ポケスペSV編がスタートしてから、早いもので1年以上が経った。
以前剣盾編については毎月感想でブログ記事を途中まで書いていたのだが、SV編については今のところする予定はない。
理由は、単純に毎月長めの感想を書く気力がないことである。それにweb公開もある以上、感想の不足に悩まされることもかなり減ったのも大きい。
ただ、現段階での感想や今後の展望は一度明らかにしておきたいと思うので、本記事で記すこととする。
ここまでの全体的な感想
まず現時点で自分が思っているのは、ポケスペらしく丁寧な話作りができているということである。
3年の連載期間からすればまだ序盤であり、14章や剣盾編もこの時期はよかったものの、中盤~後半は作中ノルマの消化に追われてかなり躓いている事実は無視できず、SV編が今後どうなるかに不安があるのは正直なところだ。
しかし、今のところの話作りでは今後への前振りも込みで破綻は少なく、剣盾編がこの時期抱えていた不安定感に比べれば、大いに安心できる状態である。
大きな要素として、バイオレットとスカーレットのルートをそれぞれ分け、更に二人の旅に同行する仲間としてペパーとネモを割り振り、互いを繋ぐ存在としてボタンを置くという、図鑑所有者二人体制のポケスペからしたら大胆な変更がある。
ただ、二人が別々に旅をするスタイルはかつて4章でも取られたものなので、完全に斬新なものというわけではない。
しかし、それでも斬新な要素として挙げられるのが、「主人公同士の関係性を物語当初では限りなくゼロとしている」こと。
これから出会う展開があるようなので、ともすれば大きな関係性があるかもしれないが、現段階では本当にただすれ違うだけであり、これまでの事例からすると異例でしかない。
これがどのように作用するのかは分からないが、少なくともこれまでの章との差別化という一点では大きな一手であり、間違いなく本章の特色であるといえる。
逆に、現時点で大きく描写を減らしているのが進化や捕獲である。
手持ちとの絆やエピソードはポケモン漫画である以上重要なポイントではあるのだが、ダブル主人公体制ではどうしても描き方に偏りが出がちだったので、いっそ連載時はバッサリカットして人間キャラの描写に力を入れるという方針は理解できる。少し寂しい部分もあるが、現時点での取り組みとしてはこれがベストであるとも思う。
バトルについては、今のところは立て直しが比較的出来ている方なのかなと思うが、一方でテラスタルについてはポケスペとの食い合わせの悪さが出ており、極力描かない方が良いと思う。
あとこれは個人的な好みだが、図鑑の説明を活用したバトルがもう少し増えればなお良いと思う。技や特性については多様性よりもゲームの描写に縛られた側面が出がちなので、ポケスペならではの特色を出すなら図鑑説明しかないだろう。
全体的に言えることは、SVの要素とポケスペらしさを組み合わせることにある程度成功していて、安定した話運びが出来ているということである。
次の項では、剣盾編との比較からSV編の諸要素を見ていく。
剣盾編からの反省と発展
まず、スカーレットの扱いについて。
剣盾編ではしーちゃんがジム戦をほぼ全てカットされる憂き目に遭い、テーマ面やそーちゃんとの関係性では主人公としての活躍が見られたものの、全体的にダブル主人公とは言い難い活躍の偏りであった。
対して、SV編ではスカーレットを明確に主人公の一人であると宣言し、バイオレットとは違うルートをネモと共にこなしていくことで、同じ展開の繰り返しや省略を回避し主人公としての格を担保している。
逆にスカーレットとバイオレットの関係性は現時点では皆無であり、これまでのポケスペの傾向としてあった「図鑑所有者同士の濃密な関係性」がオミットされている。
メディアミックスの中でも随一の特色だった部分を捨てたのは思いきった決断だが、剣盾編は二人が一緒に旅をしていたことでの弊害(同一のジムに同じタイミングで挑むがゆえのジム戦カット)がかなり大きかったのを考えると、二人がバラバラで行動するための設定を用意したのは有効な一手に思える。
次に、主人公に近いNPCの扱いについて。
剣盾編ではホップの役回りを大きく変更し、新たにマナブというキャラを創造することで図鑑所有者との関係性を構築しようとしたが、肝心のマナブの描写が途中から急速にスカスカになってしまい、話のバランスをおかしくしてしまった。
自分は改変することに異を唱えないが、ホップの扱いについて不満を表明していた人はTwitter上に多少いたし、マナブの出番が急速に減った理由はそこにあったのかもしれない。
いずれにせよ、大きな改変をしておきながら機能がうまく果たせていなかったことは事実なので、SV編では「比較的」改変は少なめにしているように思える。
すなわち、ペパーとネモに合わせる形でバイオレットとスカーレットのキャラ造形が調整されており、コンビを二つ作ることでアンバランスな構造を回避しているのだ。
無論ストーリーラインに改変があるのは事実なのだが、ダブル主人公体制を補強する上で必要な改変であると自分は思う。
以上2点について、剣盾編との比較を展開してきた。最後に、今後の展開への期待を記載する。
今後への期待
捕獲や進化の描写を極力削ることで主人公二人とその周りのドラマをきっちり描いていることは、今のところうまく機能していると思う。
DLCも出終わり、世代交代もSwitch後継機の絡みで遅くなることが想定される状況ではあるので、このままゆとりある話作りを続けて欲しいところ。
今のところDLC絡みの要素が全く出てこないのは気になるが、無理矢理だして話の質を下げるよりはまとまりを良くした方がいいとも思うので、どちらでも良いだろう。
ただバトルについて気になっているのが、スカーレットのジム戦よりバイオレットのヌシ戦の方が面白い展開になりがちなことである。
剣盾編総括でも書いたが、バトルは執拗な悪意を持った敵の方が盛り上がりやすいと思うし、そうでなくともトレーナー戦の方が戦術を描く余地も大きいと思っていた。
しかし、SV編のジムリーダーはイマイチ戦術に巧みさがない。バトルコートがゲームの段階で決まっていることが原因なのだろうが、技の使い方がシンプルすぎて捻りがないのである。
対して、ヌシ戦の方は毎回必ずペパー以外の協力者を用意することでシチュエーションに変化をつけており、図鑑説明を生かした戦いもできている。
何故こうしているのかは分からないが、スカーレットのジム戦は毎回律儀にジムテスト部分からやっていて、そのテストを乗り切るシーンの方がメインに描かれているように感じる。描く比重をバトルに変えた方が良いのではないだろうか。
そして、ポケスペのこれまでの要素を大きく変更したにも関わらず、相変わらず公式サイトは凍結状態で説明がないのは困る。少なくとも、
・図鑑所有者という称号は一体どうなったのか
・御三家のタイプローテーションを止めた理由
この2点だけでも説明が欲しい。
Twitterの運営が不安定になり、シリーズのファンとしてはどうしても不安になることが多い今日この頃なので、公式サイトが頼みの綱であることを認識してもらいたい。
web掲載という一手を打てるようになったのだから、次は広報のあり方について考えを改めて欲しいということを切に願いながら、筆を擱かせていただく。
記事をお読みいただきありがとうございました。
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