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時計仕掛けの歪んだ罠 / アルネ・ダール

2024年08月22日 | 読んだ小説
                    


スウェーデンで、この1年7ヶ月の間に3人の15歳の少女が失踪する事件が起きていた。
捜査に当たるのは、古い高価な腕時計をこよなく愛するストックホルム警察犯罪捜査課の警部。
しかし、彼の上司は、この3つの事件を同一人物による犯行という警部の主張には否定的だった。
そりゃそうだろう。 それくらいの年齢の少女の家出失踪なんて特に珍しくはないだろうから。
しかし、警部には上司や他の同僚らには話していない何か心当たりがあるみたいだった。

やがて犯人の手先として1人の女性が浮かび上がり署に連行して警部が取調室で尋問する。
しかし、この女性の正体は、同じ事件を追う公安警察の潜入捜査官で、あっという間に立場が逆転し、
今度は警部が公安に連行され、その女性捜査官に尋問される。 実は女性捜査官は、子供の頃に警部と
同時期に同じ学校に通っていて、その時の出来事で、彼女にも今回の少女失踪事件の犯人に心当たりが
あり、それを公安の上司や同僚らにも話さずに独自の捜査を続けていた。 そして今度は、警部と女性
捜査官が勝手に職務を逸脱したタッグを組み、どちらも免職覚悟で少女失踪事件の犯人を追う事になる。
この第2部の怒涛の展開は、なかなか凄い物がある。

第3部では、2人は犯罪者のように公安や警察から逃げ隠れしながら、2人の子供の頃の暗く忌まわしい
出来事から今回の事件の犯人と確信する人物を追うための執念の捜査が続く。 そして、第4部での始ま
りの場所での最後の対決。 2人は、かつての知人である犯人を射殺し監禁されていた少女たちを解放で
きたが、事件のもうひとつの真相である公安の闇が浮かび上がり、次のシリーズに続いていくのであろう
衝撃のラストを迎える。 本作は、物語全体を暗く陰鬱な雰囲気が包んでおり、最初から最後まで終始降
り続く激しい雨が強くその陰鬱さを象徴している。


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