※TYPE-MOONの記事はこちらから→ ■TYPE-MOON関連記事・もくじ■
※『うみねこのなく頃に』はこちらから→ ■うみねこ推理 目次■
魔術理論“世界卵”はどういう理論なのか
筆者-Townmemory 初稿-2023年7月15日
固有結界を実現している魔術理論“世界卵”という理論があるとされています。
月姫リメイクに関して研究していた際に、「この世界観ではどのように宇宙創生がなされたか」ということを考える必要に迫られました。
さまざまな情報を順列組み合わせしていたら、「あ、世界卵ってこういうこと?」という思いつきがポロッと落ちてきたのでかきとめておく次第です。
当記事は「月姫リメイク」の研究に関連しています。
以下の記事を、できれば順番にお読みいただくことを推奨します。
月姫リメイク(1)原理血戒と大規定・上
月姫リメイク(2)原理血戒と大規定・下
月姫リメイク(3)ロアの転生回数とヴローヴに与えた術式
月姫リメイク(4)ロアのイデア論・イデアブラッドって何よ
月姫リメイク(5)マーリオゥ/ラウレンティス同一人物問題・逆行運河したいロア
月姫リメイク(6)天体の卵の正体・古い宇宙・続マリ/ラウ問題
月姫リメイク(7)すべてが阿良句博士のしわざ・ロアの転生回数再び
クリックすると筆者が喜びます
●森博嗣『笑わない数学者』
「月姫リメイク」シリーズ記事の第五回および第六回で取り上げた、天体の卵とビッグバン関係の話を、頭の中でゴチャゴチャ揉んでいたら、ハタと思いついたことがあったので書いときます。
世界卵という謎のキーワードがあるでしょう。固有結界の魔術は、魔術理論「世界卵」に基づいている、という情報がありました。
(説明不要とも思いますが固有結界とは、人間の心象風景、ようは個人の中にある心理的イメージを、自分の周囲(現実世界)に上書きする魔術。自分の周りが自分に有利なルールになる。英霊エミヤの「アンリミテッドブレードワークス」など)
右下の図というのはこれです(引用。著作権法第32条に基づく)。
『Fate/complete material vol.03 World material.』P.45
私は、わりと長いこと、頭の中に「???」を浮かべたまま、「ははぁ、自分の内と外を入れ替えるのですね、なるほど」と、わかったようなわからないような感じのまま棚上げしておりました。
が、このあいだふと思ったのが、
「あれ、奈須きのこさんて、森博嗣を読んでるよな?」
奈須きのこさんが京極夏彦先生の熱心なフォロワーだというのはご自分でおっしゃっている通り。
そして京極先生と森博嗣先生は同時期の作家で、並べて語られることが多い二人だ。
(以下、京極、森については敬称を略す)
奈須きのこさんは森博嗣も読んでる可能性が高い。蒼崎橙子や阿良句寧子のような、「マッド研究者でもあり建築家でもある」というキャラクターの型は、たぶん森博嗣が書く真賀田四季博士から影響を受けているものと思う。月姫には「四季」というそのものずばりのネーミングも出てきますしね。
(余談だけど西尾維新さんの書く四季崎記紀も原型は真賀田博士だと思う)
(●2023年8月22日追記。『TYPE-MOON展』で奈須きのこさんの本棚を再現したコーナーに、『笑わない数学者』を含む森博嗣作品が並んでいたという情報が寄せられました。お知らせいただけたことに感謝! https://twitter.com/motumotion/status/1693926623601709504 )
森博嗣の初期長編『笑わない数学者』の結末に、ほんっとうにすばらしいなぞなぞが書かれています。今からそのなぞと答えを、つまり物語の結末を引用によって明かしてしまいますから各自対応してください。私はこの作品大傑作だと思っていて、できたらご自分でフルサイズで読んだ方がいい。
以下の引用は全て講談社ノベルズ版『笑わない数学者』のP.342~344からです。
問題はこうです。
出題者のお爺さんが教えてくれる答えはこう。
なぜそういう答えになるのか。お爺さんは円の中心に立って、こう説明する。
最後の一文がキマっていて、私はいろんなところで何度もマネしました。
●内と外は誰が決めたのか
自分の外と、自分の中身を入れ替える固有結界の魔術理論「世界卵」の正体はこれじゃないかと思ったのです。
さっきまでは「内側」だと信じて疑わなかったものが、認識を広げることひとつで、瞬時に「外側」になった。どちらが内でどちらが外かは、面積の大小とは関係ない。
いま地面に描いた円が、「狭いほうの地面を閉じ込めたものなのか」「広いほうの地面を閉じ込めたものなのか」は、一意に決めることはできない。不定である。
この話がすばらしいのは、内側と外側というのは絶対的な基準があるものではなく、相対的な概念にすぎないということを、最強にわかりやすく例示しているところだ。
「物体をいっさい動かさずに、内側にあったものを外に出すことは可能だ」
その方法とは「概念を変更する」。
面積の広いほうが外側だ、というのは、単なる人間の思い込み、概念にすぎない。面積の狭いほうこそ外側だ、という形に概念を変更すれば、さっきまで内側にあったものは、即座に外側に存在することになる。
「内とか外とかいうのは、人間の認識が決めている概念にすぎない」
おっと、概念?
