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この飛行機はご存知の通り、陸軍キ-27、九七式戦闘機である。国籍標識は赤青白黒黄の五色で五族協和の象徴とされる。五族とは、日、韓、満、蒙、漢である。キ-27は、中島飛行機の設計であるが、資料(日本航空機総集)によれば、満洲の「満洲飛行機製造㈱」が合計1315機製造した、とあるから、この機体もエンジンを除き、満洲で作られたものであろう。
そして別の資料(THE EAGLES OF MANCHUKUO:満州国の翼、とでも訳そうか)によれば、満洲国軍には、満洲国軍飛行隊が存在した。平たく言えば満洲国空軍である。満洲飛行機は、軍用機では練習機、疾風などを製造したほか、航空会社である、「満洲飛行機」向けにMT-1という旅客機を自社設計して製造している。エンジンこそ造れなかったが、高度な技術と設備を持っていたのである。
満州国の航空機関係の存在は1932年から1945年(昭和7年~昭和20年)と短いものであったが、日本の援助の下で、独自開発するだけの人員、設備などを備えるに至ったのである。この工業基盤は、満洲国を侵略したソ連によってかなりが持ち去られた後も、中共の東北部として、重工業の基盤を築いた。
しかし、愚かな中共はその工業基盤を蕩尽しただけで、学ぼうとしなかったから、満洲国の遺産が老朽化すると更新できずに困窮し、鄧小平の開放政策として、外国資本を導入せざるを得なくなった。このプラモを作りながら資料を読むとそんなことが分かる。
この機体に描かれているのは「護国長春壱号」である。すなわち、満洲国の大都市の長春市の市民の献納による一号機を表す。日本では、陸軍が「愛国号」海軍が「報国号」として献納を受けているから、これに準じたものである。ちなみにキットはウクライナのICM社製でデカールが国産である。1/72ならハセガワがあるが(旧マニア社製)、外形、モールドなど、ほとんどでICMのこのキットが優れているが、最近は店頭にない。
ちなみにICMやSWORDなどの東欧のメーカーは、旧日本陸海軍機を発売して、儲けているようである。日本のメーカーが作らないような、レアでマニア好みしそうなアイテムを作って、高い値段で売っている。同じスケールなら国産の倍くらいはする。ソ連崩壊以前なら、ソ連や東欧のキットと言えば、バカ安だったのに、である。共産主義から解放されると金儲けに走る、という見本である。