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永い言い訳 / 西川美和

2024年08月29日 | 読んだ小説
                    

☆☆
主人公の男性は、人気作家でTVなどにもよく出ている有名人で、妻との間には子供はおらず夫婦仲も
冷めていた。 そんな男性の妻が、友人女性と旅行中に事故で妻と友人女性の2人共亡くなってしまう。
しかし、事故のその時、主人公は他の女を妻のいない家に呼び寄せ不倫していた。 そして、妻が死んだ
数日後も同じように・・・。

妻が死んで残された主人公の男性と、友人女性の家族の夫と小学生の男の子と4歳の女の子。
夫同士は、それまで面識などなかったが、2人の子供の父親が長距離トラックの運転手で家を空けている
事が多く、成り行きで男性は時々2人の子供の面倒を見る事を申し出る。

普通よく知らない妻の友人家族に対して、そんな申し出などしないと思うが、その辺の話の持って行き方
が、それほど不自然ではなく私的には割とすんなり納得できた。 でも、週2回の夜だけ数ヶ月家に来て
いただけの男性に、子供らがこんなに簡単に懐くものなのかなぁ。 まぁ下の女の子の灯ちゃんがとても
お利口で可愛いからいいけど、この辺の主人公と子供達とのふれあいを、もっと沢山描いてほしかった。

粗野で暴力的で朴訥な子供達の父親の事もあまり好きではないが、尊大な態度の主人公はもっと好きにな
れなかったし、親子は間違いなく血の繋がった家族だが、夫婦は家族ではなくどこまでいっても他人同士
なんだろうか。 それは人それぞれなのかもしれないが、主人公が死んだ妻の事をどう思っていようが、
妻の友人家族との関りの中で、死んだ妻に対する思いがどう変化しようが、そんな事は興味がなく別にど
うでもよかった。 妻の友人家族を間近に見てきて死んだ妻に対して独りが単に寂しくなっただけで、
そこに愛が甦ったわけでもないし、贖罪の思いや今さら誠意が溢れてきたわけでもないと思うが。
それから章ごとに人物の視点が変わるが必要だったかな? 主人公視点だけでよかったのではないか。


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