TYPE-MOON世界観で概念といえば、概念のレイヤーに作用する魔術や武器。
たとえば、切っても突いても一切外傷を受けない無敵の怪物がいたとする。
この怪物を倒すにはどうすればいいか。
TYPE-MOON世界観では、あらゆる物体には、実体とは別のレイヤーに「概念」が先行して存在する。
ここでいう概念というのは、たぶんですが、「この存在はこういうものです」ということを決めている定義書みたいなもの、情報。
すべてのものは概念が先行していて、実体は概念に沿ったかたちで、後付けで作られる。
なので、実体ではなく「概念」を直接壊すことができる武器や魔術があれば、この例における無敵の怪物は倒せる。「切っても突いても死なない」と決めている概念をじかにぶっこわしちゃうから。
絶対に死なない怪物を倒すには、「絶対に死なない」と書かれている怪物の概念に「おまえはもう死んでる」とでも書き込んでやればいい。「私はもう死んでる」と書かれた概念を後追いして、実体も死ぬので、絶対に死なない怪物は死ぬ。
ここに卵の殻がある。
卵の外側と内側は、殻によって完全に遮断されている。
殻の内側には白身と黄身が、殻の外側には世界がある……と、みんな思い込んでいる。
だけど、卵の内と外って、空間の広さしか違いがないよね?
卵の殻は、ふたつの空間を遮断する機能しかないのだから、見方によっては、「卵の外側が殻に包まれている」ともいえる。
本質的なことを問うたら、卵の中身が殻によって包まれているのか、外の世界が殻によって包まれているのかは一意には決められない。
だから、概念を、つまりものの見方を操作したら、「世界のすべては殻の中にあり、白身と黄身が殻の外にある」という状態は作れるのである。
魔術を使って概念をそのように操作したら、あとは実体がついてくる。
ここに人間のガワがある。
人間の内側に心象世界があり、人間の外側に世界がある。
しかし、「内と外というのは相対的な概念にすぎない」。
よって、概念を操作することで……つまり「どちらが内でどちらが外なのかは私が決めることだ」とすることで、現実世界と心象世界をまるっと入れ替えることが可能であるはずだ。
というのが「魔術理論“世界卵”」の正体だと思います。
●なぜ固有結界は「魔法に限りなく近い」のか
この話はもっと広げることができそうだ。
人間のガワを卵の殻に見立てて、外的世界と心象世界を入れ替えることが可能だということは……。
一方では「自分の外部に心象世界を展開する」ということになるが、
他方では、
「私の内部に世界の全てがある、私が世界である」
「宇宙の中に地球があり、地球の中に私がいる」という包含関係のモデルがあるとしよう。
でも、内と外とは相対的な概念であり、入れ替えが可能であるとするのなら。
私と地球の包含関係を入れ替えることができる。
地球の中に私がいるのではなく、私の中に地球があるのである。
地球と宇宙の包含関係も入れ替える。
宇宙の中に地球があるのではなく、地球の中に宇宙があるのだ。
「私の中に地球があり、私の中の地球の中に宇宙があるのだ」。
すなわち私こそが宇宙だ。
「内と外とは相対的な関係にすぎない」というマジカルワードは、「今ここ」と「宇宙の最深部」を、概念の操作ひとつでまったく同一のアドレスに置くことを可能とする。
宇宙の果てに存在する私という人間と、宇宙の最深部に存在する宇宙の中心は、内と外の関係を入れ替えることによって、重なることになる。入れ替えたら、私のいる今ここが、宇宙の中心となる。
ここは向こうである。彼岸は此岸である。宇宙の果ては宇宙の中心である。
そして、もし宇宙の中心に「根源」があるのなら。
私の中心に根源がある。ここが根源である。
現状、「固有結界」の魔術は、自分の周囲のかなり限定された領域にしか展開できません。
でも、もし仮に、「人間の内と外を入れ替える」を文字通り宇宙規模で行うことができたら。
それは根源をまるごと手に入れたことになる。
だから世界卵の理論を使った固有結界は、「魔法に限りなく近い魔術」と言われる、なんてのはなかなか平仄があっている感じです。
■この記事を気に入った方はX(旧Twitter)にてリポスト(リンク)をお願いします。
「いいね」はこちらをクリック
※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
※『うみねこのなく頃に』はこちらから→ ■うみねこ推理 目次■
魔術理論“世界卵”はどういう理論なのか
筆者-Townmemory 初稿-2023年7月15日
固有結界を実現している魔術理論“世界卵”という理論があるとされています。
月姫リメイクに関して研究していた際に、「この世界観ではどのように宇宙創生がなされたか」ということを考える必要に迫られました。
さまざまな情報を順列組み合わせしていたら、「あ、世界卵ってこういうこと?」という思いつきがポロッと落ちてきたのでかきとめておく次第です。
当記事は「月姫リメイク」の研究に関連しています。
以下の記事を、できれば順番にお読みいただくことを推奨します。
月姫リメイク(1)原理血戒と大規定・上
月姫リメイク(2)原理血戒と大規定・下
月姫リメイク(3)ロアの転生回数とヴローヴに与えた術式
月姫リメイク(4)ロアのイデア論・イデアブラッドって何よ
月姫リメイク(5)マーリオゥ/ラウレンティス同一人物問題・逆行運河したいロア
月姫リメイク(6)天体の卵の正体・古い宇宙・続マリ/ラウ問題
月姫リメイク(7)すべてが阿良句博士のしわざ・ロアの転生回数再び
クリックすると筆者が喜びます
●森博嗣『笑わない数学者』
「月姫リメイク」シリーズ記事の第五回および第六回で取り上げた、天体の卵とビッグバン関係の話を、頭の中でゴチャゴチャ揉んでいたら、ハタと思いついたことがあったので書いときます。
世界卵という謎のキーワードがあるでしょう。固有結界の魔術は、魔術理論「世界卵」に基づいている、という情報がありました。
(説明不要とも思いますが固有結界とは、人間の心象風景、ようは個人の中にある心理的イメージを、自分の周囲(現実世界)に上書きする魔術。自分の周りが自分に有利なルールになる。英霊エミヤの「アンリミテッドブレードワークス」など)
心象風景の具現化とは、右下の図によって示した魔術理論“世界卵”によって説明される。つまり自己と世界を、境界をそのままにして入れ替えたものが固有結界だ。この時、自己と世界の大きさが入れ換わり、世界は小さな入れ物にすっぽりと閉じ込められる。この小さな世界が世界卵であり、理論の名前にもなっている。『Fate/complete material vol.03 World material.』P.45
右下の図というのはこれです(引用。著作権法第32条に基づく)。
『Fate/complete material vol.03 World material.』P.45
私は、わりと長いこと、頭の中に「???」を浮かべたまま、「ははぁ、自分の内と外を入れ替えるのですね、なるほど」と、わかったようなわからないような感じのまま棚上げしておりました。
が、このあいだふと思ったのが、
「あれ、奈須きのこさんて、森博嗣を読んでるよな?」
奈須きのこさんが京極夏彦先生の熱心なフォロワーだというのはご自分でおっしゃっている通り。
そして京極先生と森博嗣先生は同時期の作家で、並べて語られることが多い二人だ。
