みなさんこんばんは、埼玉県さいたま市の特定行政書士、田中太志です(当事務所のホームページはこちら)。前回の記事では、雇い主が労働者を雇うときに渡さなければならない書面、労働条件通知書について解説しました。これは労働基準法の第15条1項に定められています。ついでと言っては何ですが、今回は15条の2項と3項についても解説しようと思います。テーマは「労働契約の解除」と「帰郷旅費」です。
まず15条2項の「労働契約の解除」ですが、まず雇い主が、労働条件通知書や口頭で労働条件を明示します(15条1項)。で、求人に応募した人がその内容に納得して「働きます」と言って労働契約が成立したら、その人は労働者として働き始めます。しかしいざ現場で働き始めてみたら、明示された労働条件と異なる。「残業はない」と書いてあったのに残業させられる。「週休二日制」と書いてあったのに日曜しか休みがない。そういう場合、労働者は「ちょっと! 約束が違うじゃないですか!」と言って即時に労働契約を解除することができます。
そして15条3項の「帰郷旅費」ですが、上記のように即時に労働契約を解除した人が、就職するために地元から上京してアパートを借りていたとします。その人は、東京での就職をあきらめて地元に帰るかもしれません。その人がすぐに帰る場合、すなわち、契約を解除した日から14日以内に帰る場合、その人は元雇い主に必要な旅費を請求することができます。必要な旅費には、交通費だけでなく、道中の飲食代やホテル代も含まれます。もちろん、無駄に高い物(回らない寿司など)を食べたり、無駄に高いホテルに泊まることはできませんが。また、労働者が家族とともに上京してきていた場合、その家族の交通費等も含まれます。
ちなみに、労働基準法15条の条文は次のようになっています。
第1項 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 (以下略)
第2項 前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
第3項 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
以上の解説は、水町勇一郎先生の『労働法』を参考にして書きました。とても分かりやすい本なのでおすすめです。
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