「サラバ」 西加奈子著
久しぶりに読書のお話です。
「サラバ」を読みました。これは本屋大賞などの候補?取った?よく知らないのですが
とりあえず、上、中、下とあって、長い一大、自叙伝となっています。
長いです。読むのはまあ簡単かなあ?私は読みやすいと感じましたが、
あまり言葉が出てこない、一人称の気持ち、「私」の気持ちをひたすら
書いている小説です。久々に一人称の小説を読んで少し違和感はありました。
最近ないですよね。
なので恐らくですが、作者の実体験を素に作られた小説なのだと思います。
主人公 圷歩(あくつあゆむ)が逆子として生まれ。
アラブのほうで生まれ一時日本に住みますが、その後、中、あたりですが
エジプトのカイロに父の転勤で行き、その時知り合ったヤコブが
最後に登場してきます。その時に言っていた言葉が「サラバ」
このサラバって言葉に作者は執着、物語の中枢に持ってきます。
そしてナイル川に現れた化け物・・・
これらは人生そのもの、人のうねり、流れそしてサラバ、
サラバの意味は、また会いましょうとか「元気でな」「俺たちはひとつだ」
などの意味があり、肯定的な向上的なあるいは将来を望む。素晴らしい言葉に
描かれています。確かにいい言葉だと思います。
そして、主人公 歩が頭が薄くなり、外にも出歩かなくなり、卑屈になっているころ
猟奇的だった姉からエジプトのことを思いだす。
そして原点である「サラバ」を思いだす。
人生の中で社会に揉まれ、人間に揉まれ、人の思惑に揉まれ、時として社会人として
社会に出たくなくなる現象はなんとなく理解できます。
歩はその中から。原点である「サラバ」を導き出した。
人は時としてそんな考えを持つことがあると思います。
そんな時大体に出てくるものは・・・つまり人生での挫折ですかね。
挫折の時に出てくるものは、大体、自分の起源であったり、好きな言葉であったり、
好きな音楽であったり、家族であったり、何気ない生活であったりで、見つけ出す
その人の気持ち、発見で立ち直れて、また社会へ出ていければいいですが・・・
挫折か・・・なんか考えさせられますね。子供で学校へ行けれなくなる中学生が
近所にいたりします。
立ち直るのは難しい
だから「サラバ」っていう言葉で立ち直った、歩の生き方は参考になるかもしれません。
やはりそれは人の生き様、一生懸命生きたときの言葉、気持ち、感情を呼び起こして
人生、人間、社会、ってそれなり、また会おう
ってくらいで人生は進んでいく、社会は進んでいく。
それくらいで人は営んでいく。ということは深く考えて悩む必要はないということ。
大体でそれなりで生きていけばいい。任された仕事は一生懸命に
それくらいでいいのではないだろうか・・・って考えさせられた小説でした。