(以下、京極、森については敬称を略す)
奈須きのこさんは森博嗣も読んでる可能性が高い。蒼崎橙子や阿良句寧子のような、「マッド研究者でもあり建築家でもある」というキャラクターの型は、たぶん森博嗣が書く真賀田四季博士から影響を受けているものと思う。月姫には「四季」というそのものずばりのネーミングも出てきますしね。
(余談だけど西尾維新さんの書く四季崎記紀も原型は真賀田博士だと思う)
(●2023年8月22日追記。『TYPE-MOON展』で奈須きのこさんの本棚を再現したコーナーに、『笑わない数学者』を含む森博嗣作品が並んでいたという情報が寄せられました。お知らせいただけたことに感謝! https://twitter.com/motumotion/status/1693926623601709504 )
森博嗣の初期長編『笑わない数学者』の結末に、ほんっとうにすばらしいなぞなぞが書かれています。今からそのなぞと答えを、つまり物語の結末を引用によって明かしてしまいますから各自対応してください。私はこの作品大傑作だと思っていて、できたらご自分でフルサイズで読んだ方がいい。
以下の引用は全て講談社ノベルズ版『笑わない数学者』のP.342~344からです。
問題はこうです。
お爺さんはまたにっこりと微笑んだ。そして、立ち上がり、地面に大きな円を一つ書いた。
少女が呆れてみていると、お爺さんは円の中心に、きをつけの姿勢で立った。
(略)
「円の中心から、円をまたがないで、外に出られるかな……」お爺さんがゆっくりと言う。
出題者のお爺さんが教えてくれる答えはこう。
それから、指を一本立てる。そして、大きな円の中に立ったままで、
「ここが外だ」と言った。
なぜそういう答えになるのか。お爺さんは円の中心に立って、こう説明する。
「この円を、大きくするんだよ。どんどん、どんどん、大きくしてごらん。地球はまるい。円はどうなるね?」
少女は想像した。
円がどんどん大きくなる。
公園よりも大きくなる。街よりも……、そして、ついに地球の直径と同じ大きさになる。
それから……?
それから、地球の反対側に向かって、今度は円は小さくなる。
あれ……?
「そうか! 中よりも……、外の方が、小さくなるんだ」少女はその発見に嬉しくなった。
「あっ! そうか……それで、そこが外ってことに……?」
最後の一文がキマっていて、私はいろんなところで何度もマネしました。
「ねえ、中と外はどうやって決めるの?」
(略)
「君が決めるんだ」
●内と外は誰が決めたのか
自分の外と、自分の中身を入れ替える固有結界の魔術理論「世界卵」の正体はこれじゃないかと思ったのです。
さっきまでは「内側」だと信じて疑わなかったものが、認識を広げることひとつで、瞬時に「外側」になった。どちらが内でどちらが外かは、面積の大小とは関係ない。
いま地面に描いた円が、「狭いほうの地面を閉じ込めたものなのか」「広いほうの地面を閉じ込めたものなのか」は、一意に決めることはできない。不定である。
この話がすばらしいのは、内側と外側というのは絶対的な基準があるものではなく、相対的な概念にすぎないということを、最強にわかりやすく例示しているところだ。
「物体をいっさい動かさずに、内側にあったものを外に出すことは可能だ」
その方法とは「概念を変更する」。
面積の広いほうが外側だ、というのは、単なる人間の思い込み、概念にすぎない。面積の狭いほうこそ外側だ、という形に概念を変更すれば、さっきまで内側にあったものは、即座に外側に存在することになる。
「内とか外とかいうのは、人間の認識が決めている概念にすぎない」
おっと、概念?
TYPE-MOON世界観で概念といえば、概念のレイヤーに作用する魔術や武器。
たとえば、切っても突いても一切外傷を受けない無敵の怪物がいたとする。
この怪物を倒すにはどうすればいいか。
TYPE-MOON世界観では、あらゆる物体には、実体とは別のレイヤーに「概念」が先行して存在する。
ここでいう概念というのは、たぶんですが、「この存在はこういうものです」ということを決めている定義書みたいなもの、情報。
すべてのものは概念が先行していて、実体は概念に沿ったかたちで、後付けで作られる。
なので、実体ではなく「概念」を直接壊すことができる武器や魔術があれば、この例における無敵の怪物は倒せる。「切っても突いても死なない」と決めている概念をじかにぶっこわしちゃうから。
絶対に死なない怪物を倒すには、「絶対に死なない」と書かれている怪物の概念に「おまえはもう死んでる」とでも書き込んでやればいい。「私はもう死んでる」と書かれた概念を後追いして、実体も死ぬので、絶対に死なない怪物は死ぬ。
ここに卵の殻がある。
卵の外側と内側は、殻によって完全に遮断されている。
殻の内側には白身と黄身が、殻の外側には世界がある……と、みんな思い込んでいる。
だけど、卵の内と外って、空間の広さしか違いがないよね?
卵の殻は、ふたつの空間を遮断する機能しかないのだから、見方によっては、「卵の外側が殻に包まれている」ともいえる。
本質的なことを問うたら、卵の中身が殻によって包まれているのか、外の世界が殻によって包まれているのかは一意には決められない。
だから、概念を、つまりものの見方を操作したら、「世界のすべては殻の中にあり、白身と黄身が殻の外にある」という状態は作れるのである。
魔術を使って概念をそのように操作したら、あとは実体がついてくる。
ここに人間のガワがある。
人間の内側に心象世界があり、人間の外側に世界がある。
しかし、「内と外というのは相対的な概念にすぎない」。
よって、概念を操作することで……つまり「どちらが内でどちらが外なのかは私が決めることだ」とすることで、現実世界と心象世界をまるっと入れ替えることが可能であるはずだ。
というのが「魔術理論“世界卵”」の正体だと思います。
●なぜ固有結界は「魔法に限りなく近い」のか
この話はもっと広げることができそうだ。
人間のガワを卵の殻に見立てて、外的世界と心象世界を入れ替えることが可能だということは……。
一方では「自分の外部に心象世界を展開する」ということになるが、
他方では、
「私の内部に世界の全てがある、私が世界である」
「宇宙の中に地球があり、地球の中に私がいる」という包含関係のモデルがあるとしよう。
でも、内と外とは相対的な概念であり、入れ替えが可能であるとするのなら。
私と地球の包含関係を入れ替えることができる。
地球の中に私がいるのではなく、私の中に地球があるのである。
地球と宇宙の包含関係も入れ替える。
宇宙の中に地球があるのではなく、地球の中に宇宙があるのだ。
「私の中に地球があり、私の中の地球の中に宇宙があるのだ」。
すなわち私こそが宇宙だ。
「内と外とは相対的な関係にすぎない」というマジカルワードは、「今ここ」と「宇宙の最深部」を、概念の操作ひとつでまったく同一のアドレスに置くことを可能とする。
宇宙の果てに存在する私という人間と、宇宙の最深部に存在する宇宙の中心は、内と外の関係を入れ替えることによって、重なることになる。入れ替えたら、私のいる今ここが、宇宙の中心となる。
ここは向こうである。彼岸は此岸である。宇宙の果ては宇宙の中心である。
そして、もし宇宙の中心に「根源」があるのなら。
私の中心に根源がある。ここが根源である。
現状、「固有結界」の魔術は、自分の周囲のかなり限定された領域にしか展開できません。
でも、もし仮に、「人間の内と外を入れ替える」を文字通り宇宙規模で行うことができたら。
それは根源をまるごと手に入れたことになる。
だから世界卵の理論を使った固有結界は、「魔法に限りなく近い魔術」と言われる、なんてのはなかなか平仄があっている感じです。
■この記事を気に入った方はX(旧Twitter)にてリポスト(リンク)をお願いします。
「いいね」はこちらをクリック
※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
非常に参考になるお話ありがとうございます。