦争が泥沼化したからである。かつてベトナム反戦運動をした歌手ジョーンバエズなどは、最近反戦運動が共産圏を利したとして反省している。日本国内の新聞や論者の左右評価などは大した意味はない。
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