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日本政府の放射線基準 (福島第一原発事故の処理)

2011-04-29 11:41:08 | 科学

小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(放射線安全学)が 内閣官房参与を辞任した。
日経朝日読売毎日

主張を見ると納得できる。
未成年の年間許容線量は総量5ミリシーベルトとする国が多い。
この数値には自然被爆と人工被爆の両方が含まれている。
自然被爆は年間3ミリシーベルトで、人工的な被爆(レントゲン写真など)が1ミリシーベルト弱。
従って許容されるのがあと1ミリシーベルトとなる。
ちなみに上記NRCサイトではミリシーベルトではなく mrem を使用している。
(100 mrem = 1 mSv: ミリシーベルト)

どうして、政府が20ミリシーベルトという非常に高い数値を選んだのかが理解できない。
政治家ならともかく、良心的な科学者がこの数字を出してくるとは思えない。
「自分の子どもをそんな目に遭わせるのは絶対に嫌だ」と訴えた小佐古教授の本音に同感だ。
ジャーナリスト達も勉強して、この基準の危うさを市民に訴える責務がある。
これからの世代に対する影響を決定するという意味で看過できない。
日本の将来にとって重大な意味を持っている。

放射線の単位には色々あるので混乱する人もいるかもしれない。
ここに簡単にまとめてみたい。

  • グレイ (Gy) :国際単位(SI)= J/Kg
    1kgの物質に1ジュールのエネルギーを与える線量。
    これを基本にして他の単位を考えたい。
    ちなみに、病院の放射線治療ではこの単位を使うことが多い。
  • ラド (rad) :昔よく使われた。単に1/100グレイ (1 Gy = 100 rad)
  • シーベルト (Sv) :国際単位(SI)= J/Kg
    グレイに似ているけれど少し違う。
    人に対する影響という観点で決めている。
    1グレイのレントゲンと同じくらい人に悪影響を与える線量。
    線の種類によって人が受けるダメージが違うことによる。
    例えば、アルファ線ならダメージが20倍なので1グレイが20シーベルト。
    一方レントゲンなら1グレイが1シーベルト。
  • レム (rem) :単に1/100シーベルト (1 Sv = 100 rem)
    単位が大きいので実際には mSv (0.001Sv), µSv (0.001mSv), mrem (0.001rem) などが使われる。
  • レントゲン (R) :1ccの空気を 1 esu (電気量)電離できる線量。
    今ではほとんど使われない。

細かいことは抜きにして、放射線量はエネルギーの大きさで表されると考えて良い。
それを物理学的に(グレイなど)表すか、生物学的に(シーベルトなど)表現するかの違いだ。

 

 


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