一句鑑賞

東風

朝、外に出ると風が冷たくやや強い・・・ん!?

向きは東風である・・あぁ、東風かと。春の季語だが、実感としての東風でしたね。

歳時記には東風の他に、朝東風、夕東風、強東風、雲雀東風、鰆東風、梅東風、桜東風とあります。

今朝の東風は、朝東風でしたとフムフム納得。

私の所は、東側は三郡連山といいまして800mの尾根が、太宰府天満宮の背後の宝満山(約830m)から北へ8キロほど続きます。北の最後の山は若杉山と言いまして、篠栗町の方へ下ります。

宝満山は修験の山でして、かなり険しいですが・・・登山者はとても多いのです。

その太宰府市側からの登山口は竈(かまど)神社といいまして、昨今流行りの鬼滅の刃の聖地となって賑わっておるようです・・・(-_-;)

宝満山から北へ直ぐに仏頂山(860m)があり、そこから北へ少し下るとわが町側から登りつく場所がありますが、冬季は尾根近くから流れる水が凍り、いわゆる凍て滝というか、大つららとなります。かなり有名で見学登山者は多いですが、滑り止めのアイゼンは必要です。というわけで私は登ったことはありません。

今朝の朝東風はこの谷筋を下ってきたので、冷たかったですね・・・この谷は川原谷(ごうらだに)と言われてます。ここから流れ出て宇美川となり箱崎宮裏手を流れて博多湾へと続きます。

昔、元寇のときに筥崎宮のご神体を避難させたのですが、その避難先は宇美川をさかのぼり、河原谷へ取り付く処・・・地名は極楽寺といいますが、そこへ安置されたそうです。

この宇美川を通じての古きお話しは沢山あると思いますが、人の往来など数えればいろんな歴史があるのでしょう。鉄道など無い時代は、博多から約3里の道ですから、歩きで往来していたのでしょうね。

東風の例句では、なんどもここに書きましたが久女の句が好きですね。

東風吹くや耳現はるゝうなゐ髪

5年前に鑑賞してここに書いた記事を張りつけました。

 

風は冷たい毎日です。
しばらく外で用を済ませていると芯から冷えます。
この向きが北から東へと変われば・・初東風ですね。
東風といえば私はこの句だけしか浮かばない・・・

東風吹くや耳現るゝうなゐ髪   杉田久女

この句を読むたびにその情景を思い浮かべているのだが。
最初に鑑賞した景色、シーンに戻るからそれが正しいのかなと一人合点している。
うない髪は耳の辺りで結ばれたもの、少女が束ねるというかそんな髪。
東風は、まだやや荒い早春の風と歳時記にあるように春風とは異なる冷たさの残る風。
その結ばれた髪が風に揺れて耳が現れたのです。
少女の耳を見て久女は、これから大人になるのだが良いことばかりではないと思ったのでしょう。
冷たい東風に少女の先々を思ったのかもしれません。
さらっと見たままでしょうが、東風、耳、髪とイ二つの音の言葉の響きが、厳しさを表わしているように感じます。
どれもイ音!